ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ゆいレールに乗って

2016-08-10 19:56:33 | 日記

                    ゆいレールに乗って



                琉球王国の森を通り過ぎると
                
                小雨の中
                シュガーローフの高台で
                ぼろをまとった兵士が
                骸骨の顔で手を振っている



                王国のかおりの街では
                大企業の建物がにょきにょきと
                空を覆い
                


                奇跡の1マイルの通りは
                人々であふれ
                聴きなれぬ言葉が飛び交い   
                皿に盛った食べ物を平らげて
                不消化のままに
                駆け回っている



                突然の土砂降りに
                どっしりと座っているシーサーは
                黒い空を見据えて
                動じない



                その建物はひんぷん
                大雨の中
                つったって
                その屋根はこぶし






                
                             
                


                
                
           

ちょうねんてん(てんねんのび)

2016-08-07 09:30:23 | 日記

                     ちょうねんてん(てんねんのび)


               ふん、なにさ
               立ち上がって
               いつでもむかっていくさ
               

               ふん、なにさ
               銃剣の間に立ちはだかった
               人々の
               子や孫さ



               ふん、ふん
               頭をふんづけておいて
               よくまあ
               なんて美しいおことばの列
               よーいえるよ
               


                   頭の中に虫を飼っているんだ
                   虫がな
                   怒鳴るんだ
                   おい、こら
                   金目が
                   金目が大事
                   ぬちどぅ宝なんて
                   どこぞの言葉だ?
                   金目が一番
                   金を並べて
                   夜な夜な数えればしわよせさ
                   あっと
                   しあわせさ
                   額に汗ではなく、しわ
                   眉間にしわ
                   思うように動かないやつらには
                   力づくでどいてもいただく
                   もちろん金は渡してあげない
                   いうこときかないから、当然でしょ


            
              だましがいもないほど
              ころり
              おれおれ
              サギにあう
              美しい
              建前の
              国
                 
               

真昼のひかり

2016-08-02 22:06:09 | 日記
                     
                    真昼のひかり


                 夏の真っ白な光に
                 めまいして
                 ふらふらっと
                 


                 崩れた
                 膝
                 大粒の汗が
                 落ちた時
                 世界が
                 さかさまに
                 逆流した体液は
                 どこへ流れていったらいいのか
                 わからず


                 パニックって
                 身の置き所がなく
                 


                 この身を横にしても
                 横にはなれず
                 立てば
                 立っていられず
                 叫び声は
                 叫びにもならず
                 ただただ
                 胸をかきむしり
              


                 この世界が
                 暗黒の
                 救いようのない
                 時代に
                 吸い込まれていく
                 恐怖


                 
                 バランスは
                 アンバランスが
                 正常である
                 のか


                 
                 吐き出した酸っぱい体内の
                 贓物が
                 まっくろ黒
                 怪物に飲み込まれた哀れな姿で



                 恐ろしさの中                 
                 抵抗を
                 それでも
                 あらわすものがいる
                 かすかなひかり
                 に
                 救いの
                 一滴の雨