ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

背中

2015-03-27 14:28:26 | 日記

                      背中



                  背中の荷は
                  想像できない

                  
                  後ろ姿に
                  春の日を想い
                  年月を
                  思い知る


                  その珈琲屋は
                  春の日のままで
                  整然とし
                  余計なものは置いていない
                  並べられた年代物のコーヒーミルだけが
                  そのたどってきた時間を物語っていた



                  コーヒーの香りも味もそのままで
                  思わず
                  涙が
                  1滴
                  あのころの苦味を
                  思い出していた
                  コーヒーの味は
                  しらない
                  ただかっこつけて飲んでいただけで



                  こだわりはアイスコーヒー
                  マスターは
                  白い眉に
                  白い髪で
                  にこにこ


                  あのころは
                  眉間にシワ寄せて
                  コーヒーをだしていた




                  丸くなった背中
                  甘いコーヒー


             
                  背中で聞く
                  マスターの声



                  「ありがとうね、アイスコーヒーがおいしいよ」



                  今度は
                  逆らわずにアイスコーヒーにするさ
                  


                  「またきます、おいしかった」