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セシル・テイラーの初期のアルバム(THE WORLD OF CECIL TAYLOR)

2023-03-22 | JAZZ
セシル・テイラーの初期レコードの最後は、キャンディッド・レーベルの2枚+1です。

「THE WORLD OF CECIL TAYLOR」 CANDID 9006(SMJ - 6204)
  
1. AIR(*)
2. THIS NEARLY WAS MINE
3. PORT OF CALL
4. E.B.
5. LAZY AFTERNOON(*)
CECIL TAYLOR (p) BUEL NEIDLINGER (b) DENIS CHARLES (ds) ARCHIE SHEPP (ts) (*)
録音 1960年10月12, 13日

このアルバムは、アーチー・シェップの2曲での参加が良い意味での味付けとなっています。
1曲目の「AIR」では、シェップが最初の部分で参加しメロディックでスマートなプレイを披露しています。
それに続くセシル・テイラーのピアノは、高音部を使った早いパッセージで、これにブエル・ネイドリンガーのベースがしっかりと絡んでいて、更にデニス・チャールスのドラムスと丁々発止の場面が登場してくるという展開となっています。
続くハーマンスタインとロジャースの「THIS NEARLY WAS MINE」は、テイラーの従来の演奏とは異なりメロディックで、まるでピアノとべースが対話しているように感じます。
続いての「PORT OF CALL」は、鍵盤を打楽器の如く強く打ち鳴らし、左手でリズムを取りながら右手は早いパッセージの連続でめまぐるしく動き回りますが、ベースとドラムスがパターン化されたリズムを演っているので、意外とスイングしています。
レコードのB面に移って「E.B.」はピアノをフルに鳴らし、エネルギーの塊が10分近く続く演奏で、これにベースとドラムスも応答していてテイラーの本領発揮といった内容です。
最終曲の「 LAZY AFTERNOON」は、最初の「AIR」と同様にアーチー・シェップのメロディックなフレーズと、テイラーの不協和音を使いながらもコードに沿った演奏で好演しています。


下の2枚の内容は同じもので、CBSソニー盤はボーナス・レコードとして世界に先駆けて復刻され、ビクター盤は後に正規ルートで発売されています。
国内盤の解説を担当している岩浪洋三さんと、悠 雅彦さんによるコメントは、それぞれの観点から書かれており、これらの音楽の背景を知るには貴重な資料です。
そして、これはブエル・ネイドリンガーのリーダー・アルバムであることから、1曲目の5管+トリオの演奏などは、セシル・テイラーが参加しているとは言え、アンサンブルを中心とした内容となっています。
このアルバムで、セシル・テイラーを聴くにはトリオで演奏されている「O.P.」と、アーチー・シェップが加わった「I FORGOT」と「THINGS AIN´T WHAT THEY USED TO BE」の3曲となります。

「CECIL TAYLOR ALL STARS feat. BUEL NEIDLINGER」SONF 01107 / SMJ - 6205
   
1. JUMPIN´ PUNKINS
2. O.P.
3. I FORGOT
4. THINGS AIN´T WHAT THEY USED TO BE
#1, 4
CLARK TERRY (tp) ROSWELL RUDD (tb) STEVE LACY (ss) ARCHIE SHEPP (ts)
CHARLES DAVIS (bs) CECIL TAYLOR (p) BUEL NEIDLINGER (b) BILLY HIGGINS (ds)
録音 1961年1月10日
#3
ARCHIE SHEPP (ts) CECIL TAYLOR (p) BUEL NEIDLINGER (b) DENNIS CHARLES (ds)
録音 1961年1月9日
#2
CECIL TAYLOR (p) BUEL NEIDLINGER (b) DENNIS CHARLES (ds)
録音 1961年1月9日

その「O.P.」は、ベーシストのブエル・ネイドリンガーの作曲によるもので、最初と最後にベースによるテーマの提示があり、その後のテイラーは、ベースが刻む4つの音の上を最初から最後まで自由奔放に弾きまくっています。
また「I FORGOT」は、4者のノン・リズムによる幻想的な演奏です。
エリントンの「THINGS AIN´T WHAT THEY USED TO BE」は、全員によるテーマ演奏に続いて、テイラーが絶妙なアドリブを披露した後、ピアノ・トリオをバックに順次ソロを担当する展開となっていますが、ここでもアーチー・シェップのソロが目立ちます。

なお、下に掲載したアルバムの中で、セシル・テイラーが参加しているのはトリオによる「P.O.」のみ(上記アルバムは「O.P」)ですが、当時の演奏をできるだけ多く聴きたいとなればこれも貴重です。
内容は上記のアルバムの#2のテイク違いで、演奏パターンは同様ですが、上記の演奏時間は9分11秒で、こちらは7分30秒となっています。

「READY FOR THE 90´S」 K2B2 2069
  
* P.O.
CECIL TAYLOR (p) BUEL NEIDLINGER (b) DENNIS CHARLES (ds)
録音 1961年1月

ここまで、セシル・テイラーのデビュー時代の演奏を順次聴いてきましたが、後年のヴォイスを交えたりしての完全フリーな演奏に比べ、演奏の構造がはっきりしていて難解には感じないモダン・ジャズであるとの印象を再認識しています。

コメント
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