酒と畑に戯れるオヤジな私

酒を飲み、土を耕し、人と語り、日々に感動しながら楽しく生きるブログ

コミュニケーション 二題

2008年01月17日 | コミュニケーション
今日は 私の研修師匠F氏から聞いたタクシー・ドライバーの話です


F氏は 毎年 滋賀県の研修に出講しています

あるとき いつものようにJR大津駅から タクシーを利用したのでした

改札口を出て 駅前に並んでいるタクシーの列に向かいます

先頭に並んでいたタクシーの運転手さんが 車から降りてきました

40年配の 男性運転手さんです

彼は 笑顔でお辞儀をしました  そして 後部座席のドアーを開けてくれました

「いらっしゃいませ  どうぞ・・」

「お願いします」

F氏は ある種の予感がしました  ”いい運転手さんに当ったな”

案の定でした

目的地のSまでの車中30分弱は 短く感じられました

ふたりとも 関心のある歴史 戦国時代の話題で 会話が弾んだのです

お互いの笑顔で別れたあとも いい余韻が残りました

翌日の研修も この話が導入になりました

”昨夜は 運転手さんと よいコミュニケーションを交わすことができました”


そして 昨年です

同じ場所での研修でした

大津駅の改札を出ます

いつものように タクシーが並んでいます

講師のF氏は 昨年の運転手さんを思い浮かべました

しかし 先頭に並んだ車からは 誰も降りてきません

車に近づいても 後部のドアも開きません

F氏は ドアのガラスを軽くコンコンと叩きました

ドアが開きます  運転手さんは無言です

「Sまで 行ってください」  頷いてはくれましたが これまた無言・・・

「運転手さん 寒くなりましたね」 「景気はいかがですか」

走り出してからの 会話も弾みません  「うん まぁね・・」

なにを言っても 低い声・・ それも つまらなそうに・・

F氏の胸のうちに ある感情が芽生えます

”昨年と 大分違うな 愛想もない 黙っていよう・・”


しばらくして タクシーが信号待ちで停車しました

そのときです

はじめて 振り向いてF氏と顔を合わせた運転手さん・・

「しかし お客さんも珍しいねぇ」

「え? なにが・・」 不審に思ったFさん

「なにがってさぁ・・Sまで行くのに 大津から乗るお客さんは ほとんどいないよ

これから行くとこなら 大津から乗らないでJRのS駅からタクシーに乗ったほうがいいよ

JRも頻繁に出てるし 第一安上がりだよ」 ボソボソと低い声だったそうです

・・・・・・・・・・


飲みながら話していた師匠のF氏は ここで話をやめて いたずらっぽく私の顔を見つめるのでした

話す・聞くを介した人間関係・・・

人間同士のかかわりあいは はかり知れない面白さがあるものですね