店内には、Hampton Hawesの「The Trio Vol. 2」が、かかっているところであった。
現在演奏されているレコードのジャケットは、オーディオ装置の脇に置かれた木製のスタンドに立てかけられている。
レーベルはComtemporary Recordsで、録音は1956年。この「Trio」のシリーズはVol.1からVol.3まである。
1950年代にこれらのレコ-ドで成功を収めたHampton Hawesであったが、その後の人生は波乱万丈であった。
この時代の多くのジャズメンがそうであったように、彼もヘロイン中毒に陥っていた。1958年には、ヘロイン取引のために逮捕され、禁固10年の刑に処された。
その後ケネディ大統領によって1963年に与えられた特赦によって、自由を得た。放免されたホーズは、演奏と録音を再開した。
このレコードのジャケットに写る彼の表情は虚ろである。
どこかしら陰鬱で、既に相当なヘロイン中毒になっていたのでは、と思わせるポートレイトである。
ただし、その演奏は、このLPのジャケットに写るHampton Hawesの表情とは違い、溌溂としていてとても躍動感がある。
1950年代半ばのジャズの粋を感じさせてくれる魅力的なレコードである。
この店のスピーカーは、Hales Desingn GroupのConcept Threeであるが、ほとんど見かけないレアなスピーカーである。
興味を抱いたので、コーヒーを飲みながら、スマホに「Hales Desingn Group Concept Three」と入力して検索してみた。
発売されたのは1998年のようである。特徴的なのはポリマー系セメントをバッフルの素材として採用していることである。そのため重量が1台82kgもある。
ユニットとして、低域には20cmコーン型ウーファー、中域には5cmアルミドーム型スコーカー、そして高域には2.5cmハードドーム型ツィーターを搭載している。
これらのユニットは、フォーカル社やビファ社に特別注文したもので、またその他のパーツであるコイル、コンデンサー、ターミナルポストなどはカルダス社ものを採用するなど、 オーディオ界で名の通った信頼性の高いユニットやパーツが贅沢に使われている。
「重量が82kgって、相当な重さだな・・・一人での移動は難しいだろうな・・・」と思いながら、そのデーターを眺めていた。
「Concept Threeってことは、Concept TwoやConcept Fourなんかもあったのであろうか・・・」と思って、さらにスマホで検索してみると、この下にConcept Twoがあり、そして上位にやConcept Fiveがあったことが分かった。
Concept Twoは2ウェイで一回りコンパクトになり、Concept Fiveは同じく3ウェイであるがより大きくなり、重量も102kgに達する。
Concept Threeは、3人兄弟の真ん中という位置づけのようである。
「Concept Twoなら、横幅が250mm、高さが910mm、奥行きが420mmと、コンパクトなトールボーイ形状だから、我が家の狭いリスニングルームにジャストサイズかもしれない・・・」などと、脈絡なく思った。