AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

1607:けれんみのない音

2010年08月07日 | ノンジャンル
 「けれんみのない」という表現がある。素直な感じ、さっと調理してあれこれ弄くりまわすことなく出された料理のような印象を持っていた。
 
 「けれんみ」を辞書で調べてみたら、「わざとらしい誇張」「雑な味わい」といった意味とのこと。その「けれんみ」が「ない」のであるから、「ハッタリや誤魔化しがなくて正統的な」という意味になるようである。



 今日は中国への語学留学から一時帰国されているYさんのお宅を訪問した。そして、Yさんのお宅で音楽を聴かせていただいて、頭に浮かぶ言葉は「けれんみのない音」。わざとらしさ、くどい感じ、演出過多な印象がまったくない。

 ドイツ製のユニットを使ったスピーカーは後面開放のキャビネットに収められている。キャビネットの中には吸音材の類は一切ない。

 「箱鳴り」のないこの構造が効いているのであろうか、音がためらいなくすっと出てくる。こういった音の出方がYさんの心を捕らえたようで、従前のメインスピーカーであったTANNOY製のスピーカはストック・ルームで惰眠を貪っている。

 このキャビネットは専門業者に依頼して造られたもの。作製から1年半が経過して、なじみが良くなってきた頃合である。

 ジャズやクラシックのLPやCDをいろいろと聴かせていただいたのであるが、特に相性が良いと思われたのが、チェンバロとリュートである。

 こういった古い時代の楽器の音の質感が実に良い感じで出るのである。チェンバロやリュートが一世を風靡した時代の音楽というのは、もともとけれんみがない。そのけれんみのなさ加減が、このシステムでは一層感じられるのである。

 MORE AND MOREの欲求は尽きることがない。過剰なものを求めるのではなく、本当に大切な要素を丁寧に扱う。そういった作法のようなものを感じさせてくれる音である。

 Yさんのお宅から車で少し行ったところに、日本では珍しいウイグル料理の店がある。オーディオで音楽を堪能した後にそこで食事をするのが恒例である。今日はその店で昼食を食べた。シシカバブ、ウイグル風焼きうどん、ウイグル風ミートパイなどを食したのであるが、とても美味である。

 すべて羊の肉を使っているが臭みはなく丁度良い具合に香辛料が混ざり、丁寧に作られている。しかも値段が驚くほど安い。ここでもけれんみのない味わいを堪能することができた。


コメント