AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

老婆は一日にして成らず

2006年11月08日 | ノンジャンル
 綾小路きみまろのギャグに「私、実はハーフなんです。父親は痛風で、母親は糖尿なんです。」というものがあった。思わずにやけてしまうギャグである。「私、実はハーフなんです。」と唐突なフレーズでつかみ、一拍置いてスッと落とす。この間が気持ちいい。

 ブルックナーの交響曲にもよくそういった間が登場する。間のあとでぜんぜん違ったフレーズが唐突に展開されたりするのである。最初は「な、なんだ・・・」という印象なのであるが、聞きなれてくるうちにその間が相当気持ちよくなってくる。「これこれ・・・これがいい・・・」という具合である。

 「これこれ・・・これがいい・・・」という瞬間はオーディオでも良く経験する。その気持ちの良いツボは人によって千差万別で、シンバルのジャーンにしびれる人、ウッドベースの沈んだ低音に酔う人、バイオリンのトレモノにうなずく方とまさに人様々である。自分のツボをしっかりおさえておけば、セッティングやオーディオ機器の選定のさいに重要な指針となる。

 私の場合、ソプラノやバイオリンが甘美な感じのする音色で上の方に音が抜けきっていく瞬間などに「これ、これ・・・これがいい・・・」と陶酔感に浸ることが多いようである。あとブルックナーのあの独特の間にも「たまりません・・・」ということになりやすい。

 笑いのツボがあるように感動のツボもあり、そこを的確にズボっと衝かれると、綾小路きみまろのギャグで中高年のおばさんが笑い転げるように、「これ、これ・・・これがいい・・・」となるのである。

 今日は大井町にある顧問先の会社からの帰りに、ちょっとダイナ6Fの試聴室に寄った。この6Fの小さい方の試聴室は私の一番好きな試聴室である。小さい方といっても15畳はあるだろう。横長配置で周囲はQRDで完全武装。今日はPEARがVIOLAのアンプで鳴らされていた。送り出しはカリスタとミメシス21。私の好きな甘美な音色である。これはVIOLAの持ち味であろうか。VIOLAのアンプは初めて聴くがいい味出している。「ハイエンド機器というのは味が命。」この味じゃないとダメというお客さんがいて初めて成り立つ世界のような気がした。
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