出品した「平和美術展」が始まったので観に行くことにした。カフェを開く時間までには帰ってこなければならないので、予定の観覧時間は30分だ。
受付で芳名帳に名前を記入していると、「もしかしたらアクリルの絵を描いている人ですか」と尋ねられる。「違います」と答えるよりも早く、受付の後ろに飾ってあった絵の前に立ったので、そちらの方を見てみると、なんと僕の絵ではないか。そこで「アクリルじゃなくて、パステルなんです。ただしパソコン上でですけど」と返事する。
それにしても、名前を書いただけでその絵の作者だと分かったということは、僕の名前をチェックしていたのだろう。本人はとっても自信がある作品を2点出したが、それはもしかしたら他の人の注意も惹いたに違いない。
出展作品のタイトルは、「飛行機雲」(一番右)、「丘の上」(真ん中)。
30分で帰るつもりでいたのに、横に立たれいろいろ話を振られるので、結局のところ45分も滞在する羽目になった。おまけに何かと話しかけてきた人が、名刺を見るとこの会の会長さんだとわかり、恐縮するアベさんであった。
油絵にしろ水彩画にしろ、手描きであることがありがたがられるが、僕たちが絵を目にするのは、画集だったり雑誌だったりと、実は本にするためデジタルデータに変換されたものにすぎない。絵はやはり原画に限ると言われても、ゴッホが好き、ラッセンが好きと言う人の多くが、映像や出版物で好きになっているケースがほとんどではないだろうか。
「それだったら、アナログで作品を描いてデジタルに変換するよりも、これからは最初からデジタルで作品を作った方が、原画と出版物との表現の誤差が少なくなるのでは」みたいなことを話したが、会長さんはわかってくれたかな。