フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

「ヒューストン、車輪停止」「了解、ディスカバリー。お帰りなさい。」

2010年04月21日 20時56分42秒 | 日記
おかえり、山崎さん。

いやもう、ほっとしましたよ。

さて、本当に選ばれ、そして訓練されたた人しか体感できない有人宇宙船の打ち上げ。今回山崎さんも体感した打ち上げがどんなものか。ぬたりの最近の愛読書「ライディング・ロケット」から抜粋してみる。

 ・・・轟音と振動とG力をべつにすれば、乗り心地はシミュレーターにそっくりだったが、それはサーカスの人間大砲を「耳をつんざく爆発とG力と吹きつける風をべつにすれば、点火していないダイナマイトのケースに腰かけているのとそっくりだ」というに等しかった。NASAの地上シミュレーターは、この乗り心地を再現できていなかった。
 「スロットルダウン」。上昇開始から40秒後、ディスカバリーが音速の壁を突破すると、振動が一層激しくなった-様々な部分が衝撃波を生じさせていた-外部燃料タンクの丸くふくらんだ巨大な先端部も、固体ロケットブースターの円錐状の先端部も、オービターの機首や翼や尾翼も、すべてをつないでいる支柱も。衝撃波が相互に影響をおよぼしあって空気力学的不協和音が発生していたので、機体がばらばらにならないようにエンジンの出力を落としたのだ。
 座席に力がかかって、がたつき、きしみをあげた。私は機体の柔軟性に驚嘆した。子供のころ、段ボール箱にはいって、涸れ谷の雪でおおわれたでこぼこの斜面を滑り降りたときのことを思いだした。そのときと同様に、こんなにがたがた揺れてるのに、コックピットはどうしてばらばらにならないんだろう、といぶかったものだった・・・

多くの人が想像しているとは思うんだけども、やはり乗り心地に関して言えば相当なものがあるようで。ちなみに著者はアメリカ空軍出身で、ベトナム戦争にて、RF-4Cの後席にて134回の出撃を経験済み(緊急脱出なんていうとんでもない経験もしてます)。それでこの記述なんだから、乗り心地に関しては推して知るべし。なおこの記述は正に山崎さんが搭乗したオービター「ディスカバリー」の処女フライト時の記述だったりするんですね。

一方着陸の時はと言うと(長いのでかいつまんで)

 ・・・軌道離脱噴射のあと30分間、変化のきざしはなかった。軌道にいた時となにも変わらなかった。160キロばかり惑星に近づいていたが、空気はまだ非常に希薄で、目立った影響はおよぼしていなかった。そして、行方不明になっていたM&Mチョコレートが隅から出てきてごくゆっくりと落ちはじめた。それが、私たちがもう無重力状態にないことを示す最初の兆候だった・・・太平洋上の高度120キロで、大気との摩擦が空気を熱しはじめた。コックピットの窓の向こうの輝きがオレンジ色から赤、白熱色へ変わった。私は首をねじって天井の窓を見上げた。白熱した空気が風に舞うリボンのようにひらめきながら流れていた・・・そんな驚くべきライトショーがくりひろげられているにもかかわらずコックピットは静かだった。風を切る音も聞こえず、振動もなかった。
 大気圏の奥まで進入し、G力は最大の2に達した・・・何日も続いた無重力状態から帰還したばかりの宇宙飛行士にとって、G力は何倍にも感じられた。象が肩に乗っているかのようだった。私の体は座席に食いこんだ。
 ・・・高度60キロを切ると、コックピットの周りからかすかに風を切る音が聞こえるようになった。ディスカバリーは宇宙船から飛行機に変わりつつあった・・・ディスカバリーの速度は音速以下になっていたので、あとからついてきた衝撃波が、今や前方を進んでいた。追い抜かれた時は機体が細かく振動した。
 高度20キロでディスカバリーの尾部の制御ロケットが高度の調整を停止した。ディスカバリーは今や完全な飛行機、空の生き物だった・・・飛行の最後の10分まで、滑走路は目視できなかった・・・
 ・・・太く短い翼しか持たないお粗末なグライダーのディスカバリーを、ハンクは時速およそ560キロで突っ込ませた。コックピットからだと、地球へ真っ逆さまに突っ込んでいくように見えた。高度550メートルで、ハンクは機首引き起こしを開始した。90メートルで、マイクが着陸装置をおろした。ディスカバリーは夜明け直前に、非の打ちどころのない着陸で砂漠に接地した・・・

打ち上げ時と違い、着陸時は振動はそれほどでもない様子。まあそうは言っても、旅客機のような感じにはいかないでしょうけど。著者もこの時はそれほどの心配をしていなかったと語る。ただ、静かな危険、というやつで、コロンビアの事故を例に取るまでもなく、再突入はかなり危険な行為であることは間違いない。

実際、この本読んでからは、本当にスペースシャトルのニュースにドキドキするようになった。そんな感じで見てたけれども、今回のミッション「STS-131」は無事終了。山崎さんをはじめ、クルー全員が無事に地球に帰還。いや、良かった良かった。
前回ブログでネタにした時の繰り返しになるけど、この「ライディング・ロケット」って本は、ホントに面白い。宇宙に興味があるなら必読の書だと思うし、今回の山崎さんの動向をちょっとでも気にした方も、山崎さんが乗ったスペースシャトルというものがどのようなロケットなのか、どのような経緯で今日まで運行されているかを知ることが出来るオススメの本だと思う。
上記の最初のミッションで共に飛ぶ女性宇宙飛行士と非常に親しく(信頼できる仲間として、の意味)なり、二人きりになった時、襲い掛かる衝動を必死に抑えなければいけなかった(当時著者は既婚)、なんて下品な記述もある。当然チャレンジャー事故の記述だって存在する。ちなみに上記の女性宇宙飛行士が、チャレンジャー号の事故で死亡した「ジュディス・レズニック」だと言えば、事故の記述がどのようなものになっているかの想像もつくだろう。
そんな本であります。日本人がディスカバリーで宇宙へ飛んだ、そんな時期です。
↓よろしければ読んでみませんか。見方変わりますよ。
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