フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

みんなでうたおう ゲゲゲのゲー

2024年04月24日 20時35分45秒 | 日記
子供の頃はとにかく怖がりでその手の話が大の苦手だったぬたりなのだが、子供の頃「水木しげるの妖怪辞典」をなぜか持っていた。確か世界の妖怪の本もあって、外国の妖怪は見るだけで死ぬとか容赦ないのが多くて、日本に生まれて良かったなあ、なんて子供ながらに思った記憶がある。怖がりのぬたりよくもまあこんな本を持っていたもんだとは思うが、そのあたりは一時代を築いた水木しげる先生の流石の影響力、って感じ。
本の内容は今となってはほとんど覚えてはいないのだが、一つ覚えているのは各県の妖怪伝承マップにぬたりの地元群馬県には小豆洗いの伝承が伝わると書いてあったことだ。
小豆洗いの伝承のある地域は群馬以外にもそこそこあるようで、妖怪とするとポピュラーな方。境港の水木しげるロードにも銅像がある。説明だと小豆を洗う音をさせる妖怪で姿を見たものは誰もいない、とまあ、どちらかというと微笑ましい妖怪ではありますね。実害があるとすれば「なんか不気味で怖い」「安眠妨害」くらいなもんだろう。
で、この小豆洗いであるが、さすがに団塊ジュニアのぬたりの身近な存在、というわけにはいかない。外を歩いていて小豆を洗う音を聞いたことはないし、経験談も聞いたことはない。昔話としても聞いたことはなかったから、小豆洗いの伝承はぬたりの住んでた地域ではなくて群馬の他の地域のものなんだろう、というのが子供ぬたりの結論だったわけだ。
そしてぬたりはアラフィフ。この年になると子供の頃のこういうなんてことない記憶を意味もなく思い出すもの。となれば「ではどの地域の伝承なのだ?」と調べる気にもなるもんである。
で、廃道とかと違い今回は案外簡単。民間伝承は研究している人も多く、ちょっとネットを叩いただけで群馬県発行の「群馬県史 資料編27」に記載があることが見つかる。早速最寄りの図書館へ行って該当の本を拝見。そしてそこにはちゃんと小豆洗いの伝承の記載があった。
いやもう、あるわあるわ。
小豆洗いに類する名前では県内22の地区で伝承があるとの記載だった。で、群馬の多くの地区では小豆洗いではなくて「アズキトギ婆」らしい。
最大公約数的なアズキトキ婆の伝承は、橋の下にアズキトギ婆が現れ「小豆を洗うか、人を取って食うか」と小豆を洗いながら歌っている、というもの。実際に人をさらったという伝承もある。このため小さな子供のいる親が「アズキトギ婆が出るから暗くならないうちに帰ってきな」と言い聞かせるわけだ。ひたすら小豆を洗う音を立てるだけで姿も決して見せないという多くの地域の伝承に比べると、歌を歌ったり人をさらったり、群馬のアズキトギ婆は少しアグレッシブなようだ。

それにしても、昨今不思議な現象は「心霊」や「都市伝説」ばっかりになっていて、妖怪の肩身はやや狭い感じ。話的にはそれぞれが亜種とも言える存在だと思うんだけど、妖怪話はなんというか「隙」がある。確かに人を襲ったり命を奪う妖怪話も多いが、「小豆を洗う音をさせるだけ」とか「砂をかけるだけ」とか「行く手を阻むだけ」とかと、直接的に人を傷つけない話も多い。「無念の死を遂げた人が祟り殺す」だの「国が隠蔽している。信じるか信じないかはあなた次第」などと、ただ恐怖心を煽るだけの話に比べれば、どこかユーモラスな妖怪の話の方が今の世の中には必要なんじゃないかと思いますけどね。大変なときこそユーモアって大事だと思うんだけどなあ。
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