(最後なのでちょっと長いよ)
滝からしばらく進むとそれまで頭上を圧していた屏風岩がふと途切れた。道はその隙を見過ごさない。
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一気にヘアピンカーブで高度を稼ぎ始める。
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更にもう1回。
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更にもう1回。結果3段の九十九折り。ここがヨッキれんさんが驚いた「道幅と勾配の決定的なミスマッチ」区間。幅的には下手したら車の擦れ違いすら余裕なほどであるのに、勾配が急すぎる。ヨッキれんさんの言葉を借りれば「自転車のフルブレーキングですら制止できないほど」の急坂。御巡幸の記録では「羊腸なる坂」と表現している。同じ旧碓氷峠最大の難所、刎石坂はここに勝るとも劣らない急坂だが道幅は比べるのもおこがましいほど狭い。本当に大行列の徒歩の一行を速やかに通すためだけに設計された道で、これは確かに珍しいかも。
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驚きの九十九折りを登りきると少しだけ視界が開けた。沿道では唯一と言っていい展望所で、おそらくは明治天皇一行もこれを眺めただろうね。遠くにはぬたりの出発地点、坂本ダムも見えるな。あそこから歩いてきたのか。ずいぶん遠くまで来たもんだ。
つーかこれからあそこまで歩いて帰らなきゃいけないんだが。
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景色を眺めるとほどなく旧中山道との合流だった。うん、ここは憶えてる。1か月半前のぬたりはここを左から右に抜けた。車道との分岐からここまでの時間はちょうど1時間半だった。今回はこの分岐で休憩。今回は魔法瓶にお湯を入れてきたのよね。
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山の中で食べるカップラーメンは・・・美味しくはないけど格別ですね(微妙な物言い)。分かってはいたけど魔法瓶だと熱湯じゃないから少しぬるいね。それでも空腹と雰囲気が調味料で加わるからホント格別。次からは折り畳みのガスバーナー買って持ってこようかしら?
ここからは戻るわけだが、途中から解放された歩道のとおりにめがね橋に下る予定で、一部ルートが違うので、看板の表記もよく読んでみた。
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増水時通行不可ねえ。前日は雨だったんだけど大丈夫かいな?
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そう言えば行きには気にしなかったが、旧中山道の分岐近くで、かろうじて通れるとは言え倒木が道をふさいでいる。最近の歩道整備された後の倒木かと思うでしょ。整備するんなら倒木とかは気になるもんね。
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ここまで苔むしてるからね。どう考えても整備より前からここにある。歩道整備してもどけないんだね。
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来る時に上った「羊腸の坂」を分かりやすいアングルで。かなりの力技の道開削ですね実際。でも現地に来れば分かるけど、屏風岩を避けて幅広の道を尾根筋まで上げるにはここしかないと思うな。そういう意味では地形を読み切った上での優れたルート選定だと思う。
さて、帰りは比較的気楽。御巡幸道路とめがね橋に下る歩道の分岐は行きに見た看板で間違いないことが分かったし、そうなればもう道に迷う心配もないし、かなりの距離は来た道を戻るだけ。それでも途中どのあたりに来ているのか一応確認しようと手近な石に腰かけようとした際、それを見つけちゃったのよね。
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何らかに野生動物のフン。彼らのテリトリーに独りでいることを改めて実感。ところでこれ何のフンかね? 黒豆じゃないからシカやカモシカではないし大きさ的にくまさんでもない。大きさ的にタヌキあたりだろうかね。
さて、めがね橋に至る歩道はかつての治山工事の作業道を転用したものであり、工事が行われたあたりは幾筋も作業道が分岐して下り方向だとちょっと迷いやすい。これは登りで探索して正解だったかも。
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こんな感じの治山工事が行われたみたいね。沢筋一つまるまるの改修だから結構大規模よ。
めがね橋へ下る歩道はその作業道を転用したもので、歴史も何もないのでそれなりのペースでほいほい下る。一気に沢近くまで下ってきた。
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水量は・・・それほど多くないな。もしも沢の量が多くて通れないとなりゃ御巡幸道路まで戻らなきゃいけないが、まあ大丈夫そうな感じ。そして山の上で見た「増水時通行不可」の場所が見えてきた。
なんだこのやる気のない橋は?
これが市役所が認めたトレッキングコースですか?
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近くで見てびっくり。橋じゃないよこれ。普通にホムセンで売られてる伸縮性のハシゴをただ渡しただけ。こんなんで大丈夫かいな。
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大丈夫じゃないです、むっちゃ揺れます。板ならともかく足の乗せ場のほとんどないこんなハシゴ、ぐらぐらしてたら渡れないよ。
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結局ハシゴの下流の岩をジャンプして渡った。勘弁してよホントに。とは言えここまでくればあとは基本舗装された道。
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ほどなく地域一番の観光スポット、めがね橋に到着。事ここに至って、ようやく重要な看板を発見。
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この二つはホント注意よ。だからぬたりはこんな寒い時期に来てるんだが。
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ここから先はぬたりにとってはウィニングランみたいなもの。めがね橋からは遊歩道整備されたアプト鉄道時代の廃線跡「アプトの道」を辿れば車を停めた駐車場までは苦もない。10分ちょっとで車まで戻れたわ。
さて、ぬたりの今回の主目的は「御巡幸道路の踏破」と「トレッキングコース化されて御巡幸道路はどう変わったか」という事で、踏破は問題なく達成。
で、正式に歩道化された部分の御巡幸道路は変わったか、という問いには「ほとんど変わってない」という答えで良いと思う。人が入ったから昔に比べれば歩きやすくはなってるんだろうが、めがね橋近くの沢を渡るのが既製品のハシゴってところからも分かるように、歩道化に関してはおそらくあまり予算をかけてない。めがね橋~御巡幸道路まではおそらく治山作業道をそのまま活用しただけだろうし、下草刈りくらいしか行われていないんじゃないだろうか。
そもそもトレッキングコースとして全くと言っていいほど取り上げられていない。関係ホームページにもその記載はほとんど見られないし。旧中山道には旧跡に案内看板がかなりの数あるが、御巡幸道路には「御巡幸の記」に記載のある屏風岩も飛瀑も羊腸の坂も、全く案内看板がない。整備された際には県内版の新聞中心とは言えニュースになって、トレイルランニングにも、なんてコメントもあったが、その割には沢筋の路盤消失あたりもあるのは踏み跡程度で本格的に修復されている風もなく、走らせるにはかなりおぼつかない。
もちろん今後時間をかけて整備されていく可能性も高いのではあるが、現状はまだまだ廃道時代とそんなに変わらない、と言うのが結論で、知らない人がめがね橋から旧中山道との合流までを歩けば「あまり人気がなくてそんなに整備も行き届いてない、そのくせ一部道幅は無駄に広いトレッキングコース」という印象を抱いて終わりでしょうな。
まとめれば、トレッキングコースとしては今後に期待、歴史ある道としては廃道気分が味わえる今のうちに行っとけ、って感じですかね。実際楽しかったですわ。明治期の石垣をお腹いっぱい味わえた感じだし、石垣が見られる部分は今のところ今後も整備される予定はないから、マニアの間でしか見ることも語られることもないしね。総じて楽しい一日になりましたわ。群馬に住んで40年以上経ちますが、まだまだ身近なところにも宝物の様な場所が眠ってるもんなんですねえ。