勿論期待はしていたんだけれども、NHK-BSプレミアムにて
「にっぽん縦断こころ旅」の2013年春の旅が始まり、朝職場に行くのが確実に遅くなっているぬたりですこんにちは(挨拶)
・・・いや、遅刻はしてませんからね!!
ともかく、最近では一番のお気に入りの番組が続いてくれているのはうれしい限り。何しろこの番組一発で、ぬたりは身元バレをしないように受信料すらコンビニ払いにしてたのに、NHKネット会員にまんまと登録して、まんまとNHKに連絡先を抑えられてしまったくらいだ。もう引越ししても多分逃げられないなあ。まあこの番組に予算があたると思えば受信料の支払いなんて苦にもならんが。
この番組、何が良いって面白いのが良い。いや、そんなん当たり前なんだが、言い換えれば、この番組のスタッフは、この番組の何が面白いかを熟知したうえで番組を制作している、という事がはっきりわかるのね。
いくつか例を挙げる。そもそも旅人である火野正平さん自身が魅力的ではあるんだが、最初からその一挙手一投足をカメラで抑える気でいたようだ。そこには、この人が旅をすればその反応自体が面白いから、「ヨーイ、スタート」で回しても魅力を削ぐ、という事が分かり切っていた証拠でもある。
そのために自転車は、火野さん、カメラマン、音声、ディレクター、メカニック、の5人体制となった。通常の旅番組では、ロングで走っているところを映す場合、こうした同行スタッフは隠れるのが常識である。
この番組は隠れない。必ずスタッフも写り込む。最初の頃は隠れていたんだが、本によると火野さんが「みんな見てれば後ろをスタッフがついていってるのは分かるんだから、なんでわざわざ隠れるんだ? その方が不自然だ。みんなで映ろう。」と言ったからこういうスタイルになったらしい。ここで「いや、スタッフは映らないのが常識ですから」とならなかったところがえらい。これにより、編集しても旅の連続感が感じられるようになったし、編集の恣意的な感じもなくなった。
旅の性質上、列車に乗ることも多い。たまに長距離の移動を行う際には新幹線や特急を使う。さて、芸能人が移動するわけである。常識的には席はグリーン車を取る。周りに人が来たら困るからね。
この番組は頑なに普通指定席での移動である。「いつかグリーン車に乗れるようになりたい」なんてネタにされるくらいである。理由は簡単。周りに人がいた方が面白いからだ。
火野さんを見た周りの人の反応、周りの人に対する火野さんの反応、それらも番組の面白さなんだ、という確信があるからの事だと思う。予算がないわけじゃないんだから。
反応、という事に関連するけれども、火野正平という人はかつてワイドショーを「女泣かせ」で賑わせた人である。今はもう60才を超え、「女泣かせ」はネタになるが、女性に対するナチュラルな反応は健在で、それはそれは女性に声をかける。売店の若い女性店員に「何が良いですか?」「君」という会話がサラッとできるんだから、筋金入りである。
そういうのを天下のNHKで朝(7:45-8:00)から放送するか普通!?
いや、多分これ確信犯。この手のネタを民放でやったらただただ下品だけども、NHKでやると不思議とギャグになる。ロケットがいくつか並んでいるところで、小さいロケット指差して「純(カメラマン)の」大きいの指差して「俺の」と言う。
体のどの部分の事言っておるのだ火野さんよ!?というそれはそれは下なネタも、NHKで朝っぱらからやるからこそ笑えるギャグになる。こんなやんちゃして、よく怒られないよなあ(※)。
ギャグばっかりでもない。火野さん自身が「俺は昔の言動から、みんなに良い目で見られてないかと思ってたけど、みんな優しい」と言っていたとおり、火野さんと会う人会う人みんなすごくいい顔で笑っている。その現場が東日本大震災の被災地だったりするわけだから(2012春の旅は被災地を回りました)、微笑ましんだか感動的なんだか悲しいんだかよく分からない感じになる。前にも言ったが、番組のタイトルにあるとおり、出てる人、手紙出した人、スタッフ、そして見てる人、みんなの「こころ」が見える稀有な番組だと思う。
番組は今年の秋の旅まではほぼ間違いなくやる。今年1年は楽しませてくれるというわけ。いろんな人の「こころ」と、向き合っていきたいですね。
なお、この春の旅、ぬたりもこころの風景を手紙に書いてNHKに送っている。最初の旅の時ですら1万5千通程度の応募があったらしいし(採用は40通程度)、今はもっと増えているはず。だからどう考えても採用されるとは思えないが、それもまた楽しみに見ていきましょうかね。
※
やんちゃしてる番組はよくこう言われますが、アニメ「銀魂」の高松監督はそう言われるのに対し「いや、裏ではしょっちゅう怒られてます」とおっしゃってましたな。