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とんでも無いデマゴーグ、高橋洋一!  文科系

2014年07月07日 21時28分24秒 | 国内政治・経済・社会問題
 講談社の現代ビジネスサイトに、高橋洋一とやらのこういう題名と要約が付いた記事が載っていた。
『【高橋洋一「ニュースの深層」】 北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ』

 さて、この記事の主要部分にこんな文章が載っている。
『この時期に、日朝の拉致問題が急展開していることと、中国の対北朝鮮政策が変貌していることとは決して無関係でない。そして、この北朝鮮崩壊シナリオを、中国と韓国がある程度共有しているからこそ、中韓の蜜月状態があると考えたほうが自然だ。
北朝鮮崩壊後は、ベルリンの壁崩壊後に西ドイツが東ドイツを併合したように、韓国が北朝鮮を飲み込む。ただし、これで中国と接する新たな「韓国」は、中国と「同盟関係」になるということだろう。
しかし、これは今のアジアの安全保障状況を大きく変化させる。
まず現状を整理しておこう。アジアでの安全保障体制は、米国による二国間同盟(日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法など)が基軸になっている(下図)』
『ここで、興味深い国際政治理論を紹介しよう。筆者が米国プリンストン大時代に、マイケル・ドイル教授から習った「民主的平和論」(democratic peace)だ。
それは「民主主義国同士では戦争をしない」というもので、そのルーツは、カントの「永遠平和のために」(1795年)などにある。そこで、多くの人は自衛以外での戦争を望まないとしている。ドイル教授らはこうした考え方を整理して、理論づけてきた学者の一人だ。
ドイル教授は、民主国家同士の交戦可能性が相対的に低いのは社会科学的事実だとしている。
その理由は、共通の価値観を持ってイデオロギー対立がなくなること、複数政党を背景にして議会主義的交渉能力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報がよく公開されていること、民主主義国では戦争の大義がないことなどが挙げられる。ここで、民主主義国とは、男女普通選挙、複数政党制、報道の自由の確保などが基準になっている。
この対極にあるのが一党独裁だ。日本の周りには一党独裁国家が多い。そして、民主的平和論の応用として、一党独裁国家同士は戦争になりやすい。また、一党独裁国家と民主国家の間では、時に戦争が起こる、とも言えるだろう。』

 以上への批判だが、要は独断命題が多すぎるということだ。まずこれ。『民主主義国同士では戦争をしない』。次は少々長くなるが、
『ドイル教授は、民主国家同士の交戦可能性が相対的に低いのは社会科学的事実だとしている。その理由は、共通の価値観を持ってイデオロギー対立がなくなること、複数政党を背景にして議会主義的交渉能力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報がよく公開されていること、民主主義国では戦争の大義がないことなどが挙げられる』

 ドイル教授とやらに聞きたい。20世紀後半から、21世紀にかけて世界で最も出兵したことが多かったのはアメリカだと思うが、その戦争理由がこれでは説明できない。とすれば、こんなお説よりもアメリカはなぜこれだけ戦争をするのかを論ずる方が世界平和にも、ドイルさんが取り上げたカントの「永久平和のために」にとってもより重要なのではないか。そしてもう一つ、「民主主義」国家というのを屁理屈で解釈している。アメリカをこれに加えるためにという理屈でこうなっているのでもあろうか。民主主義国家って、ドイルさんとやらが叫んでいるこういうものであるのか?「イデオロギー対立がなくなること、複数政党を背景にして議会主義的交渉能力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報がよく公開されていること、民主主義国では戦争の大義がないこと」

 対して、民主主義の言語的定義は、こういうもののはずだ。①人民が権力を有し、行使すること。②基本的人権、自由権、平等権。③多数決原理。④法治主義、などなどのはずである。この民主主義の正しい定義、解釈によれば、アメリカってかなり酷い国になるだろう。
 ①金持ちが権力を有している。国民皆保険を目指そうとしたオバマが「税金を納めない奴に親切すぎる」と共和党大統領候補に非難される国であるのだから。人民が権力を有しているのであれば、こんなことは堂々とは語れないはずである。②平等権はない。だって、相対的貧困率が先進国では有数に日本と並んで高いのだから。④法治主義? 嘘の理由をでっち上げて戦争できる国は法治主義とは言わないだろう。

 とんでも無いご都合主義のアメリカ論と現下安倍政権画策に迎合した議論をよくやるもんだ。今僕が述べた民主主義論をちっとでも分かっているならば、今の世界の中のアメリカを持ち上げなどできるわけがない。中国よりも劣った国家であろう。少なくとも今の中国は、嘘の理由をでっち上げて遙かに自国よりも遠い国で対外戦争はしないだろう。一事が万事、このことだけでアメリカの酷さが分かるというものだ。時代迎合の愚か者、つまり曲学阿世。そう、この高橋洋一を読んだものだった。
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「僕のベスト4」、「ベスト2」  文科系

2014年07月06日 09時04分37秒 | スポーツ
「僕のベスト4」は、ベルギーもコスタリカも外れ! 両ゲームとも、相手とはかなり差があったと思う。ただその中では、コスタリカが見事に無得点の延長引き分けだから、1敗1分けになる。掛け率から言えば多分受け取り配当は五分というところ。コスタリカ守備が異常というほどによくやったので助かったわけだ。あれだけ攻められて0対0ってのが、信じられない。よほど組織的約束事がしっかりと考案され、しっかりと守られているのだろう。5バックのラインが綺麗に揃って、後半はオフサイドもよく取っていた。オランダが3-5-2という、両ウイングを外に異常なほど張り出す布陣なので、相性もよかったはずだ。ただ、あのコスタリカの布陣だと1970さんが言うように、ボランチと2列目が大変だ。と言っても、ワントップ以外の前4人がまた、守備時には1本のラインになるのだから、ウイングも忙しくて、疲れることだろう。走り続ける練習をどれだけ積んだことか!

 今回のWCはとにかく激しい。特にボールのひったくり合いが、その組織的および個人的技術の向上と相まって凄まじくなっている。ショートカウンターに結びつくひったくりを狙っているから、余計凄まじい攻防になるのだろう。サッカーの守備とはゴールを守る前に、身方から見て以前よりもさらに高い位置で敵ボールを奪うことなのだと改めて痛感させられた。いつも高い位置で相手ボールを奪えればシュートを打たれないという理屈だ。因みに、この理屈を生かした布陣、チームを初めて作ったのが、1985年のパルマからACミラン監督にまで上り詰めて、CL2連覇を果たした名監督・アリゴサッキ。今の、バルサ、バイエルンもしっかりとこの系統を継いでいるが、こういう戦術に「ショートカウンターでゴールに直結」という戦術を付け加えたのがドイツのドルトムント、そのゲーゲンプレス戦術である。世界的名選手を買う金は全くなかった弱小ドルトムントをCL決勝トーナメントの常連にした背景が、この戦術なのだ。ここの若手名監督ユルゲン・クロップをマンチェスターユナイテッドなどが強く望んだが、全てのオファーをクロップが断ってきたというのは有名な話。彼は多分、名門ドルトムントを創り上げて「ドルトムントのファーガソン」になりたいのだろうと、僕はここで何回も述べてきた。その結果、結局マンUモイーズの後釜に決まったのが、今回のオランダ代表監督ファン・ハールである。
 なお、サッキ・ドルトムント流「前でのボール奪取」に加えて、これに対抗するゴール前守備も非常に強められているというのがこの大会の印象だ。5バックが多いというのは、そういうことだろうと理解した。これらの強豪に比べた日本チームは、前でのボール奪取はもちろん、ゴール前はなお弱いという印象である。そのボール奪取に以前から非常な出来不出来がある日本だったが、この不調が1次リーグ敗戦の最大原因と今さらに分かるのである。前の方でボールが獲れそうもない雰囲気ならば、DFラインは下がらざるを得ない。肝心のコートジボアール戦はそれどころか、両ウイングもずるずると下がるという悪循環にまで陥っていた。このチームがサイドの競り合いで負け始めたら、勝敗は決したも同じだったと言える。

 さて、決勝は次の2チームと見る。ドイツとオランダだ。ドイツは上にも述べ、ここまでのコメントにも書き続けてきたドルトムント戦術が各クラブにも浸透しているという理由に加えて、ブラジルにネイマールと大キャプテン、チアゴ・シウバとが欠けるという理由よって。オランダ推薦理由は、こうだ。守備に徹したオランダは本当に強い。ファンペルシー、ロッベン、スナイデルという3人だけでも攻撃が出来てしまうからだろう。それに加えて、異常に外に張り出した左右のウイングがまたオランダの特徴で、もの凄く速いし、攻守に走り回れると来ている。総合力のオランダが、メッシ頼みのアルゼンチンを負かすと見るのである。
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花木槿我が念々を貫けり      らくせき

2014年07月05日 10時02分27秒 | Weblog
友人から貰った木槿が今年も咲きはじめました。
その名も底紅という、なかなか良い花です。
木槿は韓国の国花だったと思います。
日本の桜。韓国の木槿。
それぞれの民族の思いが込められた花ですね。
と、言ってもこの友人は日本人ですが。


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新聞の片隅に載ったニュースから(155)    大西五郎

2014年07月04日 16時16分07秒 | Weblog
「支出増え、ゆとりなし」 日銀、生活意識調査(14.7.4 朝日新聞)

収入は変わらないのに支出は増え、ゆとりがなくなってきた――。日本銀行が3日まとめた6月の「生活意識に関するアンケート」で、消費増税や物価上昇で家計のやりくりが苦しくなっている事情が浮かび上がった。
20歳以上を対象にした3カ月に1度の調査で、全国2275人が答えた。支出が前年より「増えた」と答えた人の割合から「減った」の割合を引いた指数はプラス25・1と、前回の3月調査より7ポイント増えた。これに対し、収入についての指数は前回から横ばいだった。さらに、物価が上がった」と回答した人は7割を超え、ガソリン価格が高かった2008年12月以来の高水準となった。
このため、今のくらしが1年前より「ゆとりがなくなってきた」と答えた人は43・7%にのぼり、13年3月以来の高水準となった。
景気が前年より「良くなった」と答えた人の割合から「悪くなった」と答えた人の割合を引いた指数はマイナス10・0と前回より3.6ポイント悪化した。1年後の景気も「変わらない」と答えた人が約6割を占めた。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

同じ紙面(ページ)に「賃上げ15年ぶり2%台 中小・非正規は低調 春闘 連合集計」という記事がありました。連合の集計によりますと、会社側に賃上げを求めた7174労組のうち、7月1日時点で約8割の労組が妥結し、平均の賃上げ額は5928円と前年よりも1062円多く、賃上げ率は0・27%だったということです。
しかし総務省が発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同期比3・4%の上昇でした(6月28日中日新聞)。2%の賃上げがあっても、3%の物価上昇に追いついていない生活実態を、日銀の調査は示しています。
さらに連合の調査で、中小企業の平均賃上げ率は1・76%、額にして2020円。大企業平均より1448円少なく、非正規社員の時給が増えたのは平均で11・64円でした。
やはり同じ紙面で「役員報酬1億円超 最多360人」と出ていました。数日前にも、日産のゴーン社長の2013年度の報酬が9億9500万円、トヨタ自動車の豊田章男社長も12年度より4600万円増えて2億3000万円ということが記事になっていました。
一方、6月27日に厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率は前月より0・01ポイント高い1・09倍でした。数字の上では仕事を探している人の数を上回る求人があったということですが、「求人の中心は依然非正規が占め、正社員に限れば求人倍率は0・67倍と3人に2人分の仕事しかない」(6月27日朝日新聞夕刊)というのが実情です。
アベノミクスは株高や自動車生産台数の増加など、一見華やかに進んでいるようにみえますが、庶民の生活を改善するには至っていないようです。
                                          大西 五郎
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随筆紹介  「爆 睡」    文科系

2014年07月04日 13時06分49秒 | 文芸作品
 爆 睡   H.S さんの作品です

   
 キリスト教の教えでは、人は死ぬと肉体は滅び消滅しますが、魂はこの世にのこり、後に残された人たちを見守り続けるといわれています。仏教の教えでは人は死ぬとどこかに生まれ変わり、命はつながってゆくと考えられています。突然皆様の目の前からご縁のある人が消えてしまいますが、これは生まれ変わるため、一時姿が見えなくなると思われた方がよいでしょう。年若い法話講師が広大な寺の庭の一角に立ち、何百人の人達を前にして話しはじめた。
 木立から降りてくる風が心地よく最良の法話日和だとうれしくなり、しっかり聞いてかえろうと身構えた。
 人は死んでもどこかにうまれかわるのか……。その言葉を心の中で復唱した時、体がふわりと軽くなった。?、?、?。
 突然、ざぁー。ざぁーと私の耳もとで大きな音響が湧き上がった。
 何事が起こったんだ。びっくりしたわたしは素早く周りを見渡した。それは、法話を語り終えた講師を労う人達のおおきな拍手のうねりだった。
 はじめの二、三分ぐらいの話を聞いて眠ってしまったようだ。居眠り? いやそんな軽いものじゃない。四十分の講演を丸ごと覚えていない。これは、爆睡だ。講師の話ぶりも好感の持てるものだった。だのに何故だ。人の話を聞く時はその話の中に入り込み、自分流の想像を膨らませるのが面白くて、居眠りなどする暇がない。そんなわたしが、こんなことをするようになっていた。
 劇場で落語を聞きながら、はじめから終演まで眠ってしまうおじさんに出会った。この人は、時間をかけ、交通費と木戸銭を払い、まわりの爆笑の中でも安らかに舟をこぐ不思議人だと、呆れて見ていた。が、今日のわたしは、おじさんと同じ事をやっているではないか。
 なんのために京都くんだりまで出かけてきたのだ。お寺が年二回春と秋に開催する親鸞さん、蓮如さんの生誕を祝うお祭日に合わせ、墓参りを兼ねて夫と二人で出かけるのは、法話と笙、篳篥、横笛など和楽器の演奏を聴くためではないか。毎年やっている我が家の年間行事だ。少々寝不足でも朝一で一座経をあげてもらい墓参りをすませ、駆け足で頼まれごともきちんとすませる。さあ自分の楽しみの時間と心弾ませていた。だのに、……。さぞ面白い話が聞けたことだろうにと、ちょっと悔しかった。

 日曜日、町内の清掃に出かけた。梅雨のさなかというのに、朝八時から気温は三十度に迫っていた。二時間の作業で側溝のごみを拾い、道の草刈りも終えることが出来たので、引き揚げ帰宅した。
一息ついたら買い物に行こうと茶を飲み、ソファーに座った。そこから、またもや……。?、?、?。
 バターンと大きな音がした。何の音だ……?。玄間ドアの開いた音だ。
 またまた、わたしは……、爆睡していた。

 袋に詰め込んだごみを車に乗せ、集積場へ運んで行った夫が帰ってきたのだ。
 前のめりで足がもたつく姿勢で、台所に駆け込んできた。
 「熱い……」、冷蔵庫からイオン水を出してがぼがぼ飲み込み、居間に引き上げた。
 今から、夫の運転で買い物に行く時間はない。昼ご飯の支度にかかった。
 「できたよ」と声掛けしたが返事がない。
 ソファーで休憩していた夫が爆睡していた。

 目いっぱい予定を消化しようとするのだが、体が追いついてゆかない。そういうことなんだ………。
 わたしの爆睡も落語おじさんの休眠も、その人の体力の限界を察知した感覚神経が無意識のうちに脳に信号を送り体を守るため幕引きをする、自衛行為だと気付いた。

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「外務省 目線は米に」  文科系

2014年07月03日 12時25分24秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 標記の題名は本日の中日新聞26面全部を使った記事の大見出しである。当ブログへのエントリーとして1日に「政府よりもアメリカを向く外務官僚」、29日に「集団的自衛権と谷内正太郎国家安保局長」を書いて来た僕としては、目を吸い寄せられたもの。記事内容を紹介してみたい。以下の『 』はいつものように、記事文章自身であることを示す。

 記事概要は言うまでもなく、集団的自衛権閣議決定について『戦後最大の安全保障政策の転換を裏で取り仕切ってきたのが外務官僚や出身者たちだ』というもの。第一の中見出し『首相と共鳴 要職に次々』。ここでは、外務省内親米派が安倍政権下で内閣の要職をさえ占めていく様子が順を追って示されていく。
 まず、柳井俊二元駐米大使。第一次安倍内閣で設けられた首相の私的諮問機関・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」座長に据えられた氏は、第二次安倍政権でもその座長になっている。次が、谷内正太郎だが、29日エントリー初めこのブログでずっと見てきたから省略する。次が、先日亡くなった小松一郎前内閣法制局長官。内閣法制局は、内閣の法解釈の番人であって、その長官は内部昇格が慣例とのことであって、ましてや外務省出身者って極めて異例な人事とのこと。そして、今回の解釈改憲自公与党協議の橋渡しを務めたと紹介されたのが、内閣官房副長官補にして、国家安全保障局次長兼原信克。

 そして二番目の中見出しが『「人を出せ」トラウマに』。これは、1991年の湾岸戦争で1兆7000億円も出したのに、「金だけ出して人を出さないのか」とアメリカから非難されたことのトラウマをいう。なぜこんなことがトラウマになるのか!? 3人の外務省飛び出し派と思われる方々が解説を加えていた。
 出世コースに乗るのは対米重視派ばかりとは、元駐レバノン大使天木直人。米国深入りは対アジア関係悪化にもなってきたと語るのが元中国課長の浅井基文で、氏はさらにこう言葉を次いで行く。
『湾岸戦争で米国が日本に軍事協力を強く迫ったことで、外務省は今のままでは日米関係はやっていけないと危機感を募らせた。そこでアジア局も対米重視の官僚が要職を占めるようになり、省内は米国一色になった』
 また、元国際情報局長孫崎享もこう述べる。
『92年ごろ、日米経済摩擦について首相官邸で協議した時、外務官僚が「そんなことをしたら米国が喜ばない」と発言し、経済官庁の人たちがショックを受けた。発言者はその後、次官になったので、残念ながら「米国が喜ぶかどうか」が外務官僚の価値判断になっていたと言わざるを得ない』

 さて、外務省主流は、対米重視「ムラ社会」を出世互助会、その手段に使ってきたように見えるのだが、どうだろうか。この外務省内ムラ社会(思想)が安倍政権でさらに勢力を伸ばして、今や内閣の支え手と、そう考えればこんなことも合点がいく。1日の拙エントリーで紹介させていただいた、ウィキリークス暴露の駐日米大使館公電に見る日本外務官僚らの何気なさ過ぎて、日常当たり前のような「対民主党政権で米国にスパイ活動、通報」という行為も納得がいくというもの。あれを読んだ時は開いた口が塞がらなかったが、今振りかえると己の行為の重大性にあまりにも無自覚であって、まるで子どものような。日本流「ムラ社会」って、案外そんなものかもしれない。ムラの外から見たら、後生大事がまるでアホのような。こういうムラ「能吏」の法則として普通、与えられた問題処理だけに励んで哲学が抜けがちという傾向があると観てきたが、内閣を動かして戦後最大の平和政策転換を起こした一大勢力というのが今後に向かって怖いことだと思う。

「そんなことをしたら米国が喜ばない」。これが本当に彼らの原理、つまり哲学なのだろうか。ウィキリークス暴露公電に顕れた彼らを観ると、孫崎さんではないが確かにそうと思えるのである。
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随筆   「惨めな?」発表会   文科系

2014年07月02日 15時34分31秒 | 文芸作品
 開けられたドアから、舞台に入ってゆく。確か舞台に向かって左端のドアだった。スポットライトが眩しい中央の椅子に着く。手にもったフェラーのタオルハンカチを譜面台の左横に、ギターを右傍らの床に置いて、椅子の高さと足台を調節する。次はその椅子に座って、譜面台の高さを調節する。ギターを構えてみてこれらが上手く行ったと確認出来たので、おもむろに調音に入る。こういうその間に、僕の紹介と、予め書いておいた自己紹介文章もアナウンスされた。
「退職後にギターを習って十年過ぎた去年、初めて発表会に出ました。なんとか弾けたので今年二回目の出場。練習を重ねてもなんか下手になっているように感じているこのごろですが、死ぬまでレッスンに通えたらと思っています」
 さて、調音も出来たところで、右に立ち上がって挨拶のお辞儀。メガネを外して床に置き、一曲目はメルツのロマンスで、二曲目がタレガの「エンディーチャとオレムス」。この10年、好きな曲だけをあれこれと入れ替えつつ今日まで20ほどを暗譜群として残しているのだが、中でも好きなこの2曲。これを弾いていてどうも、いわゆる上がってはいなかったようだ。弾き始めるまでの一連のことをさっき書いたように細々と記憶しているのだから。なのに演奏結果は、自己評価にして八割は弾けたなという去年よりもはるかに不出来で、三割ほどとしか感じられなかった。「文字通り穴があったら入りたいような。なんでこれほど惨めに感じるのかな」、演奏終了後ずーっと不思議に思っていた。でも不思議なことに、演奏経過、具体的内容の方はよくは覚えていないのである。

 一方は四分足らず、他方も三分ほどの曲だ。前者は二年ほど前から、後者はここ10年間、暗譜して定期的に弾き込んできた上に、ここ数か月は発表会用の特別な弾き込みをどれだけ重ねて来たことか。難しい数箇所は千回では到底済まないだろう。なのに特に一曲目なんかは、弦に指、爪がかかっている感じがしないのである。爪で弦を怖々と撫でているようで、もちろん良い音など皆無であると感じ続けていた。ただ弾くだけなのは嫌いで先生と相談して随所に自分の思い入れ箇所が設けてあるのだが、そんなイー部分でことごとく予定外の音が鳴る。あっ擦れたとか、あっ鳴っていないとか、そんなことの連続という印象ばかりが残っている。後で振りかえればここ数か月右手指の大改造をしてきて、かなり不安定だなーなどと、改めて思い知ったことが響いていたのかも知れない。

 さて、同じような年齢でギターの全てをすぱっと止めた人がいる。レッスンに通うのを止めた人もいる。彼らに比べれば僕などは退職後に先生についたギターだから、劣化は今もこれからも、もっともっと激しいだろう。だけど止めないと決めている。下手になったらもっと易しい曲をやればよい。同門で仲良しの小学五年ヒサキちゃんは、この発表会ではカルリの「プレリュード 10のアルペジオ・バリエーション」の第一番目だかをかなり堂々と弾いたが、あれなんかは僕の大好きな曲で、ずっと慣れ親しんできたもの。あれだけ残っても、それさえトツトツでも良いではないか。そんなことも考えてみる。どれだけ下手になっても、単純な曲でも、音楽は音楽。自分の音をあれこれと、その時出来る限りギターらしく、美しくならして、それを聴くという楽しみには代わりはない。執着に値すると感じられるものを持っていることが人生らしいと、そんな風に言い聞かせてみるのだった。
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政府よりもアメリカを向く外務官僚  文科系

2014年07月01日 12時22分33秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 一昨日は元外務事務次官でこの1月に初代国家安全保障局長になったばかり谷内正太郎氏、そのすっとぼけたような発言をご紹介した。今回は、ウィキリークスが世に知らしめたもの、米国駐日大使館が本国に発した公電の一部をご紹介しよう。朝日新聞が11年5月に入手して、当時少しずつ発表した物だ。以下二つともが民主党政権当時の外務省高官の名前、行動が出てくる。

 先ず、民主党内閣当時のいわゆる過去の核密約の追求、公表問題

【 東京の米大使館発で国務省あての2009年11月27日付公電によると、同日、米大使館でズムワルト首席公使と梅本和義・外務省北米局長が密約問題の扱いを協議した。同公使は「艦艇の核搭載をあいまいにしておくことは抑止戦略の重要な要素だ。ルース大使は調査の行方を懸念している。これは単なる国内問題ではなく、より広い地球規模の文脈で米戦略に影響が出る可能性がある」と述べた。

 梅本北米局長は米側の懸念に理解を示し、「やっかいな問題であり、たぶん普天間より難しい。(鳩山)現政権は『密約』調査がもたらす結果を理解していない」と応じた。その上で局長は、「核兵器についてさらに明解な説明を求める声にどう答えるのか、日米で非公式に協議を続けることが必要だ」と述べた。

 それから約2カ月後の10年2月4日付の東京発の公電によると、同日に開かれたキャンベル国務次官補らと梅本北米局長らとの協議でも、密約が話題になった。同次官補が、日米で対処すべき課題として「拡大抑止」、「核をめぐる歴史(日本で『密約』として知られている)問題」を挙げ、「米国の航空機と艦船が、核兵器の搭載を肯定も否定もせずに立ち寄ることができること」が必要だと求めた。 】


 次いで、外務省がアメリカに対して、新政府の頭越しかつ極秘裏にこんな約束をしたにも等しい問題。「対米関係は、民主党政権の自由にはさせません」。

【 発信地:東京 日付:2009/9/21 分類:極秘
キャンベル国務次官補と斎木昭隆アジア大洋州局長が会合
(要約)
1. 東アジア、太平洋地域を担当するカート・キャンベル国務次官補は、9月18日、外務省で斎木昭隆アジア大洋州局長と面会した。斎木局長は、新しい指導者である岡田克也外相を称賛しつつも、新しい政権が日本の官僚機構を従わせると脅しをかけているのは、結局は失敗に終わるだろうと話した

キャンベル次官補と斎木局長は、米国人ジャーナリスト2人を解放させるためビル・クリントン前大統領の使節団が訪朝したことや、6者協議を巡る最近の情勢、未解決の拉致問題、北朝鮮の人権状況について意見を交わした。斎木は東南アジア諸国連合(ASEAN)のような地域統合の枠組みを作る動きには失望しており、なぜ中国が日米中の3国協議に参加しないことを決めたのか理解できないとした。しかし、今度の日中韓3国の首脳会談については楽観的な見通しを持っていると説明した。斎木は、新しい民主党政権下での日米関係、日韓関係に言及して会談を締めくくった。要約終わり

(新政権と官僚機構)
2. 新しい民主党政権について、斎木局長は、新しく外務省を率いることになった岡田克也外相について「大変知的」として、「諸問題について理解している」ため、就任をうれしく思っていると伝えた。斎木は、岡田は自分の担当する分野(北朝鮮、韓国、中国)では何の問題も引き起こしていないと説明した。民主党政権が官僚機構の力を弱めようと脅しをかけてきたことについて心配している官僚もいるが、民主党がプロの官僚のプライドを打ち砕こうとしているなら、それは成功しないだろうと斎木は述べた。
(中略 ただしここは、北朝鮮の部分)
(民主党政権下での日米関係)
9. 民主党の指導者たちの「対等な日米関係」を求める動きについて、斎木は「すでに両国関係は対等なのに、何が鳩山由紀夫首相や岡田外相の念頭にあるのか分からない」と告白した。斎木は、民主党はまだ経験のない政権与党であるだけに、自分たちが日本の強力な官僚機構を抑えて、米国に対しても強く挑戦する新しく大胆な対外政策を行う責任があると示すことで、力と確信にあふれた党というイメージを広める必要性を感じているのだと理論づけた。斎木はこうした考えは「愚か」であり、「彼らもそのうち学ぶだろう」と述べた。 (後略 ただしこの最後の部分は、短い日韓関係) 】

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