標記の題名は本日の中日新聞26面全部を使った記事の大見出しである。当ブログへのエントリーとして1日に「政府よりもアメリカを向く外務官僚」、29日に「集団的自衛権と谷内正太郎国家安保局長」を書いて来た僕としては、目を吸い寄せられたもの。記事内容を紹介してみたい。以下の『 』はいつものように、記事文章自身であることを示す。
記事概要は言うまでもなく、集団的自衛権閣議決定について『戦後最大の安全保障政策の転換を裏で取り仕切ってきたのが外務官僚や出身者たちだ』というもの。第一の中見出し『首相と共鳴 要職に次々』。ここでは、外務省内親米派が安倍政権下で内閣の要職をさえ占めていく様子が順を追って示されていく。
まず、柳井俊二元駐米大使。第一次安倍内閣で設けられた首相の私的諮問機関・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」座長に据えられた氏は、第二次安倍政権でもその座長になっている。次が、谷内正太郎だが、29日エントリー初めこのブログでずっと見てきたから省略する。次が、先日亡くなった小松一郎前内閣法制局長官。内閣法制局は、内閣の法解釈の番人であって、その長官は内部昇格が慣例とのことであって、ましてや外務省出身者って極めて異例な人事とのこと。そして、今回の解釈改憲自公与党協議の橋渡しを務めたと紹介されたのが、内閣官房副長官補にして、国家安全保障局次長兼原信克。
そして二番目の中見出しが『「人を出せ」トラウマに』。これは、1991年の湾岸戦争で1兆7000億円も出したのに、「金だけ出して人を出さないのか」とアメリカから非難されたことのトラウマをいう。なぜこんなことがトラウマになるのか!? 3人の外務省飛び出し派と思われる方々が解説を加えていた。
出世コースに乗るのは対米重視派ばかりとは、元駐レバノン大使天木直人。米国深入りは対アジア関係悪化にもなってきたと語るのが元中国課長の浅井基文で、氏はさらにこう言葉を次いで行く。
『湾岸戦争で米国が日本に軍事協力を強く迫ったことで、外務省は今のままでは日米関係はやっていけないと危機感を募らせた。そこでアジア局も対米重視の官僚が要職を占めるようになり、省内は米国一色になった』
また、元国際情報局長孫崎享もこう述べる。
『92年ごろ、日米経済摩擦について首相官邸で協議した時、外務官僚が「そんなことをしたら米国が喜ばない」と発言し、経済官庁の人たちがショックを受けた。発言者はその後、次官になったので、残念ながら「米国が喜ぶかどうか」が外務官僚の価値判断になっていたと言わざるを得ない』
さて、外務省主流は、対米重視「ムラ社会」を出世互助会、その手段に使ってきたように見えるのだが、どうだろうか。この外務省内ムラ社会(思想)が安倍政権でさらに勢力を伸ばして、今や内閣の支え手と、そう考えればこんなことも合点がいく。1日の拙エントリーで紹介させていただいた、ウィキリークス暴露の駐日米大使館公電に見る日本外務官僚らの何気なさ過ぎて、日常当たり前のような「対民主党政権で米国にスパイ活動、通報」という行為も納得がいくというもの。あれを読んだ時は開いた口が塞がらなかったが、今振りかえると己の行為の重大性にあまりにも無自覚であって、まるで子どものような。日本流「ムラ社会」って、案外そんなものかもしれない。ムラの外から見たら、後生大事がまるでアホのような。こういうムラ「能吏」の法則として普通、与えられた問題処理だけに励んで哲学が抜けがちという傾向があると観てきたが、内閣を動かして戦後最大の平和政策転換を起こした一大勢力というのが今後に向かって怖いことだと思う。
「そんなことをしたら米国が喜ばない」。これが本当に彼らの原理、つまり哲学なのだろうか。ウィキリークス暴露公電に顕れた彼らを観ると、孫崎さんではないが確かにそうと思えるのである。
記事概要は言うまでもなく、集団的自衛権閣議決定について『戦後最大の安全保障政策の転換を裏で取り仕切ってきたのが外務官僚や出身者たちだ』というもの。第一の中見出し『首相と共鳴 要職に次々』。ここでは、外務省内親米派が安倍政権下で内閣の要職をさえ占めていく様子が順を追って示されていく。
まず、柳井俊二元駐米大使。第一次安倍内閣で設けられた首相の私的諮問機関・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」座長に据えられた氏は、第二次安倍政権でもその座長になっている。次が、谷内正太郎だが、29日エントリー初めこのブログでずっと見てきたから省略する。次が、先日亡くなった小松一郎前内閣法制局長官。内閣法制局は、内閣の法解釈の番人であって、その長官は内部昇格が慣例とのことであって、ましてや外務省出身者って極めて異例な人事とのこと。そして、今回の解釈改憲自公与党協議の橋渡しを務めたと紹介されたのが、内閣官房副長官補にして、国家安全保障局次長兼原信克。
そして二番目の中見出しが『「人を出せ」トラウマに』。これは、1991年の湾岸戦争で1兆7000億円も出したのに、「金だけ出して人を出さないのか」とアメリカから非難されたことのトラウマをいう。なぜこんなことがトラウマになるのか!? 3人の外務省飛び出し派と思われる方々が解説を加えていた。
出世コースに乗るのは対米重視派ばかりとは、元駐レバノン大使天木直人。米国深入りは対アジア関係悪化にもなってきたと語るのが元中国課長の浅井基文で、氏はさらにこう言葉を次いで行く。
『湾岸戦争で米国が日本に軍事協力を強く迫ったことで、外務省は今のままでは日米関係はやっていけないと危機感を募らせた。そこでアジア局も対米重視の官僚が要職を占めるようになり、省内は米国一色になった』
また、元国際情報局長孫崎享もこう述べる。
『92年ごろ、日米経済摩擦について首相官邸で協議した時、外務官僚が「そんなことをしたら米国が喜ばない」と発言し、経済官庁の人たちがショックを受けた。発言者はその後、次官になったので、残念ながら「米国が喜ぶかどうか」が外務官僚の価値判断になっていたと言わざるを得ない』
さて、外務省主流は、対米重視「ムラ社会」を出世互助会、その手段に使ってきたように見えるのだが、どうだろうか。この外務省内ムラ社会(思想)が安倍政権でさらに勢力を伸ばして、今や内閣の支え手と、そう考えればこんなことも合点がいく。1日の拙エントリーで紹介させていただいた、ウィキリークス暴露の駐日米大使館公電に見る日本外務官僚らの何気なさ過ぎて、日常当たり前のような「対民主党政権で米国にスパイ活動、通報」という行為も納得がいくというもの。あれを読んだ時は開いた口が塞がらなかったが、今振りかえると己の行為の重大性にあまりにも無自覚であって、まるで子どものような。日本流「ムラ社会」って、案外そんなものかもしれない。ムラの外から見たら、後生大事がまるでアホのような。こういうムラ「能吏」の法則として普通、与えられた問題処理だけに励んで哲学が抜けがちという傾向があると観てきたが、内閣を動かして戦後最大の平和政策転換を起こした一大勢力というのが今後に向かって怖いことだと思う。
「そんなことをしたら米国が喜ばない」。これが本当に彼らの原理、つまり哲学なのだろうか。ウィキリークス暴露公電に顕れた彼らを観ると、孫崎さんではないが確かにそうと思えるのである。