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何と粗悪な「解説」か!(2)  文科系

2015年05月16日 20時13分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 同名の表題エントリー拙稿に対して、ご当人さんから二つのコメントが付けられています。これへの批判も追加します。『 』は、彼の文章。

①『ヴァイツゼッカー(1985年)「罪の有無、老幼いずれかを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされているのであります」といった言葉を評価する人間もいるが、この発言は単なる一般論であり、演説内では「ヒトラーのポーランド進駐」という表現を使い、「ドイツの侵略」とは言っていない。』
 前にも僕が述べたことが理解できないのでしょうか。改めて言うがこういうこと。
 「軍部、特に東條一派など陸軍が原動力になって天皇を動かし、アジア・太平洋侵略戦争をやった」から特に重い罪があるということが一つ。また「これと同時に」、以下も別の問題として十分に言いうることである。「罪の有無、老幼いずれかを問わず、われわれ(日本人)全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされているのであります」
 後者を解説さんが「一般論」などと語っているのがおかしいと思う。後者のこの文章に「罪の有無」という言葉が入っていることにご留意願いたいもの。東條らは罪が重い戦犯だが、一般人は戦犯としては罪はないという違いを表しているのでしょう。その上でこの文章は、一般人の責任をも語っているわけです。ドイツという国全体が他国に対して後々まで責任を負わされているということを。日本国が他国に認めた過ち、その責任というものは、後世の国民も負うという意味なのでしょう。そうでなければ、その国は信用ならぬということでもありましょうか。先代の借金は知らないなどという会社は信用ならぬということです。

②『 またユダヤ人の虐殺については、「この犯罪は少数の者の手によって行われました。世間の目から遮られていたのです」と、一般のドイツ人は知らなかったことだと述べているが、(中略)』
 事実知らされていなかったのだし、知った人がいてもどうしようもなかったのは、小林多喜二が逮捕後あっという間に殺されてもどうしようもなかった日本と同じことでしょう。また、ワイツゼッカーの父のことは、ワイツゼッカーとは無関係です。封建時代の家父長の罪・お家断絶じゃあるまいし、家族のことなど持ってくるなと言いたいですね。

③『「5月8日は解放の日でした。ナチズムの暴力支配という人間蔑視の体制から、あの日はわれわれすべてを解放したのです」とし、またナチ体制が多くの国民を虐げたことを認めつつ、「苦しめられ、虐げられ、辱しめられた最後にもう一つありました。私たちドイツ国民です」とドイツ人をも被害者の側に置くなど、実際にはそれまでのドイツ政府の見解との差違はあまり見受けられない。』
 これも①で述べた「区別」が理解できていない文章だと思います。何度でも言いますが、当時の権力者たち、戦犯の責任は重い。これに対して、国民の責任は遙かに軽いし、権力者たちから被害を受けた存在ということも十分に可能です。ただ、その責任が遙かに軽くとも、戦後の日独国民全員が「過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされているのであります」というわけでしょう。

 戦犯の罪を軽くするような1億総懺悔論が誤りで、それでもあの戦争を起こした責任を「罪の有無、老幼いずれかを問わず」国民が後々まで負わねばならないと書いてある通りです。

コメント (14)
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