5月6日の拙稿『弱肉強食の「通貨戦争」、その実態』に関わって、耳寄りな話が載っていた。昨日の中日新聞夕刊3面下に小さな記事があって、見出しは「米欧5行に 罰金6800億円」とある。彼らの行動は常に秘密裏に行われて、なかなか表には出てこないから、こんな「御用!」の沙汰でもないかぎり見えてこないので興味深かった。今回のように「談合」まで行っていてさえ、儲けを大きくするためにいつも極秘裏に行動しているからである。
『【ワシントン=斉場保伸】米司法省などは二十日、外国為替市場で談合してレートを意図的に操作し、不正に利益を上げたとして、米欧の大手銀行五行に対し計五十七億ドル(約六千八百億円)の罰金を科すと発表した。
対象となったのは米JPモルガン・チェース、シティグループ、英バークレーズ、RBS、スイスUBSの五行。このうち四行は、談合して為替操作したことについて有罪を認めることで米当局と合意したと明らかにした』
なお、RBSは、ロイヤル・バンク・スコットランド。スイスUBSは、スイスのユニバーサル・バンクのこと。
それにしても、凄い罰金だ。それも、前2社は自国の政府から掠め取るという荒っぽい遣り口である。それだけに極秘裏の行動に徹していたろうに、どんな操作をして、どうしてばれたのだろう。ドル高操作というよりも、値下げ・空売りの操作なのだろうなとか、空売りは特に憎まれるよなーとか、談合に参加していない一社はこういう動きをどこでどうやって嗅ぎ付けたのだろう、などなどと考え込んでいたものだ。ここらは、この問題の長年のウヲッチャーとしては、非常に興味がある。過去において、こういう経験が少なく、防御情報、知識も、適用法律さえない国家などは、イチコロでやられてきたのだろうなとと改めて思った次第だ。過去のこういうことの結果が何度もここに紹介してきたこれなのだとも噛み締めていた。
『実際、リーマン・ショックとほぼ同時期、2008年9月に発表されたIMF(国際通貨基金)の一調査によれば、1970年から2007年までの38年間に、208ヶ国で通貨危機が、124ヶ国で銀行危機が、63ヶ国で国家債務危機が発生しています。金融危機は、先進国、新興工業国、開発途上国を問わず、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカを問わず起こっていたのです。これに対し、第二次大戦後1970年以前の時期には、国際金融危機や大規模な一国金融危機はほとんど発生していません。第二次大戦後に限れば、金融危機は1970年以降の現象だったのです』(岩波ブックレット「金融危機は再びやってくる」伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授著)
どこも外貨が欲しい現世界情勢における日米などの大国は、自国大金融が他国からこんなやり方で大金を稼いでくることについてなかなか取り締まりなどしないのだろうとか、小さな被害国がそもそも防御的取り締まりなどできるのか等々、そんなことも考えていたもの。世は確かに、弱肉強食、百鬼夜行である。いずれこういう事実の進展についても、人間的道義に合致した新たな国際規制法が設けられるだろうが、それまでは各国が取り締まるしかないわけだ。小さい国などはまだまだ、一金融の画策に対してさえ、どうしようもなかったのではないだろうか。つまり、IMFも述べているように、こういう搾取が既にされ尽くされたとも言いうるだろう。その国の社会インフラ整備費も含めて、世界現物経済などが疲弊し、世界の有効需要がそれだけ消えていったということだろう。第一次世界大戦までは国際的禁止法がないという意味で「合法」だった戦争とおなじように、今はまだ通貨戦争が一定合法なのである。経済を正しく考える目にも、30年ほど先を想像する力が必要だということだと思う。
『【ワシントン=斉場保伸】米司法省などは二十日、外国為替市場で談合してレートを意図的に操作し、不正に利益を上げたとして、米欧の大手銀行五行に対し計五十七億ドル(約六千八百億円)の罰金を科すと発表した。
対象となったのは米JPモルガン・チェース、シティグループ、英バークレーズ、RBS、スイスUBSの五行。このうち四行は、談合して為替操作したことについて有罪を認めることで米当局と合意したと明らかにした』
なお、RBSは、ロイヤル・バンク・スコットランド。スイスUBSは、スイスのユニバーサル・バンクのこと。
それにしても、凄い罰金だ。それも、前2社は自国の政府から掠め取るという荒っぽい遣り口である。それだけに極秘裏の行動に徹していたろうに、どんな操作をして、どうしてばれたのだろう。ドル高操作というよりも、値下げ・空売りの操作なのだろうなとか、空売りは特に憎まれるよなーとか、談合に参加していない一社はこういう動きをどこでどうやって嗅ぎ付けたのだろう、などなどと考え込んでいたものだ。ここらは、この問題の長年のウヲッチャーとしては、非常に興味がある。過去において、こういう経験が少なく、防御情報、知識も、適用法律さえない国家などは、イチコロでやられてきたのだろうなとと改めて思った次第だ。過去のこういうことの結果が何度もここに紹介してきたこれなのだとも噛み締めていた。
『実際、リーマン・ショックとほぼ同時期、2008年9月に発表されたIMF(国際通貨基金)の一調査によれば、1970年から2007年までの38年間に、208ヶ国で通貨危機が、124ヶ国で銀行危機が、63ヶ国で国家債務危機が発生しています。金融危機は、先進国、新興工業国、開発途上国を問わず、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカを問わず起こっていたのです。これに対し、第二次大戦後1970年以前の時期には、国際金融危機や大規模な一国金融危機はほとんど発生していません。第二次大戦後に限れば、金融危機は1970年以降の現象だったのです』(岩波ブックレット「金融危機は再びやってくる」伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授著)
どこも外貨が欲しい現世界情勢における日米などの大国は、自国大金融が他国からこんなやり方で大金を稼いでくることについてなかなか取り締まりなどしないのだろうとか、小さな被害国がそもそも防御的取り締まりなどできるのか等々、そんなことも考えていたもの。世は確かに、弱肉強食、百鬼夜行である。いずれこういう事実の進展についても、人間的道義に合致した新たな国際規制法が設けられるだろうが、それまでは各国が取り締まるしかないわけだ。小さい国などはまだまだ、一金融の画策に対してさえ、どうしようもなかったのではないだろうか。つまり、IMFも述べているように、こういう搾取が既にされ尽くされたとも言いうるだろう。その国の社会インフラ整備費も含めて、世界現物経済などが疲弊し、世界の有効需要がそれだけ消えていったということだろう。第一次世界大戦までは国際的禁止法がないという意味で「合法」だった戦争とおなじように、今はまだ通貨戦争が一定合法なのである。経済を正しく考える目にも、30年ほど先を想像する力が必要だということだと思う。