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日本サッカー急成長の出来事(その3)  文科系 

2008年10月08日 00時07分36秒 | Weblog
 日本サッカー急発展の予感  監督たちのこと
 
 〇八年度のJリーグは近年希な新しい急発展を始めたと思う。オシムが植え付けた「豊かな走力を土台にした、人もボールも動くパスサッカー」は、今やJ一リーグの常識になっている。また、首位争いに、今日までお目にかかったことがないまっさらな新顔一チームと、もう十五年ほど昔に一度だけ参入したことがある一チームとが、割って入ってきた。大分トリニータと名古屋グランパスだ。ここ数年の強豪たちが、これらに苦戦中なのである。

 さて、今回のテーマだが、集団球技の質は監督で決まるところが最も大きいと思う。プロ野球でも落合、野村、プロバスケットでも伝説のフィル・ジャクソン。監督には、「長期展望の選手育成型」と「彼我の総合分析・対策型」とあるが。「北京五輪の星野仙一はだめだったな。中日でも阪神でも、多額の監督報奨金でもたせていたんじゃないのかな。優勝しても短期政権で終わっているのがその証拠。そもそも第一、彼には知性が感じられない」。などなどと考えていたらすぐにこんなことに気づいた。

 十月初め現在、サッカーJ一リーグ上位五チームのうち、四人が外国人監督である。一位鹿島、二位名古屋(この二チームが去年の天皇杯の驚異・ホンダに最後に苦戦したチームであるというのは、単なる偶然であろうか? その2参照)、三位が大分で、四位浦和、五位川崎。監督はそれぞれ、オリベイラ、ストイコビッチ、シャムスカ、エンゲルス、そして高畠だ。弱小大分をかってないほど強くしたシャムスカこそ四年目の監督だが、他はみんな新人監督である。ストイコビッチは就任一年目なのだし、オリベイラなどは昨年やって来て二冠を獲得し、鹿島アントラーズ悲願の「歴代で十冠」をあっさりと超過達成してしまった。また、九月に行われた一発勝負トーナメントのナビスコカップ準決勝でもストイコビッチ名古屋とシャムスカ大分が闘い、大分が決勝に進んだ。

 ここで思った。プロサッカーの伝統が浅い日本人には、サッカー監督としての何かがまだまだ足らないのではないかと。なんせ、これらの外国人監督たちは、新人をも巧みに使いつつ、あっという間に大きな成果を挙げてしまったのだ。対して代表の岡田監督は、オシム末期に芽生え始めた点取り戦略の芽(その1参照)を、10ヶ月たっても明らかに育てられないでいる。

 まずストイコビッチ、極めて賢いのではないか。就任一年目で時にJリーグ一位、ナビスコカップもベスト四とはだれも予想しなかったはずであって、グランパス久々の快挙続きである。また、一時の絶好調に陰りが見え始めたときには、すぐに己のチーム原則は変えずに微調整を施して、持ち直してしまった。これは、サッカーの諸原理を正しくかつシンプルに整理できているだけではなく、より細かい部分についても目が行き届いている証拠だと思う。しかも、小川佳純、竹内彬、吉田麻也などの新人をレギュラーに使い続け、さらに巻、津田、花井など次代選手をちゃんと育てつつ、他方では玉田、中村を大選手として再生させてもいる。玉田の日本代表レギュラーFW就任はピクシー抜きには考えられないだろう。

 大分トリニータ、シャムスカ監督。四二歳とまだ若いのに、常にJ二降格瀬戸際というチームを史上初めて首位争いに参入させた。三バックのセンター・森重は二一歳、トップ下の金崎に至っては一九歳と、まだまだ急発展途上のチームである。
 何よりも今期Jリーグゲームの半数近くを無失点で通して、ダントツ最小失点のチームだけあって、本当に堅い守備である。Jリーグの第二八節現在で一三戦が無失点なのだ。さてそれでいて、決して多くはないが、攻める時は厳しく攻めて、攻めのバリエーションも意外に豊富である。つまり「必要な点」も取れるチームである。なにしろ、一点か二点取れば勝てるような守備を作ったのだから、そんなにいつも攻めていなくとも良いだろうと、そんな感じだろうか。

 日本人の有望監督も一人あげておこう。清水エスパルスの長谷川健太である。今季前半は試行錯誤もあってか珍しく下位に付けていたけれど、秋の声を聞くとともに点取り術を一新させたように成果を上げて、上位に食い込んできた。ここでは、岡崎慎司が遠からず日本人FWには珍しいアスリートに育っていくように思う。タイプとしては中山雅史だが、その中山よりもはるかに屈強なうえに、スピードも豊かで、精妙かつ多様なシュート力をも備えている。日本人FW最新版のような点取り屋に育つのではないか。

 急発展予感の方向はこんなものだろう。まず間もなく、大分から少しずつ今よりも得点を取るチームが現れてくる。今のように九〇分間攻め続けるのではなく、ここぞというときの集団攻撃の鋭さで。そのチームはもちろん、大分の攻守をもよく分析して、大分のように守備も強化してくるであろう。もちろんこういう鋭い攻撃にはかって日本にいなかったような選手たちが必要だ。清水では岡崎、枝村、矢島らが、名古屋では小川、巻、玉田らがそのように育っていくのではないか。ここに上げたチーム以外から一人あげるとすると、磐田の前田だろう。全盛期磐田のパスサッカーの伝統を最後に受け継いだ選手である。
日本的攻撃の形としては「アジリティー(敏捷性)集団で敵ゴールに殺到して、多彩な攻撃。特にこぼれだま狙いを全員が意識して」と、そんな感じだろうか。

 こんな「夢」を描くのも自由だし、楽しい。ストイコビッチ、シャムスカそして、長谷川健太。たまたま同じ一九六五年生まれ。これらの若い監督によって造られた新鮮な風がJリーグに吹き渡り始めた。高畠・川崎もこの流れに遅れないチームかもしれないし、オリベイラ・鹿島もさらに化けるかも知れない。
いずれにしても、オシムが育て始めていた「日本的点取り術の芽」(その1参照)を誰かが近く育て上げて行くに違いない。


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