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『「新しい世界経済」の教科書』目次紹介の②  文科系

2021年09月13日 14時04分26秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

『「新しい世界経済」の教科書』目次紹介の②  
「第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える」

 昨日紹介を始めたスティグリッツのこの本『これから始まる「新しい世界経済」の教科書』は、その構成、内容も読者にとって極めて親切な、分かりやすいもの。まず、目次の最大5項目からして、次の通り。
「はじめに 今こそ『新しい世界経済』へ大転換する時」
「序章 不平等な経済システムをくつがえす」
「第1部 世界経済を危機に陥れた経済学の間違い」
「第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える」
「おわりに アメリカ型グローバリズムを許すな」
 そして、本論である1、2部はそれぞれ計3章と2章からなっており、それぞれの章には節はなく、1部が全3章34条、2部が全2章51条という極めて具体的ないわば箇条書き(説明)になっていて、その箇条書き題名もわざわざすべて目次に載っているという親切さだ。そんなわけで今日は、本論のこの箇条書きそのものを紹介してみたい。それも、読者が最も識りたいはずの「第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える」の第4章22項目、第5章29項目の前者の方を転載し、明日は5章29項目の積もりだ。ちなみに、この本の章建ては通しナンバーになっていて、第2部の第1、2章が4、5章なのである。

 第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える
 第4章 最上層をいかに制御するか
特権の網を引きちぎる
最上層を利した〝判断〟
知的財産権のバランスを取り戻す
貿易協定のバランスを取り戻す
政府の交渉で医療費を制御する
破産のルールを変更し、住宅所有者と学生を守る
金融セクターの改革
〝大きすぎてつぶせない〟を終わらせる
シャドーバンクを規制する
あらゆる金融市場に透明性を
クレジットカードとデビットカードの手数料を減らす
よりきびしい罰則のあるルールを施行する
FRBのガバナンスを改革する
短期主義を打ち破る
CEO報酬に歯止めをかける
金融取引税を制定する
長期の投資者に力をあたえる
税制を改革する
最高限界税率を引き上げる
〝公平な税制〟を定める
企業の海外所得に課税する
成長促進、平等促進へ

 なお、これらの変革の現実性について少々。アメリカ人ノーベル賞経済学者が「アメリカをこう変えよう」と提唱しているだけではない。著者は当然このことも大変気にしているのであって、「はじめに」には、こんなことが強調してあった。

『本書はもともと、ルーズヴェルト研究所の報告書という形で、主として政策決定者向けに発表された。しかし、世に出るや、該当の人々をはるかに超えて反響があった。〈ニューヨーク・タイムズ〉紙は〝最上層への莫大な富の集中と、さらに強まる中間層への搾取を導いた三五年の政策(レーガノミクスに始まる自由主義経済政策)を書き換えるための大胆な青写真〟と呼び、〈タイム〉誌は、報告書が不平等の〝秘めたる真実〟を暴いたと伝え、フォード財団は〝陸標〟と呼んだ。
 もちろん、政治家たちも耳を傾けてくれた。エリザベス・ウォーレン上院議員(反ウォール街の政治家として知られている)には〝画期的〟と評価していただいた。賛同者、労働組合指導者、連邦議会議員、大統領候補者らが電話してきて、概要説明と話し合いと〝ルール〟のくわしい解説をもとめた。重要なのは、彼らが報告書を行動喚起とみなしていたことだ。より強い経済をつくるために、具体的に今、何ができるか?』 

 さて、あのような考えをもつウォーレンが大統領選挙でなぜ急台頭してきたかの一部理由も分かったが、こんな世界情勢に今の日本は、竹中平蔵が菅首相を崇めたて、「サナエノミクス」が政権与党総裁候補スローガンなのだそうだから、何と言ったら良いのか。日本の金融暴力、経済空洞化、格差はアメリカよりもずっと早く、20世紀末から始まっていた。さらにその上に「アメリカ流金融自由化・規制緩和」という「ルール変更」を認めてきたのであった。そして、この「反省」の方は、政治世界では特に遅れているからこその「サナエノミクス」や、日銀・GPIFぐるみの官製株バブルという悪循環。物作りが駄目になるわけだ。だからこその「国民一人当たり購買力平価GDPが世界5位から33位へと急低落」という貧乏国に、わずか25年でなったのである。

 

(こういう「目次」ですから、当面この紹介だけでも後2回はやります。差し当たって明日は、「第5章 中間層を成長させる」の全29項目の紹介をするつもりです)

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目次紹介、『これから始まる「新しい世界経済」の教科書』  文科系

2021年09月12日 11時55分58秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 これは、ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツ(43年生まれのアメリカ人)が書いて、徳間書店から2016年に翻訳・発刊された著作である。アメリカで今このように従来経済学の誤りについて深刻な反省が始まっているのに、日本では今またまた「サナエノミクス」? これでは、日本人経済学者、森嶋通夫が書き遺し、今も進行しているように「なぜ日本は没落するか」を地で行くようなものだろう。今の日本経済は、官製バブルで没落企業を厚化粧しているだけ、この書が述べる中間層の没落、格差などは二〇世紀から始まっていたのである。この本の大きな目次だけでも、まず紹介しておきたい。ちなみにこのスティグリッツは、日本人経済学者、宇沢弘文の秘蔵弟子であり、リーマンショックへの国連総括書を書き上げた委員会の長を勤められた。つまり、リーマン後の世界各国経済に最も通じた世界的経済学者なのである。なお、この委員会には日本人としては榊原英資が参加されていた。また、この委員会については、発足話が出た当初から最後まで、アメリカが猛烈に反対してきた経過が有名である。

 

・はじめに  今こそ「新しい世界経済」へ大転換する時
 解決策は、経済ルールの書き換え
 経済についての既存の知識は間違っていた
 世界で同じ問題が進行
 今こそ絶好の機会

・序章  不平等な経済システムをくつがえす
 経済を機能不全にした従来のルール
 古い経済モデルのどこが間違っていたか
 新たな手法  制度の構造的不均衡を是正する
 ピケティの説明は充分か?
 三〇年間の間違った道のり
 改革のターゲットは経済ルール
 本書の構成

・第1部  世界を危機に陥れた経済学の間違い
 第1章 〝自由な市場〟が何を引き起こしたか(10項目の記述がある)
 第2章 最富裕層にのみ奉仕する経済(同、10項目)
 第3章 なぜ賃金は低いままなのか(同、14項目)

・第2部  地に墜ちた資本主義をこう変える
 第4章 最上層をいかに制御するか(同、22項目)
 第5章 中間層を成長させる(同、29項目)

・おわりに  アメリカ型グローバリズムをゆるすな
 テクノロジーとグローバル化が犯人なのか?
 テクノロジーと賃金格差
 グローバル化でバラまかれる不平等

 

 

 

 

 

 

 

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スティグリッツの、師・宇沢弘文紹介文から   文科系  

2021年09月03日 00時39分52秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 あるブログ友のエントリーで、2014年に亡くなった世界的経済学者宇沢弘文のことが話題になり、ちょっと調べてみました。日本で最もノーベル経済学賞に近かった3人の内の1人とあって、見つかったある文章を紹介します。この40年程世界で力任せに展開された新自由主義経済への一つの批判が学べる思いでした。その出典と題名は、こうです。この文章を半分以下に抜粋して紹介します。

『伝説の経済学者「宇沢弘文」を知っていますか。スティグリッツが師と仰ぐ日本の「哲人」とは  東洋経済新報社 出版局  2016/12/31 8:00』
 
【 日本が世界に誇る経済学者、宇沢弘文氏(1928~2014年)

数理経済学の分野で大きな業績をあげるにとどまらず、現実の経済社会への関心を強め、水俣病などの公害問題や成田空港建設をめぐる問題の解決に自ら取り組んだ宇沢氏は、世界中の経済学者たちに大きな影響を与えた。
「哲人経済学者」の異名を持つ宇沢氏は、どのような人物だったのだろうか。
本稿では近刊『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』の中から、宇沢氏の愛弟子であるジョセフ・E・スティグリッツ氏(2001年ノーベル経済学賞受賞)の講演録を、抜粋・編集のうえお届けする。

私の進路を変えた宇沢先生との出会い

私が宇沢先生と出会ったのは、51年前のことです。当時、スタンフォード大学からシカゴ大学に移られた宇沢先生は、シカゴ大学で開かれたセミナーに、私たち数人の学生を誘ってくれました。そのなかには、私と共同でノーベル賞を受賞したジョージ・アカロフ教授もいました。宇沢先生は、MIT、スタンフォード、イェールの各大学から若手経済学者を集めて、シカゴを世界の知の集積地にしようと考えたのです。その考えはみごとに実現しました。私たちは、シカゴに集まったわずか1カ月ほどの間に、全員、宇沢先生の信奉者になってしまったのです。私は今も、宇沢先生が語っておられたことを折に触れ思い出します。

宇沢先生のスタンフォードからシカゴへの移籍は興味深いできごとでした。なぜなら、シカゴ大学が保守的な右派経済学の中心地であったにもかかわらず、宇沢先生はその立場に属していなかったからです。集まった若手経済学者たちはシカゴ大学で、収入の分配にまつわる不平等を議論することなど最悪だと考えていました。一方、宇沢先生はご自身の研究が成長理論へと到達するなかで、不平等という概念の重要性や、外部性としてあまり顧みられていなかった環境問題についてもよく話をされていました。

 宇沢先生は、私自身はもちろん、ジョージ・アカロフ教授をはじめ、私と同年代の多くの経済学者の人生に大きな影響を与えました。シカゴにいる間、私たちは、ほとんど毎日のように夕食を共にしました。私は飲めないのですが、先生はお酒を楽しんでいましたし、他の門下生たちも同様でした。
(中略)

研究にかける情熱

私は社会における不平等の問題に関心があったのですが、そうした問題に対する宇沢先生の姿勢は「毎週ひとつの論文を書き上げるほどの熱の入れようだ」と評されていました。これほどの情熱を持ってそうした研究に取り組んだ人はほかにいないでしょう。また、先生は戦争と暴力という今日的な問題にも熱意を持って取り組んでいました。私とリンダ・ビルムズの共著The Three Trillion Dollar War (邦訳『世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃』)は、先生にこそ見ていただくべきだと思いました。その本は、アメリカが参戦した、必要のない破壊的な戦争に対して、経済学者がどのように声を上げることができるか、ということを書きつづったものなのですが、その内容を適切に評価してくれるのは先生以外にないと思うからです。
(中略)

米国発「株価市場主義」経済学との戦い

ここで少し、シカゴ大学とその経済学に話を戻しましょう。1960年代、宇沢先生は不幸にもその環境の真っただ中で生き延びなければならなかったのです。当時、ミルトン・フリードマンがシカゴ大学の経済学派のリーダーであり、株式市場価値の最大化は社会的幸福度を最大化するので望ましいという議論を展開していました。この議論はアメリカをはじめ多くの国々の法体系に大きな影響を与えました。実際、企業は株価の最大化に努めなければならないとする法律が作られた国が数多くあったのです。しかし注目に値するのは、この議論は実際には間違っていたと結論づけられたことです。その議論は非常に制約された条件の下でしか有効ではなかったのです。

ところが、フリードマンのような考え方が採用されてしまったことで、短期的な視野に基づく経営、経済パフォーマンスの低下、不平等の拡大が起こりました。そのことは私が近著Rewriting the Rules of the American Economy(邦訳『スティグリッツ教授のこれから始まる「新しい世界経済」の教科書』)のなかで取り上げた主要テーマになっています。この本ではそうした考え方が及ぼした影響、1980年代初期に経済のルールを書き換えることに至った経緯、私たちは今どのように再びルールを書き換えるべきかについて書いています。

フリードマンらが提唱した理論は、自己の利益を追求することが社会的満足度を向上させるとした、アダム・スミスの言葉を反映しているようにも思います。自己の利益の追求というと貪欲であれ、と言っているようで、貪欲であることはよいことのように聞こえてきます。貪欲のよさをうたった有名な映画もありましたね。

銀行家の貪欲さが社会的満足度を上げたと思う人はひとりもいないと思います。私も貪欲ということが正しいとは思いませんし、繰り返しますが、それが正しいというのは極めて制約された条件下でのみあてはまるのです。興味深いことに、アダム・スミス自身、「スミスはそう信じていた」といわれているようなことを信じてはいませんでした。つまり、スミスが自己の利益の追求というときには、それは啓発された自己利益を意味しており、彼はその限界も理解していたのです。しかし、残念ながらフリードマンはそうではありませんでした。かたくなな経済学の誤った考えのツケは回ってきました。シカゴ学派の人たちが社会やグローバリゼーション、さらに個人にまで影響する経済政策の立案において、重要な役割を担っていたからです。

私たちはどのような社会を作り、どのような人になりたいのか、よく考えなければなりません。私たちは本当に、経済学に出てくる自己中心的な「ホモ・エコノミクス(経済人)」になりたいのでしょうか。これはこれから経済学を勉強しようとしている人たちへの警告になるかもしれませんが、少なくともアメリカに限っていえば、経済学を学んだ学生は、学ばなかった学生よりもより自己中心的になるという研究結果があります。
(後略) 】

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書評  古賀茂明著「官邸の暴走」  文科系

2021年08月22日 14時48分15秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

「コロナ渦中でも五輪強行へ」という過程の真っ最中、この6月に出たこの本は、さらけ出されて来た政府の無能を余すところなく解明してくれているようだ。それもそのはずで、著者は総理官邸内部に通じられたこんな経歴のお人なのだ。今の経済産業省官僚から08年自民党内閣の行革・公務員制度改革の中心に座り、そのまま民主党政権にも関わって、民主政権最後の野田内閣になった11年9月に経産省退職という。原発の否定、「I'm not Abe」などで有名なお方だが、安倍・管総理官邸官僚には元経産省官僚が多く、こういう元同僚からの直接間接の情報も多いのだろうなと、この本を読めばよく分かるのである。つまり、今、この人にしか書けなかった、安倍・管政治の実態本! 

 全8章のこの著作の主たる内容を著者はまず、「安倍・管・官邸官僚三人四脚で築いた四つの負のレガシー」と述べている。「官僚(を)支配」(1~3章)、「マスコミ(を)支配」(4章)、「地に堕ちた倫理観」(5~6章など)、「戦争のできる国づくり」(2章)の四つである。加えて最後の7~8章は、「のっぴきならないほど落ちている日本の国力」「真の先進国になるための改革」となっている。以下今回は、「地に堕ちた倫理観」の焦点(中の焦点)に絞って内容紹介してみたい。この焦点こそまた、「(五輪開催に執念を燃やしながら)コロナワクチンが何故これだけ遅れたのか」につながる所だからである。第5章「力不足で思考停止の管内閣」の第1節「哲学なき政権には倫理もない」の触り部分の要約と言って良い。なお、以下の『 』内文章はすべて、本文抜粋であることを示す。

『管政権発足直後から「ポスト今井(文科系注 安倍官邸官僚第一の人物)」として注目を浴びた人物がいる。内閣総理大臣補佐官の和泉洋人氏だ』
『安倍政権の頃から、アジア各国へのインフラ輸出を手掛けてきた総理補佐官の和泉氏は、海外出張に部下だった大坪寛子氏(現厚労相大臣官房審議官)を同伴していた。和泉氏が内閣官房健康・医療戦略室の室長で既婚、大坪氏はシングルという関係だった。ところが二人の出張の際、総理補佐官室の担当者が外務省担当者に、二人のホテルの部屋を内部でつながった「コネクティングルーム」で予約するようにとメールで指示していたことが発覚。ミャンマー、インド、中国、フィリピンと、18年の四度の海外出張が公私混同の「不倫出張」だったという疑惑は、国会で何度も追及された。不倫自体、許されないことだが、明らかに怪しまれる「コネクティングルーム」でのホテル予約を部下に命じたのは、公私混同の最たるもの。』


『この和泉・大坪カップルは、19年8月にも京都大学ips細胞研究所へ二人で出張し、ノーベル生理学医学賞受賞者の山中伸弥教授に対して驚くような発言をしている。大坪氏が「ips細胞への補助金なんて、私の一存でどうにでもなる」と言い放ち、再生医療の実用化に向けた研究予算を打ち切る方針を告げたと報じられたのだ。
 国費の予算配分とは、行政内部でオープンな手続きを踏んで決めていくものであり、「私の一存で」という発言は非常識極まりない暴言である。しかも、この恫喝の約3時間後に、京都でデートを楽しむ二人の写真が週刊文春に掲載された』

『さらにこのカップルは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の運営にも不当に介入していた。AMEDは、医療分野の研究開発とその環境整備を担う機関だ。・・・・しかし内閣官房に設置されていた健康・医療戦略室の次長が18年7月に医療技官の大坪氏となった頃から、(AMED)理事長らに「各省の予算のマネジメントなどは全部、健康・医療戦略室を通すように」、「担当大臣など政治家の方々とコンタクトを取るな」などの干渉が始まったという。
 また令和元年度後半の調整費80億円が、大坪氏が推進する「全ゲノム解析計画」に使われるということが、健康・医療戦略室による不透明なプロセスで決まったという。反発する理事、執行役および経営企画部長は、和泉氏の執務室に呼びつけられ、「大坪氏の言うことを聞いてうまくやらなければ、人事を動かす」と恫喝されたとの事実も明らかになっている』
 そして事実、末松誠理事長(元慶大医学部長)が20年4月のコロナ流行・学校閉鎖という緊急時に、任期満了をそのまま適用してAMEDから追い出されてしまった。このことについてiPS細胞の山中伸弥氏が事前にあげていたこんな不安の声も無視されてのことだったと、古賀氏はこう書いている。
『「しばらく前からAMEDでは、末松誠理事長が思う存分リーダーシップを発揮できない状況にあり・・・20年4月に末松理事長は就任から5年を迎えるが、感染拡大の深刻さを考えれば、理事長の任期を1年でも延長して、困難に立ち向かうべきではと思っている」(日経バイオテクオンライン2020年3月27日)』

『今私たちは、日本が世界のワクチン開発競争で決定的敗北を喫したのを目の当たりにしている。20年春に山中教授が危惧した通りの展開ではないか。本書が出版される21年6月頃には、・・・・日本では高齢者へのワクチンの接種さえ終わらないという事態に、国民は苛立ち、どうして日本国内ではワクチンや治療薬の開発ができないのか? と疑問が呈されているだろう。その時、不倫カップルが、ワクチンや治療薬の開発に迅速に回せるはずだった予算の大半を大坪氏のプロジェクトに使ってしまったのだということを国民が知ったら、おそらく二人は霞が関にいられなくなると思うのだが。それでも、管氏の威光で官邸に居座り続けるのだろうか。』

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太平洋戦争、岩波近現代史シリーズ要約 二  文科系

2021年08月16日 04時02分04秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

3 太平洋戦争の二つ目の性格、日米同罪論に対して(その2)

 ここでまとめるのはこういうことだ。
『「日米同罪論」あるいは自衛戦争論の第3の問題点は、それが日本が戦った戦争の国際法上の違法性を無視ないし軽視していることである』
 この違法性は、まずこのように展開されていく。
 戦争に関わる当時の国際法には、第1次世界大戦の痛切な反省が色濃く反映されている。まず第1は、戦争の違法化の論議が起こり、あい次いで植民地における民族運動の高揚、民族自決原理の台頭があった。たいして満州事変以降の日本は、22年に中国関連で日本も加わって結ばれた9カ国条約への違反を重ねており、これを事実上棚上げしていたと言える。この条約は当時の戦争違法化、民族自決権を盛り込んだアジア・中国版とも言える国際法であったのに。先回に見たハル・ノートもこの9カ国条約を基としているが、日本軍は正にこの条約内容においてこそ、ノートに反発していたのだ。
『 参謀本部戦争指導班の11月27日付の業務日誌は、ハル・ノートの対日要求の中に「4原則の無条件承認」が含まれていることにも言及しながら、「米の回答全く高圧的なり。而も意図極めて明確、9カ国条約の再確認是なり」と記しているし(軍事史学会編『機密戦争日誌(上)』) 』
 つまり、当時の日本軍部は自らも参加した9カ国条約を守る意思など無かったということだ。

次いで、こう語り進められる。
『同時に、開戦にともなってさまざまな国際法上の違法行為が発生したことも忘れてはならない』
『よく知られているのは、真珠湾への奇襲攻撃である』。開始8日午前3時19分、対米覚書手交4時20分というものだ。この点については従来から、こういう説があった。対米覚書の日本大使館における暗号解読が遅れたとされてきたのだ。これにたいする本書の解明はこうなっている。
『外務省本省は13部に分かれた覚書の最終結論部分の発電をぎりぎりまで遅らせただけでなく、それを「大至急」または「至急」の指定をすることなしに、「普通電」として発電していたことがわかってきた』
 もう一つの違法性はイギリス、オランダに対するもので、イギリスに対してはこう展開されている。
『日米間の場合には、事前の外交交渉が存在し、戦争開始後とはいえ交渉打ち切りの通告がともかくもなされた。しかし、日英戦争の場合には、外交交渉も最後通牒もないままに、真珠湾攻撃の1時間ほど前に、いきなりマレー半島への強襲上陸を開始しているのだから、国際法上の違法性はこちらの方がきわだっている』
オランダに対しては、このイギリスよりもさらに酷く、こうまとめられている。
『イギリスに対しては、真珠湾攻撃後に発表された天皇による宣戦の詔勅の中で(宣戦布告がなされているとも言えるが)、オランダに対しては宣戦布告をせず、豊富な石油資源を有するオランダ領インドネシアを「無疵で手に入れたいという意見」が強かったからである』

 こうして著者は、まとめる。
『日本政府は宣戦布告の事前通告問題の重要性をほとんど認識していなかったといえよう』


4 太平洋戦争の三つ目の性格 「アジアのため」?

 右翼は、大東亜戦争という言葉が好きです。「大東亜共栄圏」とも語るように、白人の横暴からアジアを守る闘いだったと言いたいわけです。著者はこういう主張をいくつかの点から批判していきます。
 最初は、この戦争に際してマスコミなどを「白人対アジア人とは、語るな」と統制していたことをあげています。独伊がお仲間だったからです。また、フランスに対独協力派ヴィシー政権が誕生すると、40年8月にはこんな協定を結んでいます。
『フランスが極東における日本の優越的地位を認め仏印への日本軍の進駐を容認する、それと引き換えに、日本は仏印全土に対するフランスの主権を尊重する』
 「白人の仏印全土への主権」を、日本はいつまで認める積もりだったのでしょう? 作者はこんな事を語って見せます。
『このことは、インドシナ地域の民族運動の側から見れば、日本とフランスは共犯関係にあることを意味する』
 
 それどころか、そもそも開戦理由などは後付けであったと、その経過を著者は明らかにしていきます。
・『41年11月2日、昭和天皇は東条首相に、戦争の「大義名分を如何に考うるや」と下問しているが、東条の奉答は、「目下研究中でありまして何れ奏上致します」というものだった』
・宣戦の詔勅では、「自存自衛の為」と、述べられています。
・12月8日開戦後、7時30分のラジオでは、情報局次長によって、こういう放送がされたということです。
『アジアを白人の手からアジア人自らの手に奪い返すのであります』
・このラジオ放送には、こんなおまけが付いています。この概容を掲載した翌日の朝日新聞では、「白人」という言葉はどこにも見当たりません。かわりにあるのが、「アングロサクソンの利己的支配」。すり替わった理由は、上に述べた通りです。
・12月10日に「大東亜戦争」という呼称を、大本営政府連絡会議で決定。次いで12日に「大東亜戦争」の意味を説明して「大東亜新秩序建設を目的とする戦争」と宣言されました。この「新秩序建設」は、後で述べる11月5日の御前会議決定にも出てきます。

 日本利権と軍事優先ですべてが決定され、理由は後からくっつけたということは、明らかでしょう。このことは、41年10月18日に近衛文麿内閣が総辞職して東条英機内閣が成立したその事情にも、示されています。近衛内閣は、41年4月から始まった日米交渉において、アメリカの最大要求であった『日本軍の中国からの撤兵』を『何らかの形で撤兵を実現することによって交渉の決裂を回避しようとし』ていました。これが軍部に拒否されて近衛内閣は総辞職し、以降2ヶ月弱で日英・日米戦争に勇往邁進していったわけです。関連して、開戦決定御前会議は従来言われていたような12月1日ではなく、11月5日だったと著者は述べています。なお、この5日の御前会議の存在は、東京裁判の当初の段階では米軍に知らされていなかったということです。ハルノートとの関係、「日米同罪論」との関係で秘密にしておいた方が都合良かったと、著者は解明していました。

 

(あと2回ほど続けます)

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こんな美しい鳥、昆虫写真が・・・   文科系

2021年06月16日 14時15分05秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 ブログには本当に色々あるものだ。最近最もよく観るブログがこれ。『しんばし写真館 - Goo ブログ』

 鳥の写真が中心で、鳥が好きな人なら「こんな珍しい鳥の、得がたいような様子の写真、どうして撮れたの?」との声も上がるだろうし、夏が近づくと蝶など昆虫も入ってくる。その蝶がまた接写のような写真ばかりで、素人の僕でもため息が出たんです。

 このブログ、おおいに宣伝したいと思います。というよりも、「観なければ、損」というブログだと、僕は思っています。 

 

 

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「ニセコのおぢ」さんへ  文科系

2021年06月10日 12時35分07秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

愛読、交流しているつもりの「おぢのニセコ山暮らし」さんのブログにこういう一文があったから、八十路の先輩として一言と思い立った。彼のブログには、コメントが書き込めないのでここにエントリーするわけだ。

『就寝前には、入念なストレッチとヨガしてますから、朝起きてあちこちが痛いということはありません。「年寄り半日仕事」と思っていても、体力が続かないのですから困ったものだ。続けるうちに体力、筋力もついてくるとは思いますが、これは人生初体験のしんどさです。なんとか体力を取り戻したいけど、コロナ禍で引きこもりがちではどもこもなりません…』

 おぢさん、ウオームアップって識ってますか? ランナーの僕から、この知恵を少々。僕は元々、アップは不要な身体でしたが、70歳過ぎから次第にこれが必要になり、今では20分緩走をしないと今の僕本来の走力は発揮できません。つまりこういうことです。20分間はもう歩くように走る。するとその後見違えるように元気に走れるということです。全身の血管が開いて心臓が上手く回り、酸素吸収が上手く行くようになるのに20分もかかるということなのでしょう。僕は傍らでクラシック・ギターを弾いていますが、アップ抜きで弾き始めると、今の季節だとすぐに汗をかき始めるようにもなった。ストレッチ、ヨガからスクワット(断続的でも、50回程は必要なのでは)などを、力仕事の前にやったらどうでしょう? それだけでも随分違うと思います。

 ランナーで早く走れなくなる人には、アップの効用を知らぬ人か、その時間に耐えられなくなった人なのだと思います。こういう人は言うまでもなく、今まで積み上げた財産を早く、全部失うことになっていく。ちなみに、この12日に年に一度の教室ギター発表会がありますが、僕が今でも出られているのは、ランナーだからと理解してきました。ギター弾きが練習で構えているあの不自然な姿勢は、老人には身体的に辛いものだからなのでしょうが、皆早く引退してしまった。肩とかどこか痛めて・・・。そんな友人の姿が僕にはとても寂しいものがありました。

 

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大伴旅人の「酒六首」紹介  文科系

2021年06月03日 04時42分51秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 昨日、ある方とお酒の談義になった。有名な大伴旅人の「酒六首」をご紹介したら、大変な興味を示され、あれこれ繰り返して楽しんでおられた。僕は、この六首の頭文字を取って「シイサナアコ」と覚えた上でわざわざ全部暗記して5年程になるのだが、今日はこれを改めてご紹介してみる。この暗記継続・確認は、僕がいくつかやっている老人用「頭の体操」の一つなのである。手元にある「名歌名句鑑賞事典」(福武古語辞典別冊 1988)から採った。

 験(しるし)なきもの思はずは一杯(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあるらし
 古(いにしへ)の七(なな)の賢(さか)しき人どもも欲(ほ)りせしものは酒にしあるらし
 賢(さか)しみと物いふよりは酒飲みて酔泣(ゑひなき)するしまさりたるらし
 なかなかに人とあらずは酒壺(さかつぼ)になりにてしかも酒に染みなむ
 あな醜く賢(さか)しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似る
 今(こ)の世にし楽しくあらば来む生(よ)には虫に鳥にもわれはなりなむ

 

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「ダブルスタンダード」は批判にはならぬということ  文科系

2021年06月01日 12時24分47秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 拙稿『朝日「中止」社説を世界が注目 2021年05月26日』に、朝日新聞を安倍に同調して左翼新聞と呼んでいる旧名無し君からこんなコメントがあった。彼がよく使う論法で「ダブルスタンダード」と批判するやり方を使っている。「これは批判になってないよ」と教えてあげても一向に理解できないようなので、一度詳論したかった。

Unknown (通りすがり) 2021-05-31 13:48:52
そこまで言うのなら、朝日新聞は、オリンピックのスポンサーを降りるべきなのに、朝日新聞も、配下のテレビ局も、その気配は無い。
何だろう?、この文ちゃん論っぽい、ダブルスタンダードは? ‥高校野球も駄目だよね?

馬鹿の一つ覚え (文科系) 2021-05-31 16:28:42
 出たーっ。馬鹿の一つ覚え批判の「ダブルスタンダード」批判!
 ダブルスタンダードなんて悪くないこといくらでもある。これ何回教えてあげたことか。
 トヨタと言う会社を散々批判してもトヨタ車に乗ることはいくらでもあるし、誰も批判などしない。今オリンピック開催を批判しても、スポンサー降りなくて何故悪いの? オリンピック自身を永遠に止めさせるぞーと主張しているのではないのだし、やった場合のスポンサーを降りていなければならぬ事さえ必要ないだろう。
 ダブルスタンダード批判ってその程度の弱っちー「形式論理批判」に過ぎないのね。これ、ずっと教えてあげても分からない頭脳が、呆れる。ただ、恥ずかしい。


 さて、名無し君のこのやり方「ダブルスタンダード批判はだめ」について、もっと突っ込んでみよう。
 ある論議をその論議内容をほとんど考えてないのに、「その外から批判する形だけ批判」というやり方がある。それを形式批判と言って、中身を何も知らぬのに批判した気になれるやり方だ。その典型の一つが、ダブルスタンダード批判。相手の言い分に何かしらの「矛盾」を見いだして鬼の首でも取ったように批判するやり方だ。ところで、こういう批判対象にはその中身によって、全然悪くない場合も、悪すぎる場合もある。
 上の拙コメントのトヨタ車の場合が悪くない場合だろう。「トヨタ一族経営」など会社の体質を何か批判しても、その車に乗って何故悪いかということだ。会社の体質と車の中身とが「全く違う内容」だからである。同じように、朝日のオリンピックスポンサー問題も全然悪くない。
 悪いのは同じ中身自身で矛盾していて、かつその内容が悪質な場合なのだろう。例えば、こんな例だ。

 桜を見る会で安倍がこう挨拶したとする。
『皆さん、今日は日本晴れです。私も晴れ男と言われてきましたが、「日本国政に関わって数々の功績を挙げてこられた皆さん」を祝い励ます会なのですから、天も身方したのでしょう』
 ところが、この会の趣旨、参加者の性格は安倍のこの言葉のとおりだが、実際に安倍が集めた人々はこういう人々ではなかった。自分ら個人選挙への功労者たちだった。つまり、安倍の政治執行内容が「この政治目的、建前そのものと矛盾している」うえに、その矛盾の内容が「公政治の私物化」だったからこそ、この安倍の言葉もいくら安倍でも言いたくても言えなかったような嘘をついていることになる。「ダブルスタンダード批判」は、その矛盾する言動の中身自身によって、悪、無悪まで数々様々あるということだ。桜の場合は、その政治執行内容がその建前とは矛盾した政治私物化という大悪だったからこそ、長く続いたこの会を安倍は止めさせられることになったのである。 

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随筆紹介 幻の焼酎「森伊蔵」発見物語  文科系

2021年05月23日 16時31分41秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 昨日の「森伊蔵」の第2弾が『浅間山明鏡止水』というブログ主から送られてきましたので、続きとして載せます。

 

幻の焼酎「森伊蔵」発見物語(第2弾)  浅間山明鏡止水ブログ主さんから寄稿

私はその後「森伊蔵」を方々の居酒屋、割烹、日本料理店を訪ねては飲んでいました。そんなに沢山は出回ってはいませんでしたが、ポチポチと出始めていました。

「森伊蔵」が置いてあると嬉しかったですね。しかし高かったです。おちょこ1杯が500円~800円位しました。さてそうこうしている内に再び鹿児島出張が巡って来ました。嬉しかったです。

飛行機の予約の手配をした瞬間からワクワクしていました。「森伊蔵」の本場に行けるのです。またあの美味しいお酒を思う存分飲めると思うと喉がゴクリゴクリとして来ました。

とにかくこの酒は焼酎といっても芋特有の臭さがない。あっさりしていて美味い。正道である「お湯割り5・5」で、黒茶花で飲める焼酎でした。私にはぴったり関東人には合っていると思いました。鹿児島で売れなかったのは鹿児島人は芋の匂いが強い酒が好きなのです。他の焼酎を比べて見たら良く分かります。つまり「森伊蔵」は現代的なお酒を目指したのかも知れません。だからこそ「森伊蔵」は焼酎界のヌーベルバーグに成りえたと思います。

いよいよ鹿児島空港に降り立ちましたらある考えが頭に閃きました。迎えに来ていた代理店の社長に「垂水に行こう」と告げましたら彼は絶句しました。車中で「森伊蔵の酒造会社に行く」と告げますと「道路では遠すぎます。フェリーで薩摩湾を渡りましょう」と船で行くことにしました。鹿児島の地図を全く知らない私はポンポン船に乗って対岸の垂水市に上陸しました。

会社名は「森伊蔵酒販」でした。大きな看板も立っていなくて垂水市以外の人間が探すのに苦労しました。車を降りるのももどかしく、ドアを開けてお店に飛び込みました。店員は一人、受付に白いエプロンのおばさんが座っていましたので、「ごめんください、東京から今日やって来まして森伊蔵を購入したいと思います」と告げましたら、「売れません。購入したかったらこの紙に書いてある要領でお願いします」と文字通り「紙切れ一枚」を渡されました。

それには
電話予約について
1.①抽選登録期間 毎月15日~25日(24時間受付) ☎099-239-1111. ...
2.②案内期間 毎月26日~月末まではご利用の案内のみとなっております。 ...
3.③抽選結果の確認 毎月1日~14日(24時間受付) ...
4.④お受け取り方法 抽選でご当選された場合、お受け取り方法は、以下の2通りございます。
と書いてあったのです。

しかし東京からわざわざ来ているお客様に対し、このような応対はあるでしょうか?
頭は怒り狂っていましたね。私の経営哲学からしたらあり得ないことでした。しかし白いエプロン姿のおばさんに怒ることは出来ず、1回か2回「なんとか、そこを東京から来ているので売ってください」というのみでしたが、私の主張は受け入れられるはずもなく、空振りに終わりました。代理店の社長もしょげている私を励ます意味で、その夜は鹿児島市の繁華街「天文館」で大いに振る舞ってくれたのは言うまでもありません。

「森伊蔵」はその後第一弾で記述しましたように、JALの国際線ファーストクラスのプレミアム特典商品に指定されまして、あれよあれよと焼酎のスーパースターに踊り出たのです。
JALの指定業者というかバイヤーは確かに目利きや感性等、凄腕だったと思います。
今は健康志向、女性嗜好ブームでビール、日本酒、ウイスキー、カクテル等ソフトな、柔らかい味が好まれる時代ですからさすがという他はありません。

今から15年~20年前の話です。

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随筆紹介 「森伊蔵」発見物語   文科系

2021年05月22日 21時38分07秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

『浅間山明鏡止水』というブログを覗き、コメントを書いたらお酒の話やり取りになった。そしたら、『幻の焼酎「森伊蔵」ご存知ですか?今度、これにまつわる私の発見ストーリーを貴ブログに投稿します。投稿はそのままコメントに書けば良いですか?』とのこと。喜んで「大歓迎!」とお答えしたら、以下を送られた次第。ブログではこんな交歓もできるんだ!

 

幻の焼酎「森伊蔵」発見物語  「浅間山明鏡止水」さん

 今から15年以上前になるのでしょうか?教育系の仕事をしていた関係で鹿児島大学の国語の教授に会いに行きました。その後先生と意気投合しまして騎射場の学生街「どんぐり横丁」に食事をしに行きました。まだ早い時間でしたが、居酒屋でも小さいですが小奇麗で私はすっかり気に入り、先生と入り、鹿児島出張では好んで食べていた「キビナゴ」「豚骨」「さつま揚げ」「刺身」など注文しました。さて焼酎はとなったのですが、銘柄が分からなかったのですが棚にずらっと並べられていた焼酎を注文しました。黒茶花で飲むと、これが実に美味い。だんだんと酔いに任せていましたが、酒のせいで気が大きくなり、この焼酎を買って帰りたくなりました。店長らしい人に丁寧にお話をして、お金を払うからお願いしますと頼んだのですが「ダメです」の一辺倒です。本来ならこれで終わりですが、実はそうしているうちに、この店の社長が来られたのです。そこでダメもとで「私はこの酒が物凄く気にいった。買って帰りたい」と話したら、その社長さんがもの凄く良い人で何やら記事が一杯載せているバインダーを持って来て「実はこのお酒私が今宣伝しているのだ、垂水に酒造会社があるが、全く売れず困っているのだが、私は美味しいと思う。○○さん、あなたは美味しいと言ってくれる、気に入った、私が1本献呈しよう」と言ってくれたのです。私はそれじゃあ申し訳ないですからともう1本は現金で購入し、もらった1本は鹿児島大学の先生に差し上げました、先生が嬉しそうに抱えて持って帰った姿は今も忘れることは出来ません。そうです。この焼酎こそ、今では幻の焼酎と言われるようになった「森伊蔵」です。私も東京に戻り大いに宣伝に努めました。その後JALのファーストクラスのプレミアムに採用され、その後は瞬く間に焼酎のスターダムにと登りつめました。実際に焼酎特有の臭さがなく素晴らしく美味しい酒です。と言っても、もう何年も飲んではいません。実はこの話には第二弾があります。その話はまた後日お話します。 

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書評 「アメリカ帝国の終焉」③  文科系

2021年05月06日 10時23分06秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 
「アメリカ帝国の終焉 勃興するアジアと多極化世界」(進藤榮一・筑波大学名誉教授著、講談社現代新書、2017年2月20日の第一刷発行)の要約、書評第3回目だ。

今回要約部分、各節の表題を上げておく。第1章2節「解体するアメリカ」、3節「過剰拡張する帝国」、第4節「情報革命の逆説」、第5節「失われていく覇権」。そして、第2章に入って、その1~3節で、「テロリズムという闇」、「テロリズムとは何か」、「新軍産官複合体国家へ」。

オバマは、アメリカの荒廃に立ち向かおうとしたが、全て破れた。金融規制も医療制度改革も骨抜きにされた。その結果が、今回の大統領選挙の荒れ果てた非難中傷合戦である。2010年に企業献金の上限が撤廃されて、この選挙では70億~100億ドルが使われたという。1996年のクリントン当選時が6億ドルと言われたから、政治がどんどん凄まじく荒廃してきたということだ。

帝国は、冷戦に勝ってすぐから、その世界版図を広げ続けてきた。1991年、湾岸戦争。1992年はバルカン・東欧紛争から、95年のボスニア紛争。01年にはアフガン戦争、03年にはイラク戦争。11年がリビア空爆で、14年がウクライナ危機、シリア戦争。

「専制国家を民主主義国家に換えて、世界の平和を作る」とされた、帝国の「デモクラティック・ピース論」は全て破綻しただけではなく、3重の国際法違反を犯し続けてきたこともあって、帝国への憎しみだけを世界に振りまいてしまった。第1の違反が「平和を作るアメリカの先制攻撃は許される」。そして、ドローンなども使った「無差別攻撃」。最後が「国連の承認無しの加盟国攻撃」である。この3様の国際法違反などから、イラク戦争開始直前に行われた中東6か国の世論調査にも、こんな結果が出ている。「イラク戦争は中東にデモクラシーを呼ぶ」を否定する人69%で、「イラク戦争はテロを多くする」が82%だ。「米国に好感」に至っては、エジプト13%、サウジ4%である。つまり、その後の自爆テロや難民の激増は、必然だったとも言えるのである。

一体、テロとは何だろう。シカゴ大学の「テロと安全保障研究調査班」が、ある大々的な調査を行った。1980~2013年に起こった2702件のテロを対象にして、様々な要素(候補)との相関関係を出していく調査である。その結論はこうなったと紹介されていた。
『問題は占領なのだよ!』

喧伝されるように「文明の衝突」などでテロが起こるのではなく、祖国の占領、抑圧、困窮、それらへの恨みなどが生み出した「弱者抗議の最終手段」が自爆テロなのだと。ちなみに、占領地の現状はこんなふうだ。
バグダットの米大使館は国連本部の6倍以上の規模であり、加えてイラクには数百の米軍基地がある。と、こう報告したのは、クリントン政権下の大統領経済諮問委員会委員長、ジョセフ・スティグリッツ。基地には、3000~3500メートルの滑走路各2本、トライアスロン・コースあり、映画館やデパートまでも。米軍関係者が、要塞並みの防御壁の中で、これらを楽しんでいるとも続けている。かくて、06年の米軍海外基地建設費用は12兆円。

次に続くのは、この帝国の終焉が3様の形を、経済力の劣化、社会力の脆弱化、外交力の衰弱を取るということだ。
経済力は、高値の兵器に企業が走って、民生技術が劣化しているということ。
社会力は、戦争請負会社の繁盛。米中心に世界にこれが50社以上あって、総従業員は10数万人。冷戦後の軍人の新たな職業になっていると語る。ここで問題が、新傭兵制度。高い学資、奨学金によって年1万人以上生み出されているという借金漬け大卒者が食い物になっている。学生ローンの総残高が実に144兆円とあった。自動車、カードとそれぞれのローン残高さえ、各120兆円、80兆円程なのだ。かくして、中東からの帰還兵は累計200数十万人。言われてきたように、PTSD、自殺者も多い。

外交力の衰弱については、2例があげられている。一つは、外交即戦争ということ。この象徴が中東関連の戦費であって、今や累計9兆ドルに膨れあがった。先のスティグリッツ報告が出た当時08年には3兆ドルと報告されていたのだ。外交衰弱の2例目は、TPPの挫折。膨大な年月と人、費用を費やして追求してきたものをトランプが破棄した。

こうして、第2章の結びはこんな表現になる。
9・11とアフガン戦争から15年。イラク戦争から13年。戦争がアメリカをすっかり換えてしまった。もはや世界秩序維持を図るどころか、破壊するだけ、世界の憎まれっ子国なのである。
こういう観点からこそ、トランプのいろんな「強がりの言葉」を解釈してみることも可能だろう。
『世界の警察はやめた。その分、同盟国に応分の軍拡を求めたい』
『中東7か国国民は、米国に入ってはならぬ』
『日中は保護貿易を止めろ』
『IMFの言う事など聞かぬ。むしろ脱退したい。国連からさえも・・・(と言う雰囲気を語っている)』
これが、ここまで読んだ来た僕の、最も鮮やかな感想である。
 
(続く 後2回)
 
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僕の愛読ブログを紹介します  文科系

2021年05月05日 12時03分08秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今年でブログ16年目になる僕は長い間、他のブログなどは見たことがなかった。ランキングにも興味はなく、「イイネ」などもやったことがない。が、去年7月に、愛読し始めていた三つのブログをここに紹介した。イイネはもちろん、時々コメントも付けさせていただいてきた。いずれもグー・ブログだが、ここと同じ「文科系」という名前でコメントを付けている。

・心臓手術からフルマラソンへ
 関東は大和市のお方で、僕にとってはまー、同じ心臓手術を経た、ランニング(とサイクリング)同志でもあります。また、両親、兄上の介護、看病をも務められているその日々に、ランと自転車に水泳と、日夜励まれて、一見して分かる古き良き、勤勉な「日本人」! いわゆる「竹を割ったようなご人格」にも見えるお方です。
 
・行雲流水の如くに
 北海道は札幌の郊外、どこかの山近く?で庭仕事やいわゆるワンダーフォーゲルにも励みつつ?、政治評論と写真のブログを展開されておられる、僕よりも10歳近く年下のお方? 「北海道の緑?」が美しすぎる、写真が良い。このバラが良かったとコメントすると、次にそれに近いものを写してくださったりするから、嬉しい「お友達」。日本政治評論では僕にちょっと近いところがあるのかな?等などと勝手に思っております。

・つれづれなるままに心痛むあれこれ
 大阪は、硬派の日本近代史学者? 漢字が多すぎる長文で、若い人でなくともちょっと引けるところがあったりもしますが、実証的な文章は本物。日本史の見方は、僕に非常に近いものがあります。「似非右翼・安倍は馬鹿すぎることでもあるし、どうしても許せない」と、そんな公憤をお持ちの侍です。


 さて、この後も味を占めて、この三つ以外のブログもいろいろ覗くことになったので、中からご紹介したい。「おぢの山暮らし」は北海道は羊蹄山の麓、ニセコにログハウスを購入された、新雪大好きなスキー狂のおぢさん。と言っても1951年生まれで、僕よりちょうど10歳若く、文章は何と言うか面白い。とても面白い文章を書かれるのに、僕と違ってなんとなく謙虚なお人柄。上の「行雲」さんと並んで、ドカ雪の様子など全く違う季節がよく分かるのが、旅行しているようで楽しいんです。他に毛色の変わったところでは「しんばし写真館」。名前で東京の方かと思ったら、「自己紹介鳥取県大山周辺の野鳥の追っかけをしています(笑)(夏はチョウも追っかけますよ~)」とかで、特にトリの写真の専門家で、もう、完全なプロ。例えばこの4日のブログでは、マミジロキビタキとかの大写しが5枚です。トリ、自然が好きな人には堪らないと思いますよ。映像ドドッ素人の僕にしてみれば、こんな写真が撮れるんだと、いつもいつもおどろいています。
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書評 「アメリカ帝国の終焉」①  文科系

2021年05月04日 12時33分57秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 
 次の書評予告をしたい。ここでの僕の書評は、ご存知の方も多いはずだが、ただ感想,意見などを述べるものではなく、最近は先ず要約を何回にも渡って行う。そして最後に少しだけ意見を述べてみると、そういったものだ。今回は「アメリカ帝国の終焉 勃興するアジアと多極化世界」(進藤榮一・筑波大学名誉教授著、講談社現代新書、2017年2月20日第一刷発行)。この内容を5回にわたってご紹介する。
 著者略歴だが、1939年生まれで、京都大学大学院法学研究科で法学博士をとって、専門はアメリカ外交、国際政治経済学。ハーバード大学、プリンストン大学などでも研究員を務めて来られたアメリカ政治経済学専門のお方である。

 先ず初めに、例によってこの書の目次をご紹介する。

はじめに──晩秋の旅から
序章 トランプ・ショック以降
第一章 衰退する帝国──情報革命の逆説
第二章 テロリズムと新軍産官複合体国家──喪失するヘゲモニー
第三章 勃興するアジア──資本主義の終焉を超えて
終章 同盟の作法──グローバル化を生き抜く智恵
おわりに


 さて、今日第一回目は、「はじめに」を要約して、その主要点を本書内容でもっていくらか補足することにしたい。言うまでもなくこの書は、トランプが当選した後に書き上げられたもの。そういう「最新のアメリカ」を描き出す著作全体をこの「はじめに」において著者が上手くまとめ上げている、今回はそういう「はじめに」の紹介である。

 「はじめに」はまず、『この40年近く、何度も往復した太平洋便で見たこともない光景』の描写から始まる。
 15年晩秋に成田で搭乗した「マニラ発、成田経由、デトロイト行き」の『デルタ航空便でのことだ。乗客の九割以上がアジア系などの非白人だ。ネクタイを締めたビジネスマンではなく、質素な服装をしたごく普通のアジア人たちだ』と書いて、アメリカの非白人が全人口の38%に上ることが紹介されている。
 次に、この訪米「第二の衝撃」が続くのだが、それは全米随一の自動車都市だったデトロイトの光景である。
『ミシガン中央駅は、かつて世界一の高さと威容を誇り、米国の物流と人口移動の中心を彩り、「工業超大国」アメリカの偉大さを象徴していた。しかしその駅舎は廃虚と化し、周辺は立ち入り禁止の柵で囲まれている』
 そして、最後「三つ目の衝撃」は、『首都ワシントンに入って見た大統領選挙の異様な光景だ』そうだ。『広汎な民衆の不満と反発が、職業政治家と縁の遠い候補者たちを、大統領候補に押し上げているのである』。
『既存政治を罵倒する共和党候補で富豪のドナルド・トランプも、民主党候補で「社会主義者」を標榜するバーニー・サンダースも、党員歴を持っていない』・・・と語られてある。

 そしてこの『大衆の反逆の源は、二つのキャピタル、資本と首都──の有り様である』と続けられる。「金融に買われた」、『その醜悪な首都の政治の実態』という二つのキャピタルだ。こういう政治が『「世界の警察官」として二十世紀に君臨した大米帝国の終わりと二重写しになっている』として、次の文脈へと展開されていく。

『人を納得させる力、イデオロギーを不可欠の要件とする』と形容が付いた『ソフトパワー、理念の力』も失われて、デモクラシーを広める力もないと。その下りには、こんな傍証が付いていた。
『かつて米国はベトナムで、「デモクラシーを広める」ためとして、一五年の長きにわたって、自陣営に一〇〇万人もの死傷者を出し、敗北した』が、アフガニスタンから始まった中東戦争はこの一五年を既に超えているが、
『多くの人命を奪い、膨大な予算を投じたにもかかわらず、アフガニスタンでもイラクでも、リビアやシリアでも、デモクラシーを樹立できず、内戦とテロを進化させ、テロと混乱を中東全域に広げている』
 こうして、この「はじめに」の結びは、こうだ。
『二〇一五年、晩秋のアメリカで見た風景は何であったのか。トランプの登場とは何であったのか。それは欧州の動向とどう結び合って、世界をどこに導こうとしているのか』


(続く、このあと4回続きます)

 補足 なおこの進藤榮一氏の書評がこのブログに既に一つ存在している。「アジア力の世紀」(岩波新書)を、14年5月5、8日に要約、紹介しているから、例によって右欄外の「バックナンバー」から、年月日で入ってお読み頂けるようになっている。ちなみにこの書は、このブログ11年ほどの数十冊に及ぶいろんな読書・学習の中で、世界情勢を学ぶ上で最も参考になったベスト5に入る1冊である。例えば、僕の中では、ノーム・チョムスキーの「覇権か、生存か──アメリカの世界戦略と人類の未来」(集英社新書)に、比肩できるような。数字を挙げた実証を中心に書かれているという意味では、チョムスキーよりも現代的説得力を持っているとも付け加えておきたい。
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書評 『人新世の「資本論」』、その概要  文科系

2021年03月04日 11時11分54秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 このベストセラー本の内容紹介を3回にわたってやって来たが、最後に標記の通り、全体の概要を粗い箇条書きにしておきたい。

①今までのマルクス解釈は生産力至上主義であった。いわゆる生産力が生産関係を換え、この経済転換が上部構造を変えていくという命題を絶対視して、資本主義生産関係の様々な政経的諸悪現象などを指摘、批判する政党が政権も取ることができて、まともな生産関係も生みだすことができるというように。こういう考え方からは、(現に生産力が発展していた)西欧中心主義や、政治主義という特徴も出てくることになる。

②人類による地球破壊、地球環境問題、これに対するグリーンニューディール政策への期待などにも、世界的な需要拡大という形で生産力至上主義が顕れている。左翼やリベラルの間にさえ、気候ケインズ主義があるのではないか。資本主義のままで地球破壊が止められるというのは、幻想である。いまでも、地球荒廃のしわ寄せが南部に行き、先進国には見えにくくなっているだけだ。

③晩期マルクスは、資本論2、3巻の研究・構想途中で亡くなったが、世界中の農村共同体などの研究を通じて、生産力至上主義から脱皮しつつあった。その考え方によれば、今の「人新世」世界を止められるという意味で求められている方向は、脱成長コミュニズム(コモン、社会的共有財を、資本所有に抗してそれらしく確立し直していくこと)である。これには、五つの柱がある。①使用価値経済への転換、②労働時間の短縮、③画一的な分業の廃止、④生産過程の民主化、⑤エッセンシャルワークの重視。具体的なこれの形は、今世界に広がり、結びつきつつある地産地消の生産消費共同体とその世界的結合、およびそれが作る政治である。

④この典型例は、バルセロナ市。リーマンショックのあおりをまともに受けて失業率25%というスペインの苦境から、労働者協同組合を中心にしてこんな形で復興している。生協、共済、有機農産品グループなど無数の協同組合がこれと結びついて政党を作り、その政党が2016年に市長選挙に勝利した。そして同時に、「人新世」の被害をまともに受けている地球南部(アフリカ、南米など)の77諸都市と世界的連携を取りあっている。これらの諸都市は特に、グローバル企業によって民営化されてしまった水道事業を公営化する運動などに知恵を寄せ合っている。他にも、1993年から中南米に打ち立てられて来た国際農民組織、ヴィア・カンペシーナは全世界約2億人と関わりを持っている。これらの運動は、食糧主権と気候正義を柱としているが、南ア食糧主権運動もその典型の一つだ。飢餓率26%である上に、ポルトガル一国と同じ量のCO2を出すあるエネルギー資源企業を持った国だから、食料輸出が問題になっているのである。

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