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随筆紹介 幻の焼酎「森伊蔵」発見物語  文科系

2021年05月23日 16時31分41秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 昨日の「森伊蔵」の第2弾が『浅間山明鏡止水』というブログ主から送られてきましたので、続きとして載せます。

 

幻の焼酎「森伊蔵」発見物語(第2弾)  浅間山明鏡止水ブログ主さんから寄稿

私はその後「森伊蔵」を方々の居酒屋、割烹、日本料理店を訪ねては飲んでいました。そんなに沢山は出回ってはいませんでしたが、ポチポチと出始めていました。

「森伊蔵」が置いてあると嬉しかったですね。しかし高かったです。おちょこ1杯が500円~800円位しました。さてそうこうしている内に再び鹿児島出張が巡って来ました。嬉しかったです。

飛行機の予約の手配をした瞬間からワクワクしていました。「森伊蔵」の本場に行けるのです。またあの美味しいお酒を思う存分飲めると思うと喉がゴクリゴクリとして来ました。

とにかくこの酒は焼酎といっても芋特有の臭さがない。あっさりしていて美味い。正道である「お湯割り5・5」で、黒茶花で飲める焼酎でした。私にはぴったり関東人には合っていると思いました。鹿児島で売れなかったのは鹿児島人は芋の匂いが強い酒が好きなのです。他の焼酎を比べて見たら良く分かります。つまり「森伊蔵」は現代的なお酒を目指したのかも知れません。だからこそ「森伊蔵」は焼酎界のヌーベルバーグに成りえたと思います。

いよいよ鹿児島空港に降り立ちましたらある考えが頭に閃きました。迎えに来ていた代理店の社長に「垂水に行こう」と告げましたら彼は絶句しました。車中で「森伊蔵の酒造会社に行く」と告げますと「道路では遠すぎます。フェリーで薩摩湾を渡りましょう」と船で行くことにしました。鹿児島の地図を全く知らない私はポンポン船に乗って対岸の垂水市に上陸しました。

会社名は「森伊蔵酒販」でした。大きな看板も立っていなくて垂水市以外の人間が探すのに苦労しました。車を降りるのももどかしく、ドアを開けてお店に飛び込みました。店員は一人、受付に白いエプロンのおばさんが座っていましたので、「ごめんください、東京から今日やって来まして森伊蔵を購入したいと思います」と告げましたら、「売れません。購入したかったらこの紙に書いてある要領でお願いします」と文字通り「紙切れ一枚」を渡されました。

それには
電話予約について
1.①抽選登録期間 毎月15日~25日(24時間受付) ☎099-239-1111. ...
2.②案内期間 毎月26日~月末まではご利用の案内のみとなっております。 ...
3.③抽選結果の確認 毎月1日~14日(24時間受付) ...
4.④お受け取り方法 抽選でご当選された場合、お受け取り方法は、以下の2通りございます。
と書いてあったのです。

しかし東京からわざわざ来ているお客様に対し、このような応対はあるでしょうか?
頭は怒り狂っていましたね。私の経営哲学からしたらあり得ないことでした。しかし白いエプロン姿のおばさんに怒ることは出来ず、1回か2回「なんとか、そこを東京から来ているので売ってください」というのみでしたが、私の主張は受け入れられるはずもなく、空振りに終わりました。代理店の社長もしょげている私を励ます意味で、その夜は鹿児島市の繁華街「天文館」で大いに振る舞ってくれたのは言うまでもありません。

「森伊蔵」はその後第一弾で記述しましたように、JALの国際線ファーストクラスのプレミアム特典商品に指定されまして、あれよあれよと焼酎のスーパースターに踊り出たのです。
JALの指定業者というかバイヤーは確かに目利きや感性等、凄腕だったと思います。
今は健康志向、女性嗜好ブームでビール、日本酒、ウイスキー、カクテル等ソフトな、柔らかい味が好まれる時代ですからさすがという他はありません。

今から15年~20年前の話です。


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