今年は検査を真面目に受けて、最後に胃カメラだけ残りました。それを今朝やってきましたわ。わたくし、こう見えて、胃カメラはプロでございます。若い時、腸炎をやって、三日間断食をして、二日間眠れぬ夜を明かし、1カ月入院しました。腸閉塞を起こし、夜中看護婦に「浣腸してくれっ」と懇願しました。あの日々のあいだ、胃カメラを数知れず、腸カメラも数回、その他いろいろ経験しました。その時学んだ事は、人間の神経回路は痛みで飽和されると、他の事を考えるほどの余裕の神経は、残っていないのだ、という事でした。うんうん唸るほかに、することがない。あの痛みは「出産」より軽かったのだろうか。痛くて気を失っていたのを、看護婦は寝ていたと証言したが、果たしてどっちが正しかったのだろうか。
で、カメラは朝飯前な他に、今回はのどから入れる最新式のだと言うじゃないですか。楽勝ですわ。一番気を遣うのは実は何も口に入れることができない、という事です。目が覚めたらもう、歯磨きすらする気にならない。薬がないと不安になるけど、それもダメだという。寝ぼけているほかに、うらうら状態で医院に行く。この準備が出来たら、もう医者のされるがまま、という心境になれる。
飛び入りの91才の大正生まれに邪魔されて、40分ほど寝たまま待たされた。レントゲン室へ案内される。鼻の孔に麻酔を注入。それがのどへ垂れてくる。ごっくんしてもいいと言う。5分後スタート。昔の真っ黒い、太い、胃カメラの時は、これで息ができるだろうか、という不安があった。それは今ないが、異物を入れられて、身体が勝手に拒否反応を起こさないか心配だった。「おえっ」と1回来た。しかしあとは楽だった。胃をかき回される感覚もない。モニターを見ながら、先生の言葉に集中する。「この赤い所、あるでしょ」「はい」「これ、ピロリ菌のせいかも知れない」「えっ」「あとでピロリ菌の検査、しましょう」てなわけでまたあした、飲まず食わずで朝イチお邪魔することになった。
一応それ以外は異常なし、ということでほっとしている。時々チクチクするのだが、何も言われなかった。酒は控えていたが、たまには飲むことにしよう。検査の間、看護師さんがずっと背中をさすってくれていた。とても美人な看護師さんですよ。あとちょっと、10年でも若ければ、ムラムラッと来たかも知れない。残念だ。