2011年、まだ乾電池の供給が安定していないうちに、LEDライトを売り込みに来た会社がありました。今は横手市になりましたが、平鹿町浅舞にある株式会社アスターです。
なんで潟上市の高校なんかに、ピンポイントで来たかということから説明しましょうか。実は毎年懇意にしている平鹿リンゴの農家がおりまして。トラックで回ってくるんです。きっかけは妹で、友達みたいに仲良くしていて、妹の学校へ必ず寄るついでに、兄の学校へも寄るようになったわけです。このリンゴは、評判が良くて、味にうるさい県南出身の校長もこれは美味いと言ってくれました。
そんなリンゴ農家の伝手(つて)を頼って、潟上市まで見えたわけです。聞けば、大手自動車メーカーからの部品注文が激減して、大変困っているとの事。大雑把に言えば、自動車部品の金型加工や精密部品の組み立て、LEDも扱っていた会社らしいです。そこで細々と商売を始めたのがこの「スプーンライト」という製品だったのです。今思うとあれが社長さんと従業員の方だったのでしょう。
しかし事務室に置いて、反応を見ていたところ、関心を持って注文してくれる職員はあまり多くありませんでした。性能は良かったです。明るくて、連続200時間OKというものでした。それにパーツの色を選べて、好きなコラボで持ってきてくれます。あの時は、デザインに難があるのかなあと考えましたが、そうでもありません。単一2本のどっしりした土台に、かわいいスプーン型ライトが伸びて、角度も自由に動きます。
あの後、この会社がテレビに出ているのを3回は見ました。もちろんローカル放送ですけどね。それでもあの会社が自前の技術で立ち直って、地方再生のモデルみたいに紹介されると、他人事でなく思います。それにさっき会社のホームページを開いたら、全く同じスプーンライトが今でも製品のラインナップとして幅を利かせていました。色々飾りを付けた「デコレーション・ギャラリー」まであります。なぜかは知らねど、このライトを眺めては、ちょっとうれしい気持ちになります。