同じ映画を立て続けに見た。しかし同じ映画とは思えないほど動揺した。一度目は、賞を取ったという視点から、凄い場面があるんだろうと半ばそういう先入観から見ていた。だから、物語がただ淡々と進んでいった。(ように見えた)
しかし今回は高倉健という人格を、じっくり観察した。「人を想う心」それが人間高倉健の生き方だし、この作品の神髄だろう。健さんは、言葉の数以上に多くのことを語る、まあ皆役者はそうなんだが、セリフを切り出す前の「間」と「表情」がまさしく何かを物語っている、稀有な役者だと思う。だからそれをいつくしむように、一場面、一場面を鑑賞した。すると何だか分からないが、目尻からじわーっと、水が染み出てくるのだった。ずーっと拭い、拭い、見ていた。散骨したいと漁船を探す場面で、漁協から、漁師からやんわり断られる。この時の若い二人の言葉が、逆にこの作品のテーマを浮き上がらせる。今までの旅で、亡き妻との想い出で、相手を想う気持ちの深さを味わってきたところで、まったく反対の言葉が出てくる。「こんままじゃ、薄香の漁師は薄情だってことになるばい」この対比によって、人情が深みを増す。
最後の健さんのセリフ。「きょう自分は、鳩になりました。」どっぱーっ。水分を補給しなくっちゃ。
ここは、払田の柵。旧仙北町と旧千畑町にまたがる、平安時代の遺跡。
建物がないせいか、ただただ広い。1370m×780m。都会の皆さんに分かりやすく
説明すると、東京ドームの18倍くらい。人がいるんですが、見えますか。
ここですよ、ここ。
ほらね。AKTのアナウンサーだった鈴木陽悦氏に似ていた。彼はクロマンタの発掘調査の
時、一緒に取材に同行してインタビューし、「興味深いデータ」を目撃した
ラッキーな人間の一人だ。