サミット議長国、日本の大盤振る舞いに終始した、洞爺湖サミットが終わった。
盛り上がったのか、盛り上がらなかったのか。
大きな成果はあったのか、なかったのか。
どうも、国民がはしゃいでいる姿も、あまり見られない。
歓迎より、迷惑だったと言う声の方が多い。
とにかく、十分なまとまりのないまま、あっけなく終了してしまった。
この時季、北海道洞爺湖は観光シーズン真っただ中で、厳しすぎる警備とあって、温泉街は観光客も寄り付けず、ガラガラの状態だった。
お中元の時季を迎えて、空港での検査は厳しいし、時間ばかりかかって、名産の夕張メロンなどは東京や大阪に着く頃には、中身はぐちゃぐちゃになっていたそうだ。
サミットを成功させようと、日本中が不便と我慢を強いられた。
経済効果も、勿論一部ではあったようだが、損失の方が大きかったのではないか。
国民の不支持率60%を超えている福田内閣に、何もかもの値段が上がって苦しんでいるのだから、何をおいてもインフレ政策をしっかり訴えてほしかった。
本気で、原油や食料高を解決しようという気があるとも思えない。
福田総理は、サミットを成功させれば、内閣支持率がアップすると本気で信じていたのだろうか。
現実は、そう甘くはない。
日本の大新聞、テレビなどのメディアは、朝から晩までサミットを報じた。
福田総理の不人気の支持率をアップさせるべく、一役も二役も買っているようなもので、これを「報道」と言うのか。
テレビ局は、数百人を超える報道陣を現地に送り込んで、一日中生中継を続けた。
その内容はというと、「夕食会の豪華ディナー」「夫人のランチ」「参加首脳や夫人のファッション」まで、まあどうでもいい話ばかりが、とにかくやけに目立った。
キャスターもタレントとまじって、何のことはない大はしゃぎではないか。
地球温暖化について、主要国は世界に向けて、2050年までに温室効果ガスの排出量を半分にしようと呼びかけたが、本筋となる中期目標の道筋は示されず、具体的な数値は出されなかった。
先進国と新興国との、歩調が合わなかったようだ。
混迷する世界の経済についても、具体策を打ち出せず、大きな成果はなかった。(?)
原油高の元凶と言われる、投機マネーの暴走についても、G8首脳は、キャビアに舌鼓で見て見ぬふり、何ら有効な対策を打ち出せなかった。
福田総理の、リーダーシップも存在感も示されなかった。
各国首脳が雑談する中で、ぽつんと一人手持ち無沙汰でたたずむ姿が多かった。
サミットが、成功したとはとても思えない。
世界の目は、このサミット“騒動”をどうとらえただろうか。
イギリスのインディペンダントという新聞は、サミットの豪華な食事について、強烈に皮肉ったのが印象的だ。
「キャビアやウニを食べながら、指導者は、食料危機を考える。」
こんな見出しを掲げたそうだ。
それから、直接目にしたわけではないが、ある大衆紙は、やせ細ったアフリカの子供の写真と、各国首脳らが夕食会で乾杯する写真を載せたという。
いまや、先進国だけで、世界で起きている問題を解決することは出来ない。
サミットだって、限界だ。
サミットは祭りだ。
しかし、ただの祭りで終わっていいか。
・・・メディアというのは、権力と癒着し、もしかしたら批判さえもしなくなってしまったのではないか。
ふと、大新聞の活字や、テレビのセンセーショナルナルな報道に、騙されてはいまいかと、そんな風に考えたくもなるのだ。
洞爺湖サミットは、どう見ても抽象的な色合いの、玉虫色の合意を掲げて終わったが、そうこうする間に、日本の経済状況は悪化の一途を辿っている。
景気の後退は鮮明になった。
資源は不足し、食料高が重なる。
倒産が激増し、株価は底無し沼となって・・・、地球温暖化よりも前に、日本の経済が凍ってしまうかも知れない。
そうなると、緊急事態だ。
洞爺湖サミットの開催費用は、600億円と言われる。
05年のイギリスのサミットでかかった費用が180億円というから、その3倍以上の費用をかけたわけだ。
しかも、豪華な食事に舌鼓を打ちながら、食料危機を憂える「会議」が、テレビを通じて全世界に中継され、世界の人々はそれをどう見ただろうか。
数十億円もかけて建てられた関連施設も、あっという間に解体だ。
こういうことは、温暖化ガス削減のサミットの趣旨とは、矛盾しないのだろうか。
短期的には、少なくとも経済損失の方が、はるかに大きくはなかったのか。
サミット開催中は、警官のトラブルも相次いだ。
小学生が、巡回中のパトカーにはねられ、しかも事故後すぐに助けなかったと言うから、被害児童の親はかんかんになって怒っている。
デモ隊と一緒に、通信社のカメラマンを逮捕した、警官の乱暴な映像がネットで流された。
カラオケで暴れた酒乱巡査、女風呂を盗撮したエロ技官らが逮捕された。
検問検問で、地元住民は遠回りを余儀なくされ、高いガソリン代が余計にかかった。
確実に潤ったのは、会場周辺の飲食店とコンビニくらいではないか。
観光シーズンなのに、一般客を全く期待出来なかった。
湖畔の花火大会は自粛を求められ、例年の生活とは一変した。
サミットが終わった夜は、ビジネスマンや観光客は、周辺都市の繁華街に近寄ることも出来ず、札幌のススキノあたりは、国内外の政府関係者、マスコミ、警察官らによる“打ち上げラッシュ”で、大いにはしゃぎまくる彼らで、滅茶苦茶に盛り上がったようだ。
えっ、何~だ。盛り上がったのは、会議ではなくそっちの方だったのか。(!?)
日本中が、エコだ、環境だと喚きたてた、北海道洞爺湖サミットが、壮大な宴と騒動と蹂躙の果てに残したものは、果たして何だったのだろうか。
終始はしゃぎっぱなしの福田総理は、今回のサミットが、どう見ても惨憺たる(?)結果だったにもかかわらず、「多くの成果を生み出せた」(?)と自画自賛している。
本当か?
国民は、納得できるだろうか。
今から42年後に、どういう評価が下されるか。
今はわからない・・・。