徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

「防衛利権」を操っていた男ー黒い闇の世界でー

2008-07-27 21:00:00 | 寸評

防衛省の前事務次官の摘発から、早いもので8ヶ月が経っていた。
そして今度は、政界と日米の軍需産業を結ぶパイプ役が逮捕された。
人呼んで、“防衛フィクサー”またの名は“チンピラ・ブローカー”とか言うのだそうだ。
脱税容疑である。

防衛関連企業から集めたコンサルタント料のうち、2億3200万円を隠していて、所得税7400万円を脱税したと言うのだ。
日米のパイプ役が、聞いてあきれる話だ。

防衛省汚職の捜査では、前防衛次官と軍需商社山田洋行の癒着が明らかになっている。
今度は、政界との関わりを持つと言われる、キーマンの逮捕だ。
防衛利権の根は、どうもこの辺にあるように思えてならない。
その張本人は、「日米平和・文化交流協会」なるものの秋山専務理事だ。
この協会を活動拠点に、久間章生、額賀福志郎、石破茂、瓦力と言った大物国防族議員が理事としてずらりと名を並べ、族議員でない福田康夫総理の名前までも・・・。

久間元防衛相のことを、秋山理事はウチの「先生」と呼んでいたそうだ。
他の政治家のことは、皆呼び捨てにしていたと言うから、政治家をあごで使っていたのか。
この秋山なる男が専務理事を務める、「日米平和・文化交流協会」の会員には、日本を代表する重工メーカーや商社など20社が加盟していたそうだ。
年会費とか部会費とかと称して、秋山理事の懐には、毎年‘表’(おもて)だけで、1億数千万円の大金が入っていたというのは事実らしい。

政官界と軍需産業をつなぐ舞台で、何があったのだろうか。
大物政治家たちは、誰もが、自分たちに金が入るなんてあり得ないと、不正への関与を否定している。
しかし、それで何もなかったということになるのだろうか。
国会での疑惑の追及から半年余り、操作は難航したが、ようやくここまで来たという感じだ。
理事と政界との関わりは、どんなものだったのか。
防衛利権の構造は、どんなものだったのか。
それが知りたい。

防衛フィクサー、あるいはブローカーと呼ばれるようになった男の軌跡は、政治評論家戸川猪佐武氏の書生から始まって、金丸信・元自民党副総裁と親しい女性の運転手を務めたことから、当時の竹下派を中心に、人脈を広げていったと言われるのだが・・・。
何~だ。そうなのか。
もともと、防衛問題の専門家でも何でもなかったのか。
アメリカの要人をつないで、カネにするブローカーだったのか。
彼は、沢山の民事訴訟の被告人でもあるという。
自身、いろいろな事件にまみれているようだ。
普段は、サングラスと黒いシャツ、相手を威圧する姿で、アメリカからの兵器調達について実権を握っていたのだ。
勿論、これという専門知識も教養もない。(そういう風評だ)
そんな軍事のプロなんているのだろうか。
防衛省と外務省は、そんな男に、腫れ物にでも触れるような扱いだったそうだ。
もう、驚きである・・・。
それで、一部でチンピラ上がりとも言われている。
そんな男に、日本の防衛行政が舐められていたということか。

世の中には、何者とも、得体の知れない人間はいるものだ。
小説や映画の世界だけではなさそうだ。
そんな怪しげなブローカーが暗躍できるのは、日本に、確たる防衛政策がないからだろう。
本当の、軍事のプロはいないのか。
日本の軍事とか防衛政策は、大体アメリカの言いなりではないか。
何でもあちらの言いなりなら、その道のプロもいらないし、勉強する必要もない(?!)

日本の政治家の関心は、年間予算5兆円という防衛利権だけだ。
この利権にどう食い込むのか。
そういう族議員から見れば、たとえチンピラだろうが、何だろうが、こうした軍事ブローカーのような男の存在はなくてはならないわけだ。
防衛予算といったら、それこそ聖域扱いで、闇の世界だ。
兵器と言ったって、値段があってないようなものだ。
だから、日本の防衛行政は不透明なのだ。

戦争するわけでもない。
なのに、防衛省・自衛隊には、毎年、黙っていても5兆円の国防予算が転がり込むのである。
それも機密扱いだという。使い道も、ほとんどチェックされない。
族議員、防衛官僚、防衛産業の甘い甘い蜜だ。
彼らは、蟻のように集まってきて、それを食い物にする・・・。
・・・だから、ブローカーが暗躍する。

防衛省の改革はないのだろうか。
石破防衛相はやっているのか。
いやいや、防衛省、自衛隊の体質が簡単に直るとはとても思われない。
だから、装備品納入をめぐる汚職事件だって後を絶たない。

・・・自民党の国防族議員は、防衛利権を操る、チンピラ上がりのブローカーを排斥することも出来ず、ひたすらおこぼれにあずかろうという魂胆が透けて見えてくるではないか。
いずれにしても、日本の防衛行政があまりにも無能でお粗末ゆえに、防衛の知識も教養もない(?)一介の男に、浅はかにも操られていたという構図が浮かんでくる。
政治家も官僚も、恥ずかしくないのか。
あまりにも、情けない話である。
もう、防衛省自体、一度解体しては如何だろうか。