福品第一原発の汚染水漏れをめぐって、国会が審議を先送りしてしまった。
この呪わしき(?)問題を、五輪招致の決定前にふたをしなければ、招致に悪影響をもたらすからということらしい。
しかし、決定を待たねばわからないが、それは逆ではないのか。
何をおいても、汚染水対策を急ぐべきではないか。
汚染水は地上からのみならず、建屋海側からの地下水も港湾への流出が続いている。
対策には、いまだこれといった決め手はない。
放射能汚染の問題は、五輪招致の問題よりはるかに大きく、国際的に批判を受けている問題なのに、これを先送りするというのは如何なものか。
問題を先送りする神経がわからない。
いま、そんな場合ではないと思うが・・・。
国会の閉会中といえど、重要な案件を審議する必要があれば、いつだって開くこともできる。
それなのにこの緊急事態に、これから現場視察をして、審議日程を協議し、早くても今月中か来月(10月)、臨時国会になってからなどと、何とものんきなことを言っている。
どうせ国会閉会中なのだから、急ぐこともないと、政府部内ではささやかれているようだ。
この露骨な先送りには、様々な不安の声も聞かれる。
先日あるテレビの報道番組で、民主党の馬淵衆議院議員が2年半ほど前に、汚染水漏れに関して、遮水壁の設置について決定をみる直前まで行ったのにどうも莫大な費用が掛かるからと、東電上層部の思惑で反古にされたいきさつを知った。
そののち、馬淵氏は更迭されたことも話していた。
もしこのことが実施されていたら、今頃汚染水の問題は起きなかっただろうということだ。
東電は、金のかかることはやりたくない。
そこへ、政府が前面に出て来れば国民の税金を使うことになる。
東電はしてやったりかもしれないが、ゆゆしき問題だ。
ともあれ、遅きに失したけれど、政府が本腰を入れるとの覚悟のほどはわかったが、審議先送りなどそれから先はだらだらと一向に進展がない。
喫緊の問題を抱えて、これから福島の視察だなどと、何を寝ぼけたことを言っているのだろうか。
福島の原発処理に関しては、全世界の厳しい目が注がれている。
場合によっては、日本に賠償責任を求めるという声も出始めているのだ。
福島の現場を知らない政治家は、汚染水対策の遅れなど、さして問題ではないと思っているらしい。
放射能汚染水と東京五輪、政(まつりごと)と祭りごと、一体どっちが大事か。
子供だって判断できる。
福島漁協の組合長さんも、「とんでもない問題意識の低さだ。政治家は、そんなことも理解できないのか」と、怒りをあらわにしている。
この場に及んで、いかに日本の政治が機能していないか。
いかに、危機意識がないかということだ。
日本の政治の、いや政治家のレベルとは、この程度のものだったのか。
(そういう人を選んで国会へ送った、われわれ有権者の民度の低さも・・・)
恥ずかしくも、嘆かわしい限りだ。
・・・早いもので今日から9月、まだまだ厳しい残暑が続いているが、朝夕はもう虫の音すだく秋である。
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