徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「シーサイドモーテル」―爆笑!?キケンな夜の始まり―

2010-06-13 09:00:00 | 映画

守屋健太郎監督が、人間同士の騙し合いを描いた、爆笑群像コメディだ。
ある場所に集まった人々の、それぞれのドラマが同時進行していく。
いわゆるグランド・ホテル形式で、男女11人の騙し合いを、面白おかしく綴っている。
複雑に絡み合う、四つの密室での一夜の出来事である。
騙すつもりが騙されて・・・。

海もないのに“シーサイド”と名付けられた、山奥のさびれたモーテルが舞台だ。
サギ師失格(?)のインチキセールスマン(生田斗真)と、部屋を間違えて入ってきた、三十路前のコールガール(麻生久美子)との出会いでは、ミイラ取りがミイラになってしまう(?!)、恋と仕事の騙し合いだ。

追って追われて、借金取り(玉山鉄二)の修羅場に、賭場での借金3000万円を踏み倒そうとする、ギャンブラー(山田孝之)と好奇心旺盛な猫好き女(成海璃子)が絡む、金と命の騙し合い・・・。

その姿はエマニエル夫人か、はたまたシャロン・ストーンか、金髪のカツラに派手な下着姿の妖艶な妻(小島聖)と、夫婦問題で悩みを抱えるスーパー社長(古田新太)の、マンネリと束縛の騙し合い・・・。

馴染みの店に通い詰めること半年、下心丸出しのキャバクラ常連客(池田鉄洋)と、ムリヤリ旅に誘い出された、潔癖症のキャバクラ嬢(山崎真実)の、モーテルで危険な夜を迎えた、男と女のふてくされた物欲の騙し合い・・・。

映画「シーサイドモーテルは、一癖も二癖もある11人の男女が、四つの密室で繰り広げる、一夜のドラマだ。
とにかく、面子の濃いこと、さすがにコミックの原作(岡田ユキオ)だけに、ドラマの進行もハチャメチャ(?)で、役者陣も個性派がそろって、軽佻浮薄な男たちを熱演する。
インチキセールスマンを演じる生田斗真は、「人間失格」から数日後にこの作品を撮ったというのが嘘のようだ。
ED社長役の古田新太にいたっては、化け物みたいな女装姿という飛び道具まで出してきて、いやもう勘弁してほしいくらいだ。

登場する俳優たちは、恋や金、金や仕事、人生の駆け引きに、これまでのイメージには見られなかった強烈なキャラクターを発揮し、まさに最低なシチュエイションで、ハイテンションかつエキサイティングなドラマを作り上げている。
とくに、超キュートでセクシー、落ち目のコールガール役の麻生久美子は、ちょいふてぶてしいアラサーぶりで、新しい一面を見せて笑わせる。
怪優、珍優入り乱れての濃厚な競演に、観ている方もタジタジのゴージャス(?)なアンサンブルだ。

ワケアリ男女11人の騒動の一夜が明けて、朝を迎えたとき、彼らは無事このモーテルをチェックアウトできるのか。
この作品が長編二作目となる守屋健太郎監督は、エッジのよく効いたスタイリッシュな映像と音楽で、少々癖のある、独特の作品世界を演出する。
・・・この作品、面白く観る人は、面白く観るに違いない。
コミック好き人間にはこたえられない面白さ(?)だが、そうでない人にはちょっと耐えられない(?)かもしれない。