足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

アニメに新しい潮流・・・株の発想

2006-02-05 12:51:44 | 株式

新興市場の銘柄の決算発表が本番を迎える。これまで発表された第1部市場の決算は株価の反転のきっかけになり上昇トレンドを確認する材料になった。一方、新興市場はライブドア問題があり人気面ではいまひとつというところがあったが、これからは率直に株価に反応するだろう。

1月25日に先陣を切って発表した東映アニメーション(4816・JQ)の決算をみてみよう。2006年3月期の売り上げ見通しを198億円から210億円、経常利益を36億円から39億円に増額した。昨年4~12月の9ヵ月決算は売り上げ156億円(+37.4%)、経常利益35億円(+114.5%)であった。今期の修正予想の90%を9ヵ月で達成した。今回の修正で3回目であるが、会社の見通しの慎重なことを伺わせる。5月には再増額があるだろう。

少子化、大型人気アニメの後続の不確実性、海外展開の不透明感などを上げる向きがあるが、そんな問題でこの株を過少評価してはならない。アニメーションの世界にウォール街では大きな変革が出てきていることの方に注目している。

世界のアニメのシンボル的な存在であるピクサー(PX)にディズニーが食指を動かし傘下におさめた。ピクサーは有名なスティーブン・スピルバーグが設立、それに現在の時の人のアップルのスティーブ・ジョブが大株主に加わった。スティーブ・ジョブは50.6%保有していたが、買収で持ち株はディズニー株になり伝統ある企業の筆頭株主になる。ジョブはiPodで新しい文化を作り上げ、音楽というコンテンツの世界を変えた。つぎの狙いは映像という最大のコンテンツの世界への挑戦がみてとれる。そのなかでもアニメはおおきな柱と捉える。今度は茶の間が狙いだ。

ディズニーがピクサーの買収に投じたのは8000億円である。この動きに合わせるようにパラマウントが世界第2位のアニメのドリーム・ワークスに1800億円を投じて2012年までの新作の世界での配給権を手に入れた。パラマウントはエンターテイメントのメディアを握るバイアコムの傘下にある。

アニメというコンテンツに既存の大資本がかくも熱意を示すのは、それが時代の新しい潮流をつくると読んでいるからである。これまでのアニメは劇場だけが収入の場であったのが、テレビ、DVD、キャラクターとマルチユースに拡大し、生み出す価値の数倍の新しい価値を生むようになってきた。こういった視点から東映アニメーションをみたら株価の評価にも違った結論がでる。ピクサーの価値8000億円に比べて東映は600億円台。割安である。

今月16日には新しいコンテンツ関連のフアンダンゴ(3797・ヘ)が公開される。吉本興業傘下のコンテンツ制作。

コンテンツ関連株が株式市場で一つの人気グループを形成する。メディア・ソフトという成長分野である。