湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

晴れた家、宮沢りえ

2006年06月30日 | 日常生活
昨晩、DVDレコーダーのHDDに貯まっているコンテンツの整理をした。ほとんどのものは削除し、いくつかのものはDVDに焼いた。録画時間が長すぎるためにDVDには焼けず、かといって削除もできなかったのが去年のツールの最終ステージ。ランス・アームストロングの引退レースであり、果敢なアタックで集団を分断したアレクサンドル・ヴィノクロフが劇的な勝利をあげたステージ(多分いままでで一番興奮したゴールシーン)。これだけは捨てきれずに、結局HDDに残しておくことにした。

そうした整理を行いながら、最近HDDに録画した『晴れた家』というドキュメンタリーフィルムを観た。これは『トニー滝谷』という映画のメイキングフィルムなのだけれども、これがとても良かった。



村上春樹原作、市川準監督、イッセー尾形、宮沢りえ主演のこの映画を僕は3回映画館に観に行った。最初の2回はひとりで観て、3回目は友人と観た。わざわざ東京の映画館に足を運んで。しんとしたとても静かな映画で、面白いとはとてもではないけれども言いがたい。でも何かがひっかかる。ただ、その何かがわからない。そういう感じの映画だった。

映画に限らず、そういう「ひっかかる」ものってあると思う。僕にとっては自転車なんかにもそういう部分がある気がする。

映画のなかでの宮沢りえもとても魅力的だったのだけれども、このメイキングフィルムのなかでの宮沢りえにもしびれた。彼女、歳をとるにつれて、どんどん深みのある良い女優になっている気がします。『たそがれ清兵衛』のときも素晴らしかったしなぁ。もっとも、宮沢りえ出演の映画をそんなに観ていない僕が言うのも何ですけれどもね。


重い体も、走りはじめさえすれば

2006年06月29日 | 自転車生活
今日は早起きできたらLEMONDかランドナーでヤビツ、早起きできなかったらLEMONDで観音崎を走ろうと考えていた。

朝は一応5時頃起きたのだけれども、全然頭がすっきりしなくてそのまま二度寝。そのあと7時頃に起きたときは頭はすっきりしていたのだけれども、体のほうがいまひとつ。でもって、どうしようかな?と考えているうちにタイミングを失い、結局朝走るほうの計画は消失した。

そんなわけで今日は夕方から観音崎に向かったのだけれども、その前に少しだけ青ポタ車を走らせて手広の交差点近くににあるうな槁というお店にランチを食べに行った。このお店はかまくら楽食日記というサイトで知ったのだけれども、定食のメインがしっかりしているうえに何種類もの小鉢が付いて、さらにご飯とお味噌汁はお代わり自由で、食後にはコーヒーまで出してくれるという良心的なお店である。

今日僕が食べたのはイワシとイカのミックスフライ定食。




ボリュームのあるメインのフライ以外にこれだけ小鉢がついてお値段は800円である。交通の便が悪い場所にあるとはいえ、これだけの内容でこのお値段はかなりお得だと思う。

さて肝心の自転車のほうだけれども、実は夕方が近づいてもかなり腰が重かった。今日も相変わらず蒸し蒸しして暑かったからだ。ようやく腰をあげたのは16時。とりあえず、今日も観音崎を目指して走り出した。

いつもは葉山~池上十字路~馬堀海岸というルートで走るのだけれども、今日は材木座から名越のトンネルを越えて逗子の市街地を通って横須賀経由で走ってみた。いつも同じルートばかりというのも何かなぁと思ったので。


臨海公園。後に見えるのは潜水艦。

そして今日はのんびりというわけではないのだけれども、終始力を抜いて楽に走った。でもそのせいか、走る前は少し体がだるかったのに、走り始めてみればとても気持ち良く走ることができた。

観音崎ではいつものボードウォークに立ち寄り、


海を少しだけ眺めて、また走り出したのが18時少し前。


帰りは久里浜から池上十字路に抜けようと思ったのに、道を間違えて16号の大津付近に戻ってしまった。仕方ないのでそこからいつもと逆コースで池上十字路に戻り、葉山~鎌倉~江ノ島と帰ってきた。江ノ島にはなんとか暗くなるぎりぎりの19時20分くらいに帰ってくることができた。

走行距離約70km、走行時間ほぼ3時間のLEMONDにしてはゆっくりめのライドだったけれども、今日の僕にとってはこれくらいがちょうど良かった。夏が終わるまではこんな感じの走りが多くなるかもしれない。

明日のために

2006年06月28日 | 日常生活
明日のためにスポーツドリンクを買ってきた。

土曜日の三浦半島で熱中症になりかけてからいまひとつ芳しくなかった体調が、ようやく復調してきた。明日は休み、そして天気も良さそうだ。まだ暑さに慣れないこの時期、長い距離を走る気はあまり起きないけれども、朝か夕方にどこか走りに行けたらと思っている。

日中ではない涼しい時間帯に走るといっても、三浦でのこともあるので、これからのは、ボトルのなかにスポーツドリンクを詰めていくつもり。熱中症はほんと恐いから。

ところで去年から僕は、ボトルの半分量だけスポーツドリンクを入れて、残りの半分量は水を足すようにしている。サイクリング中であればペットボトル症候群の心配はないのかもしれないけれども、市販のスポーツドリンクは確かに甘すぎるので。そしてスポーツドリンクを水で薄めたかわりに、ごく少量の塩を足すようにしている。これが果たして良いことなのかはわからないけれども、とりあえず購入したスポーツドリンクは倍持つわけだから自分では結構得した気でいたりする。

さて明日はどこを走ろう?あまり手持ちのコースがないのが辛いところだ。スポーツドリンクなんて買ってくる前にどこを走るか決めておくことのほうが大事だったかも、といまふと思った。


スペース

2006年06月27日 | 日常生活
以前にも書いたけれども今月末でケーブルテレビを解約することにした。

これからは部屋で自転車レースが観れなくなる。実家での観戦は可能だけれども、それでも確実に以前より観戦の頻度は減るだろう。ランスが去ってはじめてのツールが手軽に見れなくなるのは残念だけれども、どこか少しホッとしたりもしている。何もかもが手元にあって、何もかもが簡単に追い求めることのできる生活が良いというわけではない。自転車レース観戦に費やす膨大な時間の背後に置き去りにされたものだって当然あるわけで、これからはそういったものを大切にしていきたい。

膨大な時間といえば、ネットに費やす時間だって馬鹿にならない。もちろん自転車レースの観戦時間ほどは長くないけれども、ついついパソコンに向かって無用に時間を浪費していたりする。こちらも潔く解約!といきたいところだけれども、ネット環境がなくなるのは現実的にあまりに不便なので、こちらは自分の意志の力に頼ることにしよう。

身の回りのことをスリム化してシンプルにすることはそれ自体悪くないことだと思う。でもそれよりも大切なことは新しくできたスペースに何をもってくるかだ。そのスペースのある部分については考えていることがある。でも他の部分に関しては自由な空間にしておこうかなと思っている。サッカーにおけるスペースのように、だらだらしたものではなく、常に何かを受け取ることができるような自由で積極的なスペース。そういうものもいまの僕には大切なような気がする。まったく、自転車とは関係のないことだけど。

めり込む

2006年06月26日 | 日常生活
思いのほか体を冷やしてしまった雨中走行など、その他もろもろですっかり疲れ果てた月曜日の夜。夕飯のあとに風邪薬を呑んで、小さな音でCDをかけながらしばらくずっとベッドに体を横たえていた。熱を持って重みを増した体がマットレスに沈んでいく感触が、まるで水面に浮かんでいるかのように気持ち良かったのだけど、このまま翌日を迎えたらそのまま人型にマットレスにめり込んでしまうのではないかと不安になり、ようやく23時頃に体を起こした。。。

のだけれども、結局疲れからくる睡魔には勝てず、すぐにベッドに戻り、今度は何の躊躇いもなくどんどんマットレスにめり込んでいったのだった。

オラ、オラ!と自分にたいして言ってみる

2006年06月25日 | 日常生活
久し振りにポール・マッカートニーのタッグ・オブ・ウォーを引っ張りだして、朝から繰り返し聴いていた。で、いまはドアーズのハートに火をつけてがかかっている。疲弊した胃と体にポールの声はとても優しく感じた。ジム・モリソンは・・・、よくわかりません。疲れた胃と体に「オラ、オラ!」と切実なものを突きつけてくるといった感じだろうか?

昨晩は過酷な地域での7年間にわたる在外勤務を終えた友人と、帰国おめでとう!の祝杯をあげた。日本とまったく文化や気候の異なる地域での勤務は、人によっては肉体だけでなく精神までもがやられたりするようだから、実際相当大変だったのだろうと思う。その友人はわりにのほほんとして見えるので、そういった大変さがいまひとつ伝わってこなかったりもするのだけれども。

最近僕は顕著にお酒に弱くなってきているので、昨晩はジョッキで2杯ビールを呑むにとどめておいた。けれども、それでも帰りの電車のなかではかなりグッタリとしてしまったし、いまもかなり胃がむかむかしている。まぁ昨日の場合はすでに三浦半島一周で相当疲れてしまっていたので仕方ないのかもしれないけれども。

帰りがけに立ち寄ったカフェで友人からサプライズなことを聞かされた。その話を聞きながら、僕ももっとしっかりしなくちゃいけないなとあらためて思ったりしたのだった。

三浦半島一周で熱中症になりかける

2006年06月24日 | 自転車生活
梅雨の最中の土曜日にこの天気。胸を躍らせてルンルン気分(死語?)で走りに出かけた人もきっと多かったと思いますが、皆さん熱中症にはかかりませんでしたか?僕は途中からかなりバテて、最後はほとんど熱中症一歩手前という感じになってしまいました。アパートの門を開けて、こんなにほっとしたことはありませんでした。意識消失とか痙攣発作とかを起こさなくて本当に良かった(以前サイクリング中にそういう人を見かけて救急車を呼んだことがあるのです)。

今朝は空を眺めて「しくじった」とちょっと思った。こんなに良い天気ならもっときちんと計画を練っておくべきだったと少し思ったのだ。今日は夜は予定が入っているけれども、仕事は休みなので普段あまり走れない場所も輪行の術をつかって走れるチャンスだったのに。でもまぁ、今更そんなことを言ってもしょうがない。正直今日は体も疲れ気味だし、ランドナーで観音崎にでも行ってビールを呑みながらのんびりしよう、そう思って8時半頃に部屋を出た。

江ノ島からは観音崎までは、いつものように葉山から池上十字路を通って馬堀海岸に抜けるルートを走る。今日はかなり潮がひいているようで、磯場や潮だまりで遊ぶ人をたくさん見かけた。


馬堀海岸近くの潮だまりで遊ぶ人々

そして今日はかなり湿度が高いようで、海の近くではかなり潮の気配が濃厚だった。体もむしむしするし、自転車にも良くなさそうだ。でもまぁせっかくツーリングに来たのだしとビールを買って、観音崎のボードウォークに入っていく。そして適当なベンチのところに自転車をとめる。



ここでビール(発泡酒だけど)と本と池上十字路近くの肉屋で買った横須賀コロッケをフロントバッグから出して、しばし休憩。


しばらく本の続きを読んで、それから少しベンチで横になった。


ベンチから眺める観音崎

観音崎からそのまま江ノ島に戻っても良かったのだけれども、せっかくなので休憩後ももう少し三浦半島を走っていくことにした。暑さのせいでアルコールの酔いはほとんどないけれども、走りはじめると少しだけ心拍が高くなったような気がした。

浦賀のあたりを走り、

渡し舟には乗ってないですよ。いつか乗ってみたいけど

久里浜のあたりを走り、

冬になったら久し振りに房総にも行ってみようと思う

剣崎の灯台を目指したつもりが、下り過ぎて海岸に出てしまった。


ここから下ってきた道をもう一度上り、剣崎の灯台へ。

剣崎へ来るのははじめてです。

灯台からは意味もなくあえてこんな道に入り込んだりしつつ江ノ島を目指す。

剣崎への歩道のすぐ脇の道で、実は10mくらいの距離しかありません。

でもって、剣崎を過ぎたあたりからアップダウンがきつくなったこともあって、少しずつ体が疲労を感じはじめる。まだ大丈夫だけれども、余計な寄り道をしちゃったなぁといったちょっとした後悔のようなものが頭をよぎったりもした。三浦半島って神奈川のサイクリストにとっては欠かすことのできないコースだけれども、実は結構ハードなコースだと僕は思うんですが。。。


すっかり三浦半島の名物になった感もある風力発電の風車

とそんなことを思っていたにもかかわらず、城ヶ島がすぐ近くだったので結局城ヶ島にも寄ってしまった。今日は久々に公園のほうにあがっていってみたのだけれども、こちらは土産物屋などもなくてなかなか良い感じだった。

苔の洞門に向かう遊歩道より。洞門には結局行きませんでした。

さて城ヶ島からは素直に、というかちょっと急ぎ気味に江ノ島に引き返す。部屋を出る前にパン焼き器をセットしてきたのだけれども、のんびりし過ぎて焼きあがる時間を確実にオーバーしそうなのだ。


公園からの道。ここでもアジサイがきれいに咲いていた。

いままでのんびりと歌を歌ったりしながら走ってきたけれども(サビの部分で声をはりあげた瞬間にレーサーに抜かれたり・・・)、そんな事情もあってここからは少しスピードをあげる。そして写真を撮ることもなくただ走り続ける。

そんなふうに走っていたら、だんだん息と脈が速くなり、気持ち悪くなってきた。走るスピードをあげたからかなと最初は思っていたのだけれども、だんだんときつさと気持ち悪さが加速していくにつれて、これはもしかしたら熱中症になりかけているのではないかと心配になってきた。今日はかなり蒸しているにもかかわらず、僕はスポーツドリンクのようなものはまったく補給していない。水はきちんと飲んでいるけれども、夏場は普通の水だけではまずいということは充分承知している。でもこの時期に熱中症になるか?

そんなことを考えながら走っていたら、今日は道端に自転車をとめてジュースを買っていたり、横になって休んでいるサイクリストが普段より目立ったことを思い出した。僕は天気が良いからのんびり休んでいるのだろう程度にしか思わなかったけれども、実は彼らも相当グッタリきていたのかもしれない。

それからもしばらく走り続けたのだけれども、葉山のあたりで「これ以上はまずいかも」と思って、ようやく自販機でアクエリアスのペットボトルを買った。それで幾分楽になったから、やはり体は電解質のようなものを欲していたのだろう。

でもそれまで無理して走ってきたからか、それで体調がすぐに良くなったわけではなかった。鎌倉あたりでやはりまたきつくなってきて、今度は残っていたアクエリアスを一気に飲み干した。それでようやく江ノ島まで帰ってきた。あぁ~、無事にたどりついてよかった。

今日はこんな感じでちょっと危なかったのだけれども、すでに熱中症に注意しなくてはならない季節になっているのだということがわかって良かった。これからは長い時間走るときは、ボトルの中身もスポーツドリンクに変えたほうがいいかもしれない。

部屋に戻ってからはすぐにシャワー浴びて休みたかったのだけれども、バケツに水を張ってスポンジをつかって大雑把にだけれども自転車の塩気を落とした。さすがにこれは今日のうちにやっておかないと、と思ったのだ。

で、いまはようやくシャワーを浴びて、焼きたてのパンを食べて一息ついたところ。これから東京に出て美味しいものを食べてくるつもり。今日はあまり呑み過ぎないように気をつけようと思う。

ホタル

2006年06月23日 | 自転車生活


いままで蛍を見てきた。本当に蛍に出会うことができるのだろうかと少し疑ってもいたのだけれども、闇が濃くなるにつれて、そこかしこでふわふわと舞う蛍の小さな光を見ることができた。

今日は蛍を見に行く前に、まず腹ごしらえのために関内に向かった。なぜ関内かというと、えっと、なんとなく二郎のラーメンを食べたくなってしまったからだ。つい先日僕は二郎に「さよなら」をしたばかりなのだけれども、う~ん、やはり駄目ですね。結局また食べたくなってしまった。まぁあのエントリーだって本気というより、かなり適当な気持ちを書いたものだったしなぁ(と開き直る)。まぁこういうこともあまり窮屈になっちゃいけませんよね。


相変わらずの人気ぶりな関内二郎


小ラーメン。今日は結構楽に食べることができた。でも、またしばらくは食べなくてもいいかな。

で、久し振りの二郎のラーメンを食べ終えて、今度は横浜市栄区にある瀬上市民の森に向かった。


森へはこんな感じの道を走っていく。ダートだけれども、路面はかなりしまっており、少し注意すればレーサーでも問題なく走っていける。写真はフラッシュのせいで暗さばかりが強調されているけれども、時間はまだ19時くらいなので実際はまだここまでは暗くない。

そしてダートの道の終点近くにある休憩所のようなところに自転車をとめて、途中のコンビニで買っておいたビールと図書館で借りてきた「自転車で痩せた人」という本をディパックから出す。そしてビールを呑みながらLEDの光で本を読みつつ、闇がさらに濃くなるのを待つ。


ところで、二郎の行列に並んでいるときもこの「自転車で痩せた人(高千穂遥著)」を読んでいたのだけれども、これがとても面白くてかなり前のめりになってしまった。おかげで30分弱の待ち時間も全然気にならずにすんだ。

これは本のタイトル通り、自転車で痩せた著者が自転車の素晴らしさを伝える本なのだけれども、以前から日常的に自転車に乗っている僕なんかからすると、「そうだろ」とか「そうなんだよ」とか「だから言っただろ(実際は言っていないけど)」とついつい顔をほころばせながら相槌を打ちたくなるくらい自転車の効用や楽しさを肯定してくれるので読んでいてとても気持ち良い(もっともこの本では僕の好きなランドナーなどについては「理解不能」といったような扱われ方がしているけれども、それはそれでひとつの考え方だし、それによって本の面白さが損なわれたりはしてないと思う)。

逆に言えば、自転車をこれからはじめようとしている人にとっては、「そうなんだ」「そんなに素晴らしいんだ」「よし、ではわたしも明日からはじめてみよう」となるのではないかと思う(多分・・・)。

もっともほとんどの方にとっては、この著者のように“深い考えもなしになんとなく”神金自転車商会(老舗の高級自転車屋さん)でペガサスのスポルティーフをオーダーしておきながら、「これは私の望むところの自転車ではなかった」と言ってあっさりとTREK5500というランス・アームストロングの乗るような自転車を買うなんてことはとてもできないだろうけれども、そういうところを無視さえすればほんとになかなか面白くまたモチベーションのあがる本だと思う(まだ途中までしか読んでいないけど)。興味のある方は是非とも読んでみてください。

さてちょっと話が少し逸れたけど、ビールを呑みながら歯切れの良い著者の文章を読んでいるうちに、だいぶ闇も濃くなってきた。そして暗いなかで本を読むのに疲れて顔をあげると、沢を覆うようにして生えている木々のあいまでいくつかの小さな光が飛び交っていた。



それは以前三国峠の頂上でみた大乱舞とは全然違うささやかなものだったけれども、久し振りにみた蛍の光はやはりとても幻想的で情緒的だった。そして闇が濃くなるにつれて、小さな光は少しずつ増えていった。最初はほんのちょっと蛍を見たらすぐに帰ろうと思っていたのだけれども、結局僕はそんな光を、闇の中で目が痛くなるまで熱心に追い続けた。




江ノ島までの帰り道、昔の日本の自然というのは本当に素晴らしかったんだろうなと思ったりした。水辺の至るところで蛍が飛び交う様子を想像しながら、今度はもう少し自然の濃い場所で、もう少し自然な形で蛍を見ることができたらいいなと思ったりした。

あまり窮屈になることなく

2006年06月22日 | 自転車生活
ここ数ヶ月、「もっとのんびりと走りたい」という気持ちと、「もっと速く走れるようになりたい」という二つの気持ちのバランスが自分のなかでうまくとれていなかったような気がする。自転車は本来自由な乗り物なのだから、のんびり走りたいときはのんびり走る、速く走りたいときは頑張って速く走れば良いのだけれども、なかなかそれがうまくできていなかった。

これにはブログをはじめたことが幾分影響しているような気もする。ブログにアップするのだからあんまりちんたらした記録ではみっともないかな、などというちっぽけで格好悪い虚栄心のようなものは確実にあったと思う。そしてそのせいで、本来自由な自転車の楽しみを少し窮屈なものにしてしまっていたような気がする。

ブログをはじめた翌日、僕は張り切って久し振りにヤビツ峠に向かった。最近はあまり走っていなかったけれども、せっかく自転車のブログを始めたことだしこれからは頑張って走るぞぉ~とちょっぴり意気込んだのだ。でその結果、そのときの自分の体力に見合わない走り方をしてグッタリと疲れきってしまい、ブログをはじめた翌日には「果たして僕は自転車が好きなのだろうか・・・」とつぶやくことになってしまった。で、その翌日にはAVSの呪縛から逃れてもう少し余裕のあるサイクリングを心掛けないといけないよなぁと反省したりしているのである。

あれから3ヶ月半が過ぎて、ようやくそういう窮屈さから解放されて、その時々の自分の素直な気持ちに従って自転車に乗ることができるようなってきた気がする。これからも僕は自転車に乗り続けるつもりだけれども、あまり窮屈になることなく、そしてあまり張り切りすぎず(でも張り切るときは思い切り張り切って)、自然な感じで自転車を楽しんでいきたいなと思っている。

新しいヤビツコース

2006年06月21日 | 自転車生活
昨日は少し早起きしてLEMONDのレーサーに乗ってヤビツに向かった。

気持ち向かい風のなかマイペースで名古木まで走り、名古木からはいつものようにストップウォッチでタイムを計って峠まで走る。名古木の交差点でアミノバイタル・ゼリーをじゅるじゅるとすすりながら2~3分休み、それから停止した状態でストップウォッチのスタートボタンを押して走りだした。

ここ最近心掛けていることなのだけれども、峠まではなるべくこまめにギアチェンジをしながら走る。蓑毛のバス停までに現れる平地や下りでは面倒だけれどもきちんとアウターにも入れる。そうやって、なるべく一定の呼吸で走れるようにする。

えっ、ここってこんなに勾配あったっけ?と感じた菜の花台の手前をなんとかやり過ごして、10kmを越えたあたりの緩斜面から少しずつ強度をあげていく。昨日は少し勾配がきつくなるとすぐに速度ががくんと落ちてしまったのだけれども、それでも緩斜面では20kmくらいのスピードで走ることができた。以前はこのあたりではすでにエネルギー切れで、頑張りたくても頑張れない状態になることが多かったのでやはり少しずつ体力もついてきているようだ。

で、結局峠までのタイムは40分43秒。


看板手前の舗装の切れ目が僕がストップウォッチを止めるところ。一般的には看板前が終点なのかもしれないけれども、タイム計測は個人的な楽しみのためなのでまぁいいかなと。峠の看板がちょうど坂の頂上にあるといいんですけどね。

前回の自己ベストには20秒及ばず。今回もまたベストを更新できたらなぁとちょっと期待していたので少し残念。ただタイムのブレは少なくなってきているようなので、それは素直に嬉しい。いままでは苦しめられることのほうが圧倒的に多かったのだけれども、少しずつヤビツも僕のことを受け入れてくれるようになってきたのかな?あまり焦らず、年内に目標の40分切りを達成できたら嬉しいな。


そんなに時間に余裕があったわけではないけれども、峠からは宮ヶ瀬方面に下る。護摩屋敷の水場でボトルの水を補給して、そこから菩提峠と表丹沢林道に寄って行こうかなと思ったのだ。今までは時間のないときは峠と江ノ島の往復のみということも少なくなかったのだけれども、これだけだと峠を上る楽しさや充実感は感じることができても、正直サイクリングを楽しんでいるという気にはあまりなれなかったんですよね。でも先日ランドナーで菩提峠を走ったときに、ヤビツとこれだけ距離が近いのであればレーサーで来たときもちょっと寄り道するだけで、ツーリング気分を味わえるかなと思ったのです。


峠からは宮ヶ瀬方面へ下る


誰もいない護摩屋敷の水場。こんなのはじめて。なんで?

護摩屋敷の水場からはほんの10mくらいだけ戻って菩提峠方面へ上っていく。で、この上りが想像以上にきつかった。たいした距離ではないとわかっているからいいけど、これが延々と続いたら本当に大変だろうなぁ。結局菩提峠へはどっち側から上ってもきついってことですね。表丹沢林道側からの上りは多分これ以上の急勾配だったから。


その菩提峠からの下り。下に見える表丹沢林道に向かって急勾配の坂を恐る恐る下っていく。

菩提峠を下り、今度は表丹沢林道でヤビツ方面に戻る。落石などがあって少し注意が必要だけれども、車の入ってこない静かな山道。やはり僕はこういうところを走るのが好きなようだ。


短い距離だけれども、のんびりペースで丹沢の自然を楽しみながら走る。


そんなふうにゆったりした気分で表丹沢林道を走り、ヤビツへの道に抜ける。そこからはもういつも通りに名古木までのダウンヒルを楽しんで江ノ島まで帰るだけだ。

こんなふうに昨日は菩提峠と表丹沢林道に寄り道してみたわけだけれども、江ノ島に戻ってきてみれば単純にヤビツ峠を往復するより3.5km距離が増えただけだった。それでいて、これだけ楽しくなるのだからこれはお得だと思った。唐沢林道や半原越えを走る余裕のないときでも、これくらいなら何とかなりそうなのがありがたい。というわけで昨日はレーサーでヤビツを走るときの新たなコースを発見したなかなか嬉しい日でありました。