湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

2014年 秋の恵み

2014年11月23日 | LeMond
 しばらく近場での外遊びが続いていた。少し遠くへ出かけるときは、山歩きや沢歩きがほとんどになってしまっていた。そんなふうに自転車で長い距離を走ることからだいぶ遠ざかってしまっていた僕に、自転車仲間が声をかけてくれた。休みの都合でなかなか予定が合わなかったりもしたのだけれども、休みの日を伝えると、ありがたいことにちょうどその日に合わせて素晴らしいコースを走る企画をたててくれた。

 そんな経緯があっただけに、いまひとつな天気予報も気にならなかった。雨さえ降らなければいい。久し振りにみんなと走れるだけで充分だと思っていた。しかし当日が近づくにつれて少しずつ予報が好転し、当日は秋のサイクリングを楽しむには絶好の天気になった。みんなと走る楽しさだけでなく、久し振りに自転車から眺める風景もしっかり堪能できそうだ。なんてついているんだ。こういうときだ。きっとどこかにいるであろう自転車の神様の存在を感じるのは。





 朝の空気に包まれた134号沿いの風景を眺めながらのんびりペースで集合場所へ向かう。思えばLeMondで134号を西へ向かうことじたいが、もう2年以上ぶりだ。そう思うとペダルをまわすひと回転ひと回転がなんだか感慨深い。時間には充分余裕があるはずなので、何回か自転車から降りて、目の前に広がる朝の景色を眺めながら意識的に冷たくて気持ち良い空気を思い切り吸い込んだり、出走前にやらなかったストレッチをしたり、ぼんやりと海を見つめたりした。

 集合場所ではみんなに会うのがあまりに久し振り過ぎて若干緊張。でもその緊張もすぐにほぐれた。たまたま伊豆方面へ向かうぼく@ハヤマさんもいらしてご挨拶。良い1日になりそうだ。

 メインの林道へ向かう道。今まで一度も走ったことのない道ばかりで楽しい。まだ街中だけれども、少し横に目を向けると良い感じの畑が広がっていたりして嬉しくなる。早くから開店しているおすすめのお店で美味しいいなり寿司を購入し、少し先のコンビニで2人の仲間と合流してからいよいよ山へ。







 山へ続く道へ入ると、自然に自分の頬が緩むのがわかる。山に入っていく道なのだから当然道は上っているのだけれども、落ちた速度は周りの風景に目を向けるのにはちょうど良く、楽しく走ることができる。何度も走ったことがある道ですでに充分感動していたのだけれども、途中右に曲がって入った小道ではさらに大きな感動が。山間の斜面の畑のなかを走る細い道。自然のなかの大きな風景ではないけれど、自然と人を感じるとても素敵な小さな風景が広がっていた。



 自転車をとめてやや興奮気味に写真をとっていたら、斜面の上の畑で作業をしている、立派な大根を手に持ったご夫婦から「なんで、こんなところを撮っているの?」と声をかけられた。いやいや、とても素敵な場所なんですって。次来たときもぜひ走りたいと思った道だった。素晴らしいコースを教えてくれてありがとう!









 メインの林道。帰宅してから気づいたのだけれども、僕はこの林道を今ある5台の自転車すべてで走っている。最初がMTB、次がランドナー、ブリヂストン号、LeMond、そしてmerlin。アプローチ的には少し遠いのに、しっかり5台すべての自転車で走っているのは、このあたりでもっとも僕が思い描く自転車ツーリングの雰囲気を感じさせてくれる林道だからのような気がする。実際はじめて走ったとき、僕はこんな林道が神奈川にあったんだと思った。そして、その後何回走ってもやはりいつも同じように思うのだ。




お誘い、ありがとうございました!




photo by モリさん



 その林道を、素晴らしい秋の空の下、みんなと話しながら、笑いながらゆっくりと走る。色づいた山肌、秋の青空、その空から木々を通して差し込む光、そんなものにいちいち感激して何度も自転車を停めるのでなかなか前に進めない。でもこういうのが、一番好きな自転車の楽しみ方だなぁと感じていた。もっとも、ピークへ至る道は結構勾配もあり、朝比奈峠以外の峠は久し振りということもあり、とくに2つ目のピークでは結構なきつさも感じていたのだけれど。





 ただ2つ目のピークから広がる、はじめてのとき以来毎回感じる神奈川離れした大きな風景を眺めればいつもそこまでの疲れは吹っ飛んでしまうのだ。そして今回は嬉しいことに、その大きな風景を前に、コーヒーを楽しむことができたのだけれども、このコーヒーがこれまで飲んだコーヒーのなかで一番といっていいくらいにほんとうに美味しかった。これからは僕もたまには火器持参で淹れたてのコーヒーを優雅に、なんて思ったのだけれども、今回のような美味しいコーヒーを淹れる自信がない・・・。ほんと美味しいコーヒーをご馳走様でした!









 コーヒーの後はいよいよダウンヒル。少し気温が高めだったからか、くっきりとはいかなかったけれど富士山はまだしっかり僕らを待っていてくれた。湖畔では鮮やかなモミジ。地べたに座って食べたコンビニ飯もすごく美味しかった。そして少しずつ疲れが出はじめた帰り道も、密かに楽しみにしていた、どこを走っているのかさっぱりわからない「ちまちました道」のおかげで、距離をあまり感じることなく気づいたら国道1号に出てきてかなりびっくりすると同時に、とても嬉しく感じたのだった。

 終盤、久し振りのLeMondでの遠出ということで準備不足があり、反省もあったのだけれども、おかげさまで素晴らしい秋のサイクリングを楽しむことができた。ご一緒してくださった皆さん、ほんとうにありがとうございました!