直江津集合2010 1日目 笹子峠・大弛峠・馬越峠

 今年も走って来た。直江津まで。そして今年も日本海に沈む夕日を見て来た。

 今年で4回目となる「直江津集合!」。ことばには出来ないような衝動にかられてひとりで直江津を目指した2006年から数えると5回目の直江津。あれからもう5年がたとうとしているのか・・・。そう考えるとなんだかとても不思議な気がする。そしていくつかのやはりうまくことばにはしにくい感情が胸に渦巻く。



 今年は26日木曜日23時に滑川出走。本当は27日に日付がかわる0時きっかりに走りはじめようと思ったのだが、気持ちが静かに興奮気味だったのかうまく仮眠がとれず、1時間出発を早めることにした。

 鎌倉からはまずはR134で相模大橋を越えたところまで。そこからはR129~R413・412~R20と走る去年と同じコース。去年は気持ちの良い追い風に、セーブしつつもついついペダルを踏みすぎて相模湖あたりで疲弊してしまったので、今年は2006年にはじめて直江津を目指したときのように、序盤は本当に力を抜いてペダルをまわす。どうせあとから嫌でも力を振り絞らなくてならないのだから。体力気力を絞りとられるのだから。

 そんなふうに気をつけていたせいもあってか、津久井湖相模湖あたりの嫌らしいというか残念というかの上り基調のアップダウンも比較的楽にこなせた。そして仮眠できなかったわりには、たいした眠気を感じることなく順調に走ることができた。

 ただ気になることもないわけではなかった。サドルとサドル位置の違和感である。まだ全然馴染んでいないガチガチのブルックスの革サドルをせっかくだから馴染ませてしまおうと今回つけてきたのだけれども、ポジションの違和感がやはり気になってきてしまったのだ。サドルをもう少し後退させられれば良いのだけれども、これ以上後退させると重いサドルバッグをつけていることもあって、ギシギシときしみ音が出てきてしまうのだ。でも今更サドルを交換するわけにはいかないので、なるべく足に負担をかけないような走り方をするしかないな。使い慣れていないサドルを取り付けてきたのだから仕方ない。それなりに覚悟もしていたわけだし。



 省エネ走法を続けて、笹子峠の旧道には6時58分に到着。去年は分岐で笹子トンネルで楽をしたい衝動にかられたけれども、旧道の好ましい静かな雰囲気のなかを走ったほうが疲れが少ないということが去年わかったので(ホントか?)、今年は迷わず旧道に向かうことができた。



 笹子峠からは塩山に向かって下る。そして今年も大弛峠を目指す。

 ところで、大弛峠を自走で越えるという発想は、一昨年までは心のどんな片隅にも、どんな奥底にもこれっぽっちもなかった。学生時代に大弛峠には3回行っているけれども、すべてが輪行だった。標高差の少ない長野側の信濃川上駅から走りはじめて、峠でテントを張って1泊、そして金峰山や国師岳、北奥千丈岳などの山歩きを楽しんで塩山まで下るという2日で80kmくらいのツーリングだった。もっともそうは言っても当時の大弛峠は長野県側だけでなく、山梨県側も金峰牧場まで未舗装だったし、キャンプ道具を積んでの走行と山歩きを含めればそんなに楽なツーリングではなかったけれども、とにかく標高差が2000m近い山梨側から上るなんて絶対に嫌だったし、自走なんて本当にこれっぽっちも考えることはなかった。

 だから2年前にこちらの合宿で自走で大弛峠を越えようとしているという話を聞いたときは耳を疑った。それも笹子峠の旧道を越えたあとに大弛峠を目指すという。結局、崖崩れか何かで通行止めになっていたせいで笹子峠ではなく笹子トンネルを通ったのだけれども、そのかわりに塩山からは太良峠~水ヶ森林道経由で大弛峠まで走ることになった。そして何度も挫けそうになりながらも、なんとか大弛峠を越えて目的地である廻り目平のキャンプにたどり着くことができた。とてもきつく、とても苦しかったけれども、これは僕にとって確かにひとつの自信になったのだと思う。そしてそのときになんとなく思ったのが、「大弛峠を越えて日本海を目指すことができるかもしれない」ということだった。

 そのときに感じた気持ちを僕は翌年試すことになる。期待よりも全然大きな不安を抱えて鎌倉を走り出した。出走時にSNSに書き込みをしなくてはならなかったのだけれども、本当に日本海にたどり着ける自信がなかったので、決して出し惜しみをしたわけではなく、いや少しは出し惜しみもあったけれども、大弛峠を越えるまではどうしても書き込みができなかった。

 自転車での苦しさというのは、結局のところ日常や人生の苦しさやつらさと比較すれば本当にちっぽけなものなのだろう。1年たてば忘れるとまでは言わないにしろ、勝手に美化されたり歪曲されたりしてしまうものなのだろう。

 というわけで、今年も大弛峠を向かったのである。去年はどこで朝飯を食べるか、どこが最後の補給地点なのかなどと不安を感じながら塩山市街をふらふらしたりしたのだけれども、今年はそういった心配はなかったのでとりあえずスムーズに大弛峠を目指すことができた。もっとも、コンビニ前での朝食時に100%のオレンジジュースを1リットル飲み干してしまったのは大失敗であったが。こみ上げる酸味、そしてそれを和らげるために必要以上に繰り返される水分補給。腹はとっくにたぽたぽなのに水を飲むことがやめられないのだ。



 そんな状態だったので、乙女湖を越えて登場したこの水場は本当にありがたかった。ちなみに塩山からここまでの1200m近い上りはあまりにきつ過ぎだ。とりたてて景色が楽しめるわけではない、太陽が照りつける勾配のきつい南側の斜面。休憩はするのだけれども写真をとる余裕はなく、一桁当たり前の巡航スピードで無言で上った。



 しかし標高が高くなるにつれて、少しずつ空気が涼しく、そして勾配も穏やかになり、景色も柔らかく優しいものにかわっていく。



 そうなると当然気持ち的にも余裕がでてくる。



 がしかし、峠まで残り5km、標高2100mあたりでいきなりアスファルトを叩きつける激しい雨。正直この写真をとったときはすぐにやむと思ったのだけれども、雨はさらに勢いをまし、この場所でずぶ濡れになって45分以上も雨宿りをすることになってしまった。今回はペラペラのウィンドブレーカーしか用意してこなかったので、この容赦なく雨の打ちつける雨宿りになっていない雨宿りは本当にきつかった。しゃがみこんで身を縮めてぶるぶる震えていたのだが、そうしていたら左足が攣りそうになる。まずいと思って左足の位置をかえて力を抜こうとすると今度は右足がピクピクする。仕方なく立ち上がって屈伸やマッサージをすると、今度は上半身が寒さでがくがく震えだす。少し待てば絶対にこの雨はやむはずだ、それに猛暑でみんなが苦しんでいるときにこんな涼しい場所にいる自分はとても幸福なんだと自分を励ましたり、慰めたりしようと試みるのだが、残念ながらほとんど役にはたたなかった。

 ようやく雨が小降りになったあとは、体を温めるために軽いギアをくるくる高回転でまわして峠を目指した。



 そしてようやく到着した到着した2360mの大弛峠。ぎづがっだ。。。

 ホントは大弛小屋でコーヒーなりカップラーメンなり体を温めるものをお腹に入れたかったけれども、曇を見ると雨の心配はいまだありそうだったので、早く標高の低い場所へ移動したほうがいいと少しの休憩ののち長野側へ下りはじめた。



 わかってはいたことだけれども、大弛峠の長野県側の下りは第一級といっていいくらいのガレガレのダートなので、1.5インチのスリックタイヤでは一桁のスピードでしか下れない。こんな天気だからこそパンクは絶対に避けたかったのでかなり慎重に下った。



 しかしこの写真の場所から少し下った標高1850mくらいの場所でまたしても土砂降りに。たまらず山側の木の茂った斜面に避難した。ここはさっきよりはかなりまともで、木の下にしては充分くらいに雨粒を避けることができた。もちろん完全には避けられるわけではないけれども、体がずぶ濡れびしょびしょになるということはなかった。ただジャージやレーパンは濡れたままだったので、やはり寒さがきつかった。それから車がまったく通らないので、少し心細かった。このまま雨がやまなかったらまずいなと思った。そのときは自転車押してでも廻り目平まで下って、金峰山荘で泊まるしかないなと思った。幸い今まで5回も通っている大弛峠だからまだましだけれど、これがはじめての山深い場所だったら相当不安に感じるだろうななどと、羊羹などを補給しながらぼんやりと思った。

 30分ほど待って雨が小降りになったので、心を決めてまた下りはじめた。待っていても誰が助けてくれるというわけではないのだ。跳ね上げられた泥や砂でサングラスの視界がどんどん悪くなっていく。とても路面が見づらい。それでもパンクだけはしたくないので、慎重に注意深く下る。



 そしてようやく舗装路へ。この舗装路もしばらくはえぐれていたり、陥没していたり、グレーチングがすっぽりなかったりといった場所がいくつかあるので油断はできないのだけれども、舗装路に出て相当気持ちがほっとしたのは事実だ。ふぅ。

 大きな農道に出たあと、畑から流れ出した泥水を跳ね上げながら信濃川上の県道に出て、サングラスを外した瞬間に冗談抜きで世界がぐらぐらと揺れた。たまらず歩道にへたりこんだ。冬からめまいが発症しやすくなっているということもあるのだろうけれども、視界の悪いサングラス越しに荒れた路面状況を把握しようと、変なふうに目を使い続けたからだろう思った。今年は去年越えられなかった馬越峠を上りたかったのだけれども、この時点ですっかり心が折れて、馬越峠へ向かうのはきっぱりと諦めた。というより、馬越峠がどうこうというより、信濃川上駅でDNFしたいくらいだ。



 でも、なぜか40分後の自分は馬越峠に向かっていた・・・。歩道でぐったりしてたらめまいがおさまったのだ。汚れたサングラスをタオルで拭いて(タオルしかなかったのだ)かけてみたらとりあえず問題なさそう。



 そして亀のようなといったら亀に失礼ではないかと思われるような歩みでようやく標高1640mの馬越峠に到着。あぁあとはここからは佐久平の健康ランドまでほとんど下りだぁとホッとしたのも束の間。馬越峠からの下りでまたしても雨に降られたのだった。南相木村の床屋さんの軒下でしばらく雨宿りをさせてもらいながら、携帯でここらの天気予報を確認するとこの雨はどうやらにわか雨ではなく、明日明け方まではやまないようだ。普段は雨だとまず自転車に乗らない僕は、自覚はしていたけれども雨などものともしないブルベライダーに代表とされるような人たちと比べて、脆弱でありタフさがないのだ。というわけで、またしても意気消沈したのだけれども、ここでずっと雨宿りをしていても状況がかわるわけではないので、とりあえず小海駅まではと思って「えいや!」と走り出した。だいたいすでに全身ずぶ濡れなのだ。

 1.5インチのスリックタイヤは笑ってしまうくらいに路面の水を跳ね上げる。実際にへらへら笑っていたなんてことはあり得ないのだけれども、口のなかは砂でジャリジャリだ。放心状態で口が半開きになっていたのだろうか?小海駅が近づいてきたら雨はまだ降っていたけれども、ありがたいことに小振りな雨のなかに太陽の光が差し込んできた。そして今日の目的地である佐久平方面には青空すら広がりはじめていた。

 そのまま小海駅を過ぎ、R141を北上しているあいだに雨はやんだ。それでもしばらくはウィンドブレーカーを着て走り続けた。そして風で乾いたことを確認してからウィンドブレーカーを脱いだ。そのあとは意識してもどうにもならないのだけれども、ジャージとレーパンが乾くよう意識して走り続けた。雨が気になっていた革サドルはもうとっくに諦めていた。

 そして18時30分少し過ぎに去年も泊まった佐久平の健康ランドによーやく到着した。本当はもう少し早く着いてのんびりしたかったのだけれども、いろいろ予定外の休憩というか停滞があったので仕方ない。まぁそういうのも含めてがサイクルツーリングなのだ。ま、でも普段は雨中走行は嫌ですけどね。。。

 健康ランドに入る前にガストで夕食を食べた。本当は違うお店で食べたかったのだけれども、ガストが一番近かったのだ。隣の夢庵のほうがまだ良かったのだけれども、シューズを脱ぐ勇気がなかった。ずわんねん。

 健康ランドでは風呂に入る前に、古新聞をもらってソールとシューズの水気とりの準備をした。面倒だけれどもこれをやっておこないと、明日そして今後大変なことになると思われたから。そしてその後靴下を洗って、やはり古新聞で包んでからようやく入浴。いやいや、ホント疲れた1日だった。でも無事ここまで走ってこれて良かった。

 ただ、来年からはもう大弛峠を越えて直江津に向かうことはあり得ないと思う。山梨側から上って長野側に下るのはあまりに労多くして益が少ない気がする。太いタイヤを履いて、少ない装備で走れば楽しめるとは思うけれども、細いタイヤで日本海に向かう途中で通るのは2回も走ればもう充分だと思った。これは本当に心からそう思った。来年は違うコースを考えて、MTB以外の自転車で走ろうと心に決めたのだった。

 1日目の走行距離245.12km
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直江津集合2010 2日目 車坂峠・湯の丸高峰林道



 8月28日土曜日。4時少し過ぎに目覚める。もう少し寝たいところだけれども、二度寝したら今日中に直江津に着くのは無理だろうと、眠気覚ましにさっと朝湯に浸かって、5時前に健康ランドを出発をした。

 健康ランドを向かってまず向かったのが400mほどのところにあるすき家。今日もたくさん上るのでしっかり食べておかないとね。

 さて今日のひとつ目の峠は車坂峠。小諸からすぐに10%くらいの厳しい上り坂がはじまるので、おそらくここが最後の自販機という場所でたまらず休憩。ものすごおく炭酸が飲みたかったのだ。しかしせっかく止まったというのに、昨日の雨のせいで紙幣が濡れていてどうしても自販機が受け付けてくれない。小銭がなかったので何度もチャレンジしたのだけれども、5分近く奮闘するも結局受け付けられずかなりがっくりしてまた自転車にまたがった。



 車坂峠は休憩をとりづらい峠だ。9%くらいの坂が淡々と続く。そして周りの森は美しくはあるのだけれども単調な雰囲気だ。だからついついこちらも淡々と上ることになってしまう。
 


 カーブ毎に小諸にゆかりのある文人たちの歌や句や詩を掘った石碑があるのだけれども、毎回停まって楽しむ心の余裕はさすがになかった。でも登坂スピードがあまりに遅いので、停まらなくても結構読めちゃったりしたのが嬉しかった。いや悲しかった。



 標高1750mを越えたあたりからようやく景色が開けだす。あと少し!



 2091mの高峰山が近い。そして近すぎてでかい。



 小諸の街より雲湧き上がる。



 そして1973mの車坂峠に7時47分に到着。前日の大弛峠ほどではないけれども、やはり疲れた~

 車坂峠に着くとレストハウス前の自販機に直行。しかしまたしても紙幣が濡れていて使えない。両替してもらおうとレストハウスに向かうも営業時間外で「すみませ~ん」と叫んでも誰も出てこない。でもどうしても諦めきれずに、うちわで扇ぐように何分間か紙幣をひらひらさせて乾燥させ、ようやく自販機でコーラを買うことができたのだった。そしてこのコーラは多分今までで飲んだなかで一番うまいコーラだったと思う。喉を通る感触が本当にたまらなかった。



 車坂峠からはお楽しみの湯の丸高峰林道で標高2040mの池の平へ。このダートは本当に走りやすく、快適な楽しい道だった。こういう走りやすくて景色の良いダートを走るのは不思議なことに上りでも全然疲れないのだ。それまで疲れていても、突然元気になったりするものなのだ。 













 雰囲気の良い2000m級の林道を30分しっかり楽しんで池の平に到着。ちなみに看板にあるコマクサ峠というのは、正式な名称ではないと思われる。以前はそんな名前はついていなかった。便宜的な、おせっかいかつ安易な命名といった気配をぷんぷん感じるのは僕が素直ではないからだろうか?



 遠くから池の平湿原を望む。このあたりは山歩き、それから山スキーでまた来たいところである。



 池の平から地蔵峠への道は19年前は小砂利の多かったダートだったのだが、今はすっかりきれいに舗装されている。そして地蔵峠からはR144の鳥居峠からの長野街道へと豪快爽快な下り。もちろんきちんと舗装もされているし、路面も乾いている。空も晴れている。ようやくダウンヒルが楽しめた。


 
 R141からは今走って来た2000m級の稜線とその周りの山々を眺めながら、草津に向かう県道との分岐までまたしてもゆるやかなダウンヒル。快適だぁ~



 そして万座鹿沢口駅近くの分岐から県道59号に入ってからは、時折あらわれるこんな景色を眺めながらゆっくり標高を稼いで行く。



 草津まであと少し。待ってろ、渋峠。頑張れ、自分。はぁ、はぁ。
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直江津集合2010 2日目 渋峠から日本海へ



 草津のセブンイレブンには10時39分に到着。ここで少し早い昼食。それからペダリングの違和感が少し強くなってきたので、サドルを少しだけ高くする。では今年も渋峠にチャレンジしますか!



 標高1500mを越えたあたりから視界が開けはじめる。空は快晴とまではいかないが、こんな感じなら充分だ。でもとにかく雨だけは降らないで欲しい。ブレーキシューがかなりまずいことになっている。とくにリアは昨日からブレーキレバーのアジャスターをかなりまわしているのだ。



 そんな心配はあったもののやはり渋峠への道は気持ち良い。





 定番の毎度お馴染みの写真。





 これまた空に続く、お馴染みの写真。ただ例年と違うのは、天気が良く、景色も楽しめるのにしっかりつらいこと。参った。ホント今年はつらいわ。。。



 それでも弓池にようやく到着。白根山のレストハウスにはどこかの大学のサイクリングクラブらしき集団の自転車がたくさんとまっていた。昔はランドナーばかりだった自転車も、今はランドナー、ロード、MTB、クロスバイク、シクロクロスと何でもありだった。荷物を積みにくい自転車にも、それぞれ工夫してシュラフなどは積んであるのが面白かった。でもテントなんかの団体装備はどうするんだろ?やっぱり下級生は荷物たくさん積める自転車じゃないと駄目なのだろうか?



 弓池からは少し下ってまた上り返し、そしてまた少し下ってまた上り返す。今年はその上り返しがとてもつらい。だから不必要な下りがとても恨めしい。



 でも上らないと着かないので頑張るしかない。



 そしてようやく、なんとか今年も13時17分に渋峠に到着。えらく時間かかったし、走りたいと思っていた関田峠は今年も無理そうだけれども、やはり今年も太平洋から走ってきて渋峠にたてたのはとても嬉しかった。

 上りながら、今年はいつもより峠でゆっくり過ごそうと思った。それだけ疲れていたからなのだけれども、関田峠に行かなければ充分それだけの余裕もあると思ったからだ。しかし上りながら眺めた長野県側の谷は灰色の雲で覆われはじめていた。そして峠に着いてみると、長野県側からの風の冷たいこと。雨に降られているわけではないのに、昨日の大弛峠での空気の冷えが可愛くかんじられるような冷気が不気味だった。





 なので、結局峠ではそんなにのんびりすることなく、群馬側の絶景を写真におさめてすぐに下りはじめた。



 雨降る前に下界に降りれたらいいのだけれども・・・

 でもきっと今回はそういう運命だったのだろう。1900mくらいからまた雨。あぁ。



 標高の高い場所での雨のつらさについては前日のエントリーでしつこいくらいに書いてしまったので今回は割愛。

 標高1500mの志賀高原で、ホテルの軒下でしばらく雨宿りするも結局雨はやまなかった。時間が気になったのでまた下りはじめて、最初にあらわれる湯田中あたりのセブンイレブンの少し手前まで結局ずっと雨だった。心配していたブレーキシューはなんとか持ったようだった。

 中野からは一刻も早く直江津に着きたい、あわよくば少し早めについて風呂に入りたいと思ったけれども、もう足も気力も時間もなかった。



 この少し先を左に曲がると、300mほどの最後の上り。最初の年はもっとたくさん上ると思っていたので随分と短く楽に感じたものだ。でも年を経るごとに、距離が長く勾配もきつくなっていっているように感じるのだ。

 さてピークのトンネルからは船見公園まではあと40km弱。時間的には微妙だけれども、焦って事故を起こしたりしては元も子もないので、安全第一でしっかり走ろう。



 で、そんなふうにR292~R18と走っていたら後ろから救いのトレインがやってきた。K2Kのnice1さん、yoshikawaさん、それからNOJIさんだった。流しに入っていたところだけに本当に助かった。それにここまで誰にも会わずにひとりで走っていたのでとても嬉しかった。ここからは後ろにつかせてもらったおかげで30kmくらいの巡航で走り切ることができた。トレインの先頭だったnic1さんは、信号ストップなどのあとは10秒くらいかけて巡航スピードにのせるという、後ろを気づかいながらの絶妙なひきだった。ありがとうございました!



 で、船見公園まであと少しのところで他の部隊とも合流。



 そして集合15分くらい前に今年も直江津・船見公園に到着!

 mixiのイベントと日程が重なったこともあり、船見公園はサイクリストとそのサイクリストたちが乗ってきた自転車で大盛況だった。そして日本海まで走って来て仲間と会ったサイクリストたちの笑顔でいっぱいだった。目の前に広がる日本海、普段は太平洋側で見る仲間の顔、たくさんの自転車、そして日本海に沈みはじめた夕日を眺めながら、やはり今年もこのオフ会に参加して良かったと思った。今年は今までで一番きつかったけれども、それだけに仲間の顔を見たときに直江津まで走ってきて良かったと思った。

 masaさんうめさん、今年も直江津集合!ありがとうございました。コミュさん、来年またよろしくお願いします!



 それから完走した人も完走できなかった人も、夕日に間に合った人も間に合わなかった人も、mixi組も含めてすべての参加者にお疲れさまでした&ありがとうございました。



 2011年もこの夕日を眺めに来よう!今度はMTB以外の自転車で!!

 2日目の走行距離176.09km。合計の走行距離421.21km
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行くも戻るも

 本当は今回のツーリングは、今日行くつもりではなかった。もう少しあと、9月に入ってから出かけようと思っていた。けれども、台風が接近したあとのくっきりとした青空が期待できるかもしれないと、たまたま休みだったこともありほとんど衝動的に出かけてしまったのだった。

 しかし台風接近後の山は甘くはなかった。そして残念ながら空の色も抜けるような青空とはいかなかった。

 雨のあとの登山道は、沢の近くということもあって多くが水浸しだった。おそらく普段なら飛び石伝いに渡れるであろう川や沢も、シューズを濡らさずに渡ることはほぼ不可能だった。そんなわけでSPDシューズの底は常に水に濡れていて、そんな状態で石や岩の多い登山道を歩かねばならなかったので、かなり神経を使わざる得なかったし、それでも金具の部分を滑らせて何度かは転倒しそうになった(実際2回尻もちをついてしまった)。

 途中何度か行くも戻るもここはちょっとまずいかも、という場所を通り過ぎた。そうやって進んでいるうちにだんだんと不安が増してきた。一番の難所といわれる核心まであと少しのはず。でもここまでにも危険を感じる場所は何箇所かあった。果たして核心部を越えることができるだろうか?さらにそこから3時間の登り、そしてシングルトラックの下り。寝不足気味でここまでで神経も体力もすでに消耗気味な自分が安全に全行程を歩き、走りとおすことができるだろうか?

 これから向かうなかなか雲のとれない稜線にはあまり未練はなかった。難しい場所かもしれないが、多くの山岳サイクリストが越えているこの峠での途中撤退は少し悔しくもあったけれど、結局今回は引き返すことを決めた。核心部さえ越えてしまえば、あとは引き返すよりも安全かとも考えたけれども、ひとりなのだから無理は駄目だと自分を納得させた。

 下りは登りよりも神経を使った。なので舗装路に出たときはとてもホッとした。しかし同時に「まだまだだな」とも思った。

 今回は引き返して正解だったのだと思う。今度はもう少し条件の良いときにまたチャレンジしよう。そのときは底に滑りやすい金具のついたSPDシューズではなく、フラットペダルに登山靴かウォーキングシューズのほうが良いかもしれない。それから沢や崖を安全に渡るためには、自転車の受け渡しができるように単独ではなくグループのほうがいいかもしれない。いずれにせよ、ここはいつかは越えておきたい峠。秋頃?あるいは来年またチャレンジしてみよう。



 朝4時半に走りはじめて少ししての朝焼け。

 



 クライマーの心を牽きつけてやまない雪渓の残る岩壁。





 最近はあまり歩く人がいないのだろうか?道がわからないくらいに草がぼうぼうだった。



 沢沿いに高度をあげる。



 沢に向かって身長以上の崖を降りる。ここは降りるときも帰り登るときも単独では少し大変だった。



 そのまま行くか引き返すか迷った場所。結局そのまま行ったのだが、途中でカメラを忘れていたことに気づいて引き返してまた前に進んだ。最終的に引き返すことを考えるととても無駄な行動だった。まぁ結果論ですが。





 小さいけれどもつるつるの滑沢。カメラ忘れたせいで往復4回通ったわけだけれども、毎回かなりひやっとした。



 さらに前に進んだが、このあとしばらくして引き返すことを決めた。



 ここも当然渡渉。



 見た目より石が多くて決して走りやすいというわけではない道。でもこんな道ばかりだったら楽だったんだけどな。



 また来るぞ~
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駅寝



 写真よりもう少し暗く寂しい地底という雰囲気のホームに降り立ったのは僕ひとり。ここから高低差81m、462段の階段を上らなくてはならない。輪行袋を担いでその長い階段を上るのはちょっときつそうなので、ホームでMTBを組み立てて、組みあげたMTBをいつも里山でやるように肩でかついで階段を上るつもりだった。しかし降り立ったホームはあまりにひっそりとして寂しい雰囲気だった。あまり長居はしたくない雰囲気だった。僕は仕方なく、そのまま輪行袋を担いで階段を上りはじめた。


 駅寝。学生時代はよく駅で寝た。水があり、便所があり、屋根がある。そんな駅舎は一夜の仮の宿には最適だった。

 もちろん駅寝しやすい駅舎もあれば駅寝しにくい駅舎もある。当然駅寝なんてさせてくれない駅もある。駅寝といえるかわからないけれども、一度高知駅の隅でテントを張ったときは駅員に追い出された。今考えると当然だと思うし、自分でも非常識だと思うけれども、当時はそれが非常識なこととはこれっぽちも思わなかった。同じくらいの大きさの釧路駅では何も言われなかったのにと理不尽に思ったりしたものだった。

 いくつかの印象深い駅もある。四国の駅は高知以外はとても寝心地良く快適な駅が多かった気がする。駅員さん、あるいは管理をまかされている方、そして地元の人も不思議にとても親切だった。阿波加茂、阿波池田、大歩危、名前は忘れてしまったけれども四万十川のすぐ近くの小さな駅。どこもとても寝やすかった気がする。寝苦しさとは無縁の寒い季節で、それだけに駅舎がありがたく感じられたということも関係しているのかもしれないけれど・・・

 北海道では、同じようにそこで駅寝をしようとしているサイクリストやライダーと酒盛りになることが多かった。当時僕はかなりのアルコール嫌いで、先輩から無理矢理酒を飲まされることが嫌でたまらなかったけれども、そいうときは自らすすんで何本かビールを飲んだ。そしてお互いの旅の話などをした。それは旅に出る前に憧れていた風景のひとつだった。

 若い頃にそんなことをしたせいか、今でも小さな駅舎を見ると、そこが駅寝しやすそうか駅寝しにくそうかをつい瞬時に判断してしまう。これはきっとそういう旅をしたことのある多くの人に共通することだと僕は思っているのだけれどもどうだろう?



 そんな懐かしい駅寝を久し振りにした。おそらく15年振りくらいに。で、そんな懐かしい駅寝はとても快適とはいえない代物だった。

 明るすぎる照明の大きすぎる駅舎。登山口に近い結構有名な駅ということもあって、深夜も人の出入りが絶えない。駅前の駐車スペースに夜中着いた人が、なんとなく駅舎に入ってきたりする。それから流行っていないキャンプ場のバンガローに漂っているようなこちらが暗く寂しくなるような匂い。エアマットをふくらませてゴアのシュラフカバーに入ると思いのほか蒸してとても寝苦しい。夏でも昔は普通にシュラフにくるまって眠れていたと思うのだけれども、歳をとって体温調節機能が衰えたのだろうか?そして寝苦しくてシュラフカバーから体を出すと、想定外の蚊の襲来。今まであまり蚊に悩まされた記憶なんてないのに。これまた歳をとって蚊の好む変な匂いが体から発せられているとかそんなことなのだろうか?仕方なく半袖の腕にアームカバーをつけ、顔にはウィンドブレーカーの背中のメッシュの部分をかぶせて、なるべく肌の露出を少なくしたのだが、あの心地良い、懐かしい駅寝はどこにいったのだという気分だった。

 結局眠れたのはは1~2時間だろうか?これなら体を横にはできないけれども、空調が効いた夜行列車での仮眠のほうがまだましだったかもしれない。もっともそんなことを言っても、この駅に停まる夜行列車はないので仕方ないのだが。

 とにかく、それが僕の久々の駅寝であった。
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杖突峠



 先週に引き続き、再び夜行列車で信州へ。



 今朝5時の杖突峠。本当はもっと先まで行くつもりだったのだけれども、事情によりここで引き返すことに。少し悩んだけれども、気がかりなことを抱えながら走るコースではない気がしたので。まぁ自転車はいつでも乗れるわけだから。ここらだって来ようと思えばまた来れるわけだから。



 杖突峠を茅野に下るのは以前冬に入笠山でキャンプをしたとき以来。霧雨のせいで路面が嫌な感じに濡れていたので慎重に下った。



 今回は残念だったけれども、また走りに来ればいいさ。
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seiyaさんの復活を祝うS.S.R走行会

 大変な心臓の病気をしていたseiyaさんの復活を祝うS.S.Rの走行会に参加してきました。



 ヴェルニー公園を占拠したS.S.Rジャージの面々。女子高生っぽい若い女の子が「うわっ、みんな同じ服着てる!」と気持ち悪がってというか、びっくりしていました。


photo by うめさん

 この日は終始のんびりモード。神奈川グランフォンドみたいなハードなオフ会も好きですが、こういうのも大好きです(笑)


photo by うめさん

 ヴェルニー公園からは走水神社を目指します。



 そして各員、お祈りごとを。

 その後はNanさんとコミューターさん、yoneさん&atsuさんご夫妻と走行時間より休憩時間のほうが長い三浦半島一周ショートカットコースへ。のんびり昼食食べて、昼食後はマックでまたおしゃべりして、逗子マリーナで風に吹かれながらジュースを飲んでまたおしゃべり。こんなふうな自転車もとても楽しいとあらためて思った時間でした。



 復活したseiyaさん、企画してくれたとらさん、ご一緒してくださった皆さん、ありがとうございました!
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夏の課題、ようやくひとつ完了

 その昔、MTBの本を読んだとき、ここはいつか行ってみたいと漠然と思ったコースが6つあった。そのうち今まで出かけたのは3つ。残りの3つは行こうと思いながら、なかなか実現できなかった。とくに今回のコースは、去年一昨年とムーンライト信州の指定券をとっておきながらモチベーションが上がらずに出かけるのをやめてしまったところ。そんななかなか行けなかった場所に、今日ようやく行ってきた。

 朝4時から舗装路を走り、ダートを走り、登山道を押し担ぎ、最寄駅から4時間弱かかって標高差1600mの峠に着いた。少し頑張って予定していた時間より早く峠に着いたので、そこから標高差350mの山頂へも迷いなく登れた。

 山頂に着くと、冬に2回頂上に立ったことのある懐かしい山が目の前にどかんとそびえていた。そして遠くにはアルプスの山々。やはり峠だけではなく、山頂まで登って良かったと思った。

 途中の小屋で補給したこの山域の名水を飲みながらパンをひとつ食べてから山頂をあとにして、自転車をデポした峠に戻った。そして峠からはいよいよダウンヒルなのだけれども、標高差300mほどの乗車率はとても低い。ほとんどが押しと担ぎだ。

 温泉で汗を流してからは、森のなかのジープロードの下り。結構がれていたり荒れているところも多く、かなり脳ミソがシェイクされた。そして舗装路に出てからは、信州の夏だなぁと思わされる景色と空の色のなかを、1時間に1本くらいしか電車の来ない小さな駅まで気持ち良く下ったのだった。





































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