YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

ムーディーズ、日本国債を格下げ

2011-08-24 08:08:04 | 経済の話題
ムーディーズは8月24日、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げた。見通しは"安定的"に変更した。(これまでは"不安定的"だったのか?格付けを下げて、見通しをネガティブから安定的にした組合わせが理解出来ない)

8月上旬のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債の格下げでは、基本的には関係の無い Debt Ceiling (国債発行残高上限)問題とごっちゃになって、米国債「デフォルト」の話題が、アメリカより日本で大騒ぎになった、という印象があるが、今回肝心の日本の格下げは、日本でも冷静に受け止められている感じがする。

株価にしても、アメリカは格下げ直後に大きく下がったのだが、日本はそんな気配もない。株価にしても、為替にしても、直接的には関係無いので、日本の状況の方が正し(?)そうだ。金利など直接的な反応は勿論皆無であった。

では、アメリカの騒ぎは何だったのかという事になる。

今週、S&P CEO Deven Sharma の辞任(今年末)の発表があり、そこはかとなく騒がしいのであるが、政治的、政局的な要素が多かった事を匂わせている。(辞任はその前に決まっていたらしいが)

格付け会社の国債への評価が正しいかどうかを判断する事は出来ないが、どのようなモデルを使ったとしても客観的な評価が出来るとは思えない。政府や中央銀行の対応を織り込んだモデルなど出来るはずがないからだ。冷静に考えて、現状のままで各国の財務状況が劇的に良くなる事はないので、歳出カット(もしくは増税)を政治的にどの様に解決して行くかを評価していく事になるだろう。以後の格付け会社の国債に対する評価は、財務分析の皮を被った政治分析にならざるを得ないだろう。

今後の注目は、次の格付けの変化であろう。

今回のアメリカ、日本の格下げは、政治に対するエール(?)とも考えられる。歳出カットにしろ増税にしろ、政治的困難を伴うが、どのようにやれるのかをみてますよ、その結果として数字が改善されるかをみてますよ、ということだろう。アメリカは来年の大統領選挙で大きく動く可能性があるが、日本はどうなる事やら。

米国債「デフォルト」で大騒ぎした日本の方々は、今回の日本国債の格下げをどのように評価されているのか気になる所だ。(アメリカの陰謀だと騒ぎたい所であろうが、余りに平穏なので拍子抜している感じがする)