『ダカフェ日記』(森友治)という本を薦められて読んでみました。森友治さんは写真家。森家の、どこにでもありそうな日常をカメラで切り取った写真集です。森家とは、夫=”もりぽん、”妻=”ヨメ”、娘=海、息子=空、犬=ワクチン。1ページに1枚の写真と、もりぽんによる絶妙なキャプション。ほとんどの写真が、家の中か、せいぜい近くの公園あたりで撮影されてて、ほんと、日常感もりもりの写真集となっています。
「海を怒らずに穏やかに過ごせた日には、夕方の窓際にやわらかい光が差す。」(2004年9月16日)
「なんじゃそりゃー。が口癖。」(2004年7月10日)
「最近よく腰振りダンスを披露してくれる海だが、その腰つきはなんとなく80年代っぽい。」(2006年1月1日)
「朝起きてはじめに見たもの。ベランダであぐらを組んで声高らかに歌う海。」(2005年6月16日)
当時5~6歳の海ちゃんの表情がすばらしく輝いています。子どもって、楽しい時は笑い、悲しい時は泣くんだなと思う。当たり前のことなのに、大人になるとどうして自然にそういうことができなくなっていくのだろう。「楽しくないけど笑ってみた それでも僕等空っぽだから」(amazarashi「14歳」)になってしまうのはなぜ。
それはともかく、たまに「ヨメ」(もしくは「オニヨメ」)やもりぽん自身も登場し、この夫婦の性格や関係なんかも少し垣間見えたりするわけですが、海ちゃんは、この父母あっての海ちゃんだよなあと思う。純真爛漫な子ども代表!みたいな感じ。その一瞬の表情や仕草を逃さずとらえられるところが、さすがプロの写真家である。
時折登場する「本日のありえない」シリーズも超楽しい。
「本日のありえない。引き出しから出て来ない息子。」(2006年12月16日)
「本日のありえない。立ったまま熟睡。」(2006年7月3日)
「本日のありえない。立ったまま寝るのには少し無理があったのか、少し工夫した空。」(2006年7月25日)
それから、忘れてはならないのが、犬のワクチン(青森出身!)。森家に寄り添って生きている、おりこうさんなワンちゃんです。
この本が刊行されたのは2007年。当然のように、子どもたちは成長し、この写真集から5歳年上になっている。で、その姿は、ありがたいことに(?)、ウェブ上で見ることができます。海ちゃんはそろそろ思春期を迎え、ちょっとした反抗期らしく、写真にも滅多に登場しなくなっています。めっきり大人びちゃって。代わりに、弟の空君がかつてのお姉ちゃんの役回りを一手に引き受ける大活躍。さらに、ワンちゃんが、団子、おんぷと2匹も増えて、計3匹になっている!
こういう、いわば「他人の日常」にはあんまり興味はないのですが、森家の場合、まずメンバーがかなり魅力的だということと、彼らを取り囲むモノにも注目したくなるところに、やられたーという感じ。”オニヨメ”によるあとがきによれば、インテリアや食器、小物は「100%ダンナセレクト」とのこと。もりぽん、すごいセンスの持ち主です。彼なりのこだわりに敬服。もちろん、だからこそ、あんなスナップが撮れてしまうのでしょうね。
「日常」の中に見える「こだわり」。
で、今日は鎮魂の日。1年前のちょうど今日、そんな「日常」も「こだわり」も、突然奪われてしまった人々のことを思う。平凡な日常の中のほっこりとした幸せや、少々の「こだわり」を根こそぎ波にさらわれてしまった人々。
14:46、黙祷を捧げながら、あるいは、全国各地でこうべを垂れる人たちをテレビで見ながら、そういう人たちへの思いは、「1分間の黙祷」だけで片付けられるものでもないとも思いました。
「ダカフェ日記」のような何気ない「幸い」を取り戻すためには、まさに私たち一人一人の「日常」の中で「思い続ける」ことも必要だと思いました。今日。
『ダカフェ日記』≫amazon
「海を怒らずに穏やかに過ごせた日には、夕方の窓際にやわらかい光が差す。」(2004年9月16日)
「なんじゃそりゃー。が口癖。」(2004年7月10日)
「最近よく腰振りダンスを披露してくれる海だが、その腰つきはなんとなく80年代っぽい。」(2006年1月1日)
「朝起きてはじめに見たもの。ベランダであぐらを組んで声高らかに歌う海。」(2005年6月16日)
当時5~6歳の海ちゃんの表情がすばらしく輝いています。子どもって、楽しい時は笑い、悲しい時は泣くんだなと思う。当たり前のことなのに、大人になるとどうして自然にそういうことができなくなっていくのだろう。「楽しくないけど笑ってみた それでも僕等空っぽだから」(amazarashi「14歳」)になってしまうのはなぜ。
それはともかく、たまに「ヨメ」(もしくは「オニヨメ」)やもりぽん自身も登場し、この夫婦の性格や関係なんかも少し垣間見えたりするわけですが、海ちゃんは、この父母あっての海ちゃんだよなあと思う。純真爛漫な子ども代表!みたいな感じ。その一瞬の表情や仕草を逃さずとらえられるところが、さすがプロの写真家である。
時折登場する「本日のありえない」シリーズも超楽しい。
「本日のありえない。引き出しから出て来ない息子。」(2006年12月16日)
「本日のありえない。立ったまま熟睡。」(2006年7月3日)
「本日のありえない。立ったまま寝るのには少し無理があったのか、少し工夫した空。」(2006年7月25日)
それから、忘れてはならないのが、犬のワクチン(青森出身!)。森家に寄り添って生きている、おりこうさんなワンちゃんです。
この本が刊行されたのは2007年。当然のように、子どもたちは成長し、この写真集から5歳年上になっている。で、その姿は、ありがたいことに(?)、ウェブ上で見ることができます。海ちゃんはそろそろ思春期を迎え、ちょっとした反抗期らしく、写真にも滅多に登場しなくなっています。めっきり大人びちゃって。代わりに、弟の空君がかつてのお姉ちゃんの役回りを一手に引き受ける大活躍。さらに、ワンちゃんが、団子、おんぷと2匹も増えて、計3匹になっている!
こういう、いわば「他人の日常」にはあんまり興味はないのですが、森家の場合、まずメンバーがかなり魅力的だということと、彼らを取り囲むモノにも注目したくなるところに、やられたーという感じ。”オニヨメ”によるあとがきによれば、インテリアや食器、小物は「100%ダンナセレクト」とのこと。もりぽん、すごいセンスの持ち主です。彼なりのこだわりに敬服。もちろん、だからこそ、あんなスナップが撮れてしまうのでしょうね。
「日常」の中に見える「こだわり」。
で、今日は鎮魂の日。1年前のちょうど今日、そんな「日常」も「こだわり」も、突然奪われてしまった人々のことを思う。平凡な日常の中のほっこりとした幸せや、少々の「こだわり」を根こそぎ波にさらわれてしまった人々。
14:46、黙祷を捧げながら、あるいは、全国各地でこうべを垂れる人たちをテレビで見ながら、そういう人たちへの思いは、「1分間の黙祷」だけで片付けられるものでもないとも思いました。
「ダカフェ日記」のような何気ない「幸い」を取り戻すためには、まさに私たち一人一人の「日常」の中で「思い続ける」ことも必要だと思いました。今日。
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