先日の選択理論(クオリティスクール)の講座で知り合った方からの紹介で、今日、Love Aomoriプロジェクト主催の勉強会があるというので、仕事をさっさと片付けて、雪の中、ワ・ラッセへ出かけてみました。
選択理論心理士で、米国グラッサー協会認定のインストラクター、渡邊奈都子さんを招いての大人の学びの場。テーマは、「大切な相手との絆を深める3つの法則」。パートナーとのつながりについて、選択理論をもとに考えてみようという趣旨です。
まずいきなり性教育の話から始まりました。これまでの性教育は、生殖の仕組みなどから入る「生物学的モデル」と、避妊などの視点から考える「公衆衛生学モデル」の二つのアプローチがあった。しかし、どちらにしろ、表現が過激だったり、時期的に早過ぎる!などという批判を免れ得ない。
そこで登場するのが「人間関係形成モデル」。これは、性の問題を、望ましい人間関係を形成するという視点から語ろうとするもの。つまり、心と体がどうつながっているのか、「愛情」と「信頼」というキーワードでとらえる性教育です。渡邊さんは、ご自身が教えていらっしゃる専門学校の生徒さんたちのアンケートの結果をもとに今の若者たちの性意識を示しつつ、たとえば、私たちの10代の頃の意識の振り返りをさせたり、「恋」と「愛」の違いについて考えさせたりしながら、いよいよ「大切な相手との絆を深める3つの法則」へと話が進んでいきます。
一つ目の法則は、「違いを知る」ということ。つまり、「友情と思いやり」と「性欲とスキンシップ」は異なるということ。これを選択理論でいう5つの「基本的欲求」に照らし合わせると、前者は「愛/所属の欲求」に、そして後者は「生存の欲求」(食欲、性欲、睡眠など)に分類されます。さて、ではこの「心理的欲求」と「身体的欲求」のどちらが「エライ」のか。私は「生存の欲求」すなわち身体的欲求だろうと直感的に思ってしまいましたが、実はそうではなくて、「心理的欲求」のほうが優先される。「生存の欲求」は動物でも持っていますが、私たちは、動物であると同時に「社会的存在」なのです。いくらおなかが空いていても、人間は、コンビニで食べ物を漁るわけではありません。ちゃんと「理性」や「責任」が働いて、レジでお金を払って食べ物を手に入れるのです。心理的欲求が、動物的欲求に勝るのは当然といえば当然ですね。
「友情と思いやり」に基づく愛こそ「真実の愛」であり、「性欲とスキンシップ」といった身体的欲求に基づく愛情は単なる「のぼせ愛」だという。この二つをきちんと異なるものとしてとらえることが大事だということです。
二つ目の法則は、「時間をかける」ということ。要するにすぐに性関係を持たないで、ということです。ここでは、身体の距離と心の距離という話が面白かった。目と目、声と声、手と手、顔と顔、手と髪…といった段階をきちんと踏んで体の関係に至ることが大切。特に、「声と声」の段階が大事で、ちゃんと話をして、「友情」の段階を飛ばさないようにすること。あるいは、一つ目の法則にあったように、肉体的親密感を愛情と勘違いしないこと。こうして、真の愛情がゆっくりと時間をかけて育まれていくのですね。
三つ目の法則は、「手間をかける」。いたずらに時間をかけるだけでは足りないということです。これは要するに「質」の問題だろうなと思いました。渡邊さんは、「関係を築く4つのレベル」という話の中で、「クオリティタイム」という言葉を紹介してくれました。二人で「相手を意識しながら共に創ったり楽しんだりする時間」のことだそうです。それは、単に「ドライブ」とか「映画を見る」とか「外食をする」ことではないと言う。「ドライブ」よりは「散歩」、「映画」よりは「スポーツ」、「外食」よりは「料理」がよりクオリティタイムだと。
ただ私は、たとえば、「映画を一緒に見る」というのは、人によってはクオリティタイムではないのかなと思いました。何の映画を見るかという選択からして、相手を意識していることになるし、この映画を見ることが、お互いが価値があると認めたのなら、それは大切な共有の時間ではないかと…。
「手間をかける」というのは、一人で好きな時間を過ごして自分の基本的欲求を満たすことをベースとして、二人で何かをすること(クオリティタイム)があって初めて「会話」や「コミュニケーション」が成り立ち、その上で話し合いや様々な問題解決が可能になるということです。なかなか、この4つのレベルを意識するのは難しいかもしれません。
この3つの法則を動かすOSに当たるのが、選択理論でいうところの「内的コントロール」であるということが、今日の勉強会のまとめでした。一人一人、5つの基本的欲求を入れる「器」の大きさは異なる。他人がそれを変えることはできません。相手の器の大きさに合わせて自分が変わらなければならない。先生は子どもをコントロールできないし、上司は部下をコントロールできない。親でさえ、自分の子どもの器の大きさを変えることはできないのです。自分の器のどのくらいまで欲求で満たすか、つまり、コントロールできるのは自分しかない、というのが内的コントロール。
最後に、選択理論でいうところの「人間関係を築く7つの習慣」と「人間関係を壊す7つの習慣」にならって、「恋愛関係を育む7つの習慣」と「恋愛関係を致命的にする7つの習慣」というものを教えてくださいました。さて、それはいったい…??
いつも不思議に思うのですが、どんなに話しが面白い講師でも、飽きたり眠くなったりすることもあるし、今日のように、平日の夜、2時間休憩なしの講座でも全く飽きずに集中できることもある。もちろん、一方通行の講義ではなく、途中で考えさせたり話し合わせたりというコーナーはちょいちょい挟まれるんだけど、考えてみると、そのタイミングが実に「自然」なのです。「自然」というのは、講師が話を展開するのに「自然」というだけではなくて、私たち「学習者にとって自然」だということに、終わってから気付きました。だから、飽きることはないばかりか、学んだことをとてもよく覚えているし、何より、講座が終わったあとの余韻というか、ほのかな高揚感が、たまらなく心地いいのでした。
>「友情と思いやり」に基づく愛こそ「真実の愛」であり、「性欲とスキンシップ」といった身体的欲求に基づく愛情は単なる「のぼせ愛」だという。
二つを区別した上で、パートナーにはどちらも一生必要な要素だと思いました。どちらか片方が欠けても夫婦としては成り立たないだろうなと。主人にはずっと恋してたいですねぇ。
このお話、男女交際がうまくいかない友人に教えてあげたいです。
そう、どっちも大切。でも、あくまで前者>後者なんですね。