カクレマショウ

やっぴBLOG

ジョブシャドウイングされてみない?

2012-01-17 | └キャリア教育

Job Shadowingというのは、文字通り、仕事をしている社会人に影のように付き従って仕事の様子を観察するというキャリア教育のプログラムです。米国では中学校や高校でさかんに行われていて、毎年22日はJob Shadow Dayとして、全米各地で様々なイベントも開催されるらしい。

 

職場体験活動やインターンシップが基本的に「仕事を体験してみる」のに対して、ジョブシャドウイングは、具体的に何か仕事をするわけではありません。なので、これまで、ずっと仕事を見てるだけじゃツマンナイだろうなあ~と、自分自身あまり興味が湧きませんでした。

 

ところが、リクルートの「キャリアガイダンス」という雑誌に載っていたジョブシャドウイングの特集を読んで、認識をあらためました! 何も「職場体験」だけにこだわることはないんだ、「観察する」という方法でも、きちんとしたプログラムがあれば、子どもたちの「職業意識」を変えたり、仕事への熱意を喚起したりすることは十分可能なのですね!

 

職場体験活動やインターンシップもいろいろやり方はあると思いますが、ほとんどの場合、数名の中学生・高校生に、事業所の人が1人ついて仕事を教えるというパターンではないでしょうか。つまり、「11」ではない。でも、ジョブシャドウイングは基本的に「1対1」の関係。この違いは大きいかもしれない。

 

「インターンシップのように何かを具体的に行うというわけではないので、高校生でも専門性の高い職場に受け入れられやすい。受け入れ先も、プログラムを用意するなどの特別な準備が必要ないので、実施の可能性が大きく広がる」

 

なるほどなるほど。たとえば、医者や弁護士とか、「体験」が難しい職業ってけっこうありますよね。でも、その人たちの仕事をずっとそばにくっついて観察するだけでも、いろんなことに気付くことができそうです。

 

記事にも書いてありましたが、高校のインターンシップって、職業に関する学科、つまり高卒で就職する子が多い学校では8割以上が実施しているのに、進学する子の多い普通科では6割弱しか行われていません。青森県でも、いわゆる「進学校」と呼ばれる高校でインターンシップを行っているのはごくわずか。大学出たらいずれ社会に出て行くんだから、進学する高校生だってインターンシップは必要でしょ!と思っているのですが…。もちろん大学でもインターンシップを体験することになるのかもしれないけれど、高校生の段階で実際の社会に触れることは、ものすごく貴重な体験となるはずです。

 

で、「社会に触れる」手段としては、インターンシップでなくてもいいわけだ。このジョブシャドウイングという方法でも。むしろ、専門性の高い職業ほどジョブシャドウイングが向いているのかもしれない。

 

現在、埼玉県のジョブシャドウイングの企画に関わっている小島貴子さんがこんなことを言っています。

 

「進学校では職業体験の実施率が低いですが、大学を出て働いている人たちの気持ちを知ることは、学びの意味を考えるうえでもとても重要です。仕事の場も、日々の愚直なことの積み重ねで成り立っていて、一人ではどうにもならないことがたくさんある。それは、学校生活や勉強でも同じで、今やっていることは、将来と確実につながっていくのだということを知ってもらいたかったんです」

 

埼玉県では、こうして、東大に何十人も入るような進学校を含め、多くの高校生がジョブシャドウイングを体験しているのだとか。むろん、そのために大人の側が様々な「仕掛け」や「工夫」を施しているのは言うまでもありません。ジョブシャドウイングそのものは、たった1日というか、2時間しかありません。ただ、その前後のランチタイムを一緒に過ごしたり、綿密な事前事後の学習会を行ったり、ジョブシャドウイングを通じて、高校生に「何かを気づいてもらう」ための仕掛けがたくさん隠されています。そういう「仕掛け」を設定して、良質のプログラムを作るには、やっぱり学校と企業をつなぐコーディネーターが必要なんだよなあ…。

 

事後学習会では、まず、お互いの体験を伝え合うグループワークを行うんだそうです。

 

「体験したことを人に伝える難しさも、ここで体験してもらえればと思いました。体験した事実だけでは、相手に伝わらない。何を見て、それをどのように理解し、さらに今後、自分がどうしていきたいと思ったのか。そこまで言えるようになろうねと。そうすると、今の自分に足りないものも見えてくるし、実現したい未来に向けて、何が必要なのかがわかってくる(小島氏)

 

いやあ、これっていいですね!「そこまで言えるようになろうねと」。ここにシビレます。単に仕事を観察して終わりじゃないところが、このプログラムの素晴らしいところですね。

 

ジョブシャドウイングについて、国立教育政策研究所の藤田晃之さんはこんなふうに語っています。

 

「プロの仕事を間近で見ることによって、子どもたちの視野は広がります。ある特定の仕事を見ただけでも、自分の視野の狭さに気づく。それによって、可能性の広がりを実感するのです。また、しばらく仕事を観察することで、間違いなく“大人のすごさ”を感じ取っています。ジョブシャドウイングを行う価値は、まさにそういった体験ができるということなんです」

 

受け入れる立場からすれば、職場体験活動を5日間やるにはそれなりのプログラムも必要だけど、ジョブシャドウイングは受け入れ先の企業にとっても、負担の少ない方法だと言えます。なにせ、いつもやっている仕事を見てもらうだけなのだから。しかも1日だけでもいい。もちろん、子どもたちに「見せる」となると、「いつもやっている」ようにはなかなかできないかもしれないけど、埼玉県の実践例など見ると、ごく自然な姿を見せるのが一番効果的のような気もします。高校生って、けっこう大人の「フリ」を見抜きますからね。あ、これって作ってるな、とか、本気じゃないな、とか。

 

大人の皆さん、子どもたちに自分の働く姿をどんどん見せてあげましょうよ。ジョブシャドウイングさせてあげましょう。大人が本気で働く姿は、必ず、子どもたちの心に響くと思います。

 


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2 コメント

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ある日の私 (元生徒C)
2012-01-18 01:18:11
ずーっとただ見てるだけでも楽しいかもよ。
例えば昨日の私
朝9時台の飛行機で移動、羽田から鹿児島へ
空港に着いて鶏飯(郷土料理)を食べる
バスで移動、タクシーで移動
一時間ばかし仕事
タクシーで移動
営業の人と1時間程打ち合わせ
黒豚しゃぶしゃぶ(蕎麦汁たれ)を食べる
バスで空港へ
鹿児島から大阪へ 飛行機で移動
大阪で会議
大阪泊 
朝一番の飛行機で羽田へ
出張先で1時間程説明
お昼は八重洲で焼き鳥丼
会社に戻って会議 意見をどしどし言う
夕方からはひたすらデスクワーク
PP作成 論文チェック 進捗確認
20時頃会社を出て近くのデパートウインドーショッピング。
ビール飲んでピザ食べて
23時頃帰宅
明日からの出張準備 朝6時に家を出なきゃ!!
今お風呂。

こんな社会人を高校生の私が見たら
絶対楽しそうって思う。
そして楽しい。働いてる気がしない。
勿論やなこともムカつく事もあるけど
楽しそうに仕事してたら仕事相手も同僚もなんだかみんな楽しそうだよ。
高校生に1日私体験させてあげたいな。
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あらら (やっぴ)
2012-01-18 23:38:09
相変わらず飛び回ってるね。

どのタイミングでジョブシャドウしたらいいのか分かんないぞ。鹿児島に置き去りにしたら大変だし!
「意見をどしどし言う」そのあたりがあなたらしくて大変よろしいね!
そして、そういう仕事を楽しいと感じられること、そして、周りも楽しいと思わせてしまうところ自体、素敵と思います。「一日あなた体験」、いいかも~!
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