ついに来ましたね。「コミュニティ・スクール」の全小・中学校への導入。教育再生実行会議が、このたび、安倍首相に、全国全ての公立小・中学校をコミュニティ・スクールとするとの提言を提出しました。これから文部科学省は、全校指定を目指し、法改正に向けて動き始めることでしょう。
「コミュニティ・スクール」は、新聞などでは「地域運営学校」とも書かれていますが、各学校に、保護者や地域住民で構成される「学校運営協議会」を設置し、学校運営の基本方針を承認したり、教職員の人事について教育委員会に意見を述べたりすることができるという制度です。平成16年に創設された制度ですが、全国でもまだ1900校あまりの指定にとどまっていて、なかなか導入が進んでいないのが現状です。ちなみに、青森県は、「空白県」(コミュニティ・スクールが1校もない県)5県のうちの一つです(※横浜町が再来年度からの指定を目指しています)。
コミュニティ・スクールが進まないのは、大概は学校側に抵抗感が強いからです。「学校運営協議会」には、「組織」として一定の権限が与えられ、校長は学校運営協議会が承認する基本的な方針に従って学校運営を行うことになり、しかも、「人事」にまで関与できることになりますから。もちろん、これまでどおり学校運営の責任者が校長であることは変わりありませんが、「余計なひと手間」が増えるととらえる校長先生も少なくないと思われます。ほとんどの学校に設置されている「学校評議員」が、あくまで校長の求めに応じて学校運営に関する意見を「個人」の立場で述べるのとはわけが違いますから。まあ、これまでの事例を見ると、「人事面」であの先生を異動させろとかいうヘンな要求があった話はあまり聞きませんけどね。国では、人事に関与できないようにするなどコミュニティ・スクール指定の要件を緩和する意向のようですが。
それより、そもそも、なんで「コミュニティ・スクール」が叫ばれ始めたのかを考える必要があります。言うまでもなく、保護者や地域住民の様々な意見を学校運営に反映させることによって、地域に開かれ、信頼される学校づくりを目指そうというのがコミュニティ・スクールの趣旨です。
ただ、「開かれた学校」という点では、コミュニティ・スクールの形を取らずとも、ここ数年は学校支援ボランティアやゲストティーチャーという別の形で進んでいることは確かであり、実態としては十分「コミュニティ・スクール的な」学校は増えてきていると思います。コミュニティ・スクールは、地域との連携がうまくいかない「都会型」の仕組みだという意見もあるし、全国一律にコミュニティ・スクールという「型」にはめるのはどうなんでしょう。それぞれの地域の実態、学校の実態に合わせて、うちらはコミュニティ・スクールという仕組みが必要だ、あるいはもう既に地域の声を十分反映した学校運営がなされているから必要ないとか、選択の余地があってもいいはずですね。
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