カクレマショウ

やっぴBLOG

階段を下りて街へ出て行く!

2004-09-07 | └人権教育・学習
精神に障害を抱えた人が話し合ったり活動したりする場を提供しているNPO法人SANNet青森を訪れました。(仕事です。)

代表の方はもともと福祉系の公務員だったそうですが、仕事のかたわら、そうした病を持つ人々のケアに携わってきました。彼らは、様々な社会的制約に縛られていたり、病気のために家族や友人を失ったりというある種の喪失感を持っており、彼らの社会的な活動を支援できないかということで、よりどころとなる場を開設したのだそうです。

行ってみると、6畳ほどのスペースに何人かが座り、話をしたり、たばこを吸ったり、ぼーっとしたりしていました。私たち一行が代表の方にお話を伺っている間も基本的には同じでしたが、時折、話に加わってくれました。

しかし彼らはいつもただ「いる」だけではなく、様々な活動をしています。彼らの居場所は、中心街の大通り沿いにあるのですが、商店街と結んで「お買い物宅配サービス」や「使用済割り箸の回収」など地域に密着した事業を展開しています。そうした活動を通して自発性や企画力、コミュニケーション能力を育てたいということのようです。

また、様々なテーマを設定してのテーマ別ミーティングなど、彼らが自分のことや自分の考えを話すことができる場を積極的に設けているとのことでした。最近では、講演や学校に招かれて当事者自身が話をする機会も増えており、そういう機会が彼らの自信を生み、社会的自立につながっていくとのことでした。

また、社会的弱者の人権について、弱者の方が積極的に、自分がしたいこと、言いたいことを社会にアピールしていくことが大切ではないかとおっしゃっていました。自分の言ったことが実現する、その小さな積み重ねが本人をも強くし、また社会の目線も変わってくるのではないかというお話でした。

それを聞いて、山田太一脚本のドラマ「男たちの旅路」シリーズで障害者の問題を取り上げた「車輪の一歩」を思い出しました。障害を持っている方が社会に遠慮するのではなく、堂々と、困っていることを訴えていくべきだという趣旨だったと思います。例えば、駅で、車椅子に乗った方が階段を上げてくれるように頼む、それを社会も当然のように受け入れる。あのラストシーンが、代表のお話を聞いて脳裏に浮かびました。

居合わせた「当事者」の方が、自分の経験を交えて「○○さん(代表)を信頼しています」と言い切っていたのが印象的でした。また代表の方も「こういう人たちと話をしているほうが、正直で率直な話が聞けて楽しい」とおっしゃっていました。家族との関係とも違う、確かな信頼関係に裏打ちされた「心のつながり」の強さを感じました。

彼らがいる場に行くためには、商店街から狭い階段を上っていく必要があります。私には、彼らが作ったコピー「階段を下りて街へ出て行く」がとても気に入りました。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
階段を下りて・・・ (ねこねこ)
2004-09-10 22:43:12
 はじめまして。こんばんわ。

戦艦ポチョムキンで、やっぴさんのHPに辿り着き。

ここの、ぶろぐにも辿り着きました。

今夜は、「アレクサンドル・ネフスキー」をみました。

ところで、実は、わたくし。同じ市内に在住しております。

学生時代に発病をして。でも、なんとか卒業し、美術教師になったものの。また、再発・・。そう、精神病です。

今では、大分、偏見もすくなくなってきましたが、当時はまだ今のようではありませんでした。何度か、入退院をし。作業所のようなところで、働いたこともありました。

 今は、結婚もして、こどもはいませんが、まあ、なんとか普通の生活をしています。一昨年は、市内の学校の非常勤美術講師をやっていました。通院してるものの(苦笑)社会復帰は大変です。病気を隠しつつ、日々、おそるおそる、生活してる感じ。でも。映画などみたり。自分なりの、小さな楽しみを見つけて生きてます。長くなりました。ではでは・・。
返信する

コメントを投稿