カクレマショウ

やっぴBLOG

もっと身近にある「人権」。

2015-02-09 | └人権教育・学習

中学生にとっての「人権」のとらえ方って、この作品集を読んでよく分かりました。法務省主催の全国中学生人権作文コンテスト「青森県大会入賞作品集」。どの作品にも、中学生なりの人権に対する向き合い方が素直に表現されていて、読み物としても素晴らしい作品ばかりです。 

最優秀賞から奨励賞まで、掲載されている18作品のうち、いじめに関する体験をもとにした作文が9点と半数を占めています。作文を読む限りでは、子どもたちっていとも簡単に友達を無視したり、悪意のある言葉を投げつけたりするんだなと思う。オールポートの言う「差別の段階」というのは本当だとつくづく思う。偏見、思い込みから無視へ、そしてすぐに言葉の暴力へと差別はエスカレートしていく。 

自分がいじめられた体験を書いた子もいます。こうして作文に書くのは勇気のいることだったことでしょう。でも、それだけで既に価値があると思うよ。一方で、いじめられているクラスメートに何もできずにいる自分がいやで、お父さんに泣きながら相談した女の子もいます。先生方が動いてくれてようやくいじめは収まったそうですが、彼女は、次は必ず自分からいじめをなくすると決意しています。いじめは絶対にあってはならないものですが、もし起こってしまった場合、そこから何を学ぶか、どう成長するかが大切なんですね。 

ほかには、きょうだいや親が障害のあることなど障害を題材にした作文が7点、家族の認知症など高齢者の人権に関するものが2点ありました。障害者の人権、高齢者の人権、いずれも大切な人権課題ですが、人権課題って、実はもっといろいろあります。子どもの人権、女性の人権、感染症・難病患者等の人権、日本に住む外国人の人権、犯罪被害者の人権などなど…。中学生にとってはちょっと遠すぎたり重すぎたりするのかな。この作品集の作文は、すべて自分の体験をもとに書かれていますが、そういう課題に関わる「実体験」ってなかなかできるものではないですからねえ。 

では、逆に、人権って実はもっと身近なものととらえてはどうでしょう。つまり、ふだんの生活の中での「自分の権利」と「他人の権利」のこととか、それを踏まえた、人とのコミュニケーションのこととか、権利と表裏一体となるべき「責任」のこと。あるいは、他人と自分の違うところ、同じところ。あっていい「違い」とあってはならない「違い」。そういうことを家庭や学校での日常の中から拾い上げて考えて文章にすることも、立派な「人権作文」になると思うのです。そんなごくフツーの中学生の作文も読んでみたいと思う。

もしかしたら、この作品集に掲載されることなく埋もれた作文の中に、そんな作品があったりして! 


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