学校に対する様々な要求は、保護者からだけではありません。学校周辺に住む地域住民からもまた、学校には様々な要求が突きつけられます。そのうち、「校庭の木から道路に落ちる落ち葉を何とかしろ」なんてたぐいの要求は、いわゆる「イチャモン」(無理難題)に相当すると思いますが、「運動会の練習がうるさい」、「ブラバンの音が耳障りだ」といった「騒音」の問題は、住民の皆さんに「我慢してください」では済まない問題もはらんでいます。夜勤で日中眠りたい人もいるでしょうし、病人を抱えている人もいるかもしれません。住民の生活スタイルは様々ですから、できるだけ実態に即した解決方法を考えていかなければなりません。
「イチャモン」研究の第一人者、大阪大学大学院の小野田正利教授は、騒音をめぐるトラブルの解決については、「当事者」である生徒自身にも関わらせるべきだと言っています。(「内外教育」モンスター・ペアレント論を超えて 第208回)
「学校に寄せられるいくつかの苦情やイチャモンの当事者は生徒だと思う。教師がすべてを抱え込むのではなく、「どうしたらいいかな」と相談を持ちかけることから打開の道が見つかることもある。」
一般に、学校は、近隣とのトラブルについては校長をはじめとする教員だけで対応し、解決しようとします。いわば「大人同士の話し合い」。でも、確かに、生徒に「相談」してみるというのも一つの方法かもしれませんね。もちろん、生徒にすべて解決を委ねるのではなく、あくまでも先生と生徒が一緒になってトラブルを解決していこうという姿勢で。小野田教授も言っていますが、それは、生徒自身の「トラブルの解決能力」につながるかもしれません。たとえば、ブラバンの生徒にいろんなアイディアを考えさせてみる。「練習時間を変える」、「耳栓を近所に配る」といった現実的ではない?アイディアだけでなく、「迷惑かけてすみませんというチラシを持って自分たちが近所の家を訪問する」、「地域向けのコンサートを開いて、がんばって活動している姿を見てもらう」といった、トラブル解決に向けた前向きな方法も出てくるでしょう。
何より、そういうアイディアを真剣に考えること自体が、生徒たちの成長を促すことになるのは明らかです。もしトラブルが解決できれば、生徒の大きな自信につながることは言うまでもありません。実際の社会におけるトラブルを解決する。これも「地域の教育力」と呼んでいいのかもしれませんよ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます