最近、青森県内でも「単位制」の高校が増えてきました。現在、県立高校14校が何らかの形で単位制を導入しています。単位制というのは、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる制度。最初は定時制・通信制の高校でスタートし、1993年からは全日制の課程でも導入が始まっています。さらに、今では「進学型」の単位制高校も出現しています。
自由に好きな科目が選択できると言えば、まるで大学みたいで聞こえはいいけど、果たして高校生に科目を選ぶだけの自主性や主体性があるのだろうかという批判も聞かれます。確かに、中学校で「輪切り」的に「入れる」高校を選ばざるを得なかった高校生に、将来を踏まえて適切な科目を選択するように、なんていうのは酷な話しかもしれません。特に「進学型」の単位制高校においては。だから、「進学型」の高校では、「選択」は2年次からというところも多い。
一方、定時制・通信制高校で単位制を取り入れている学校でも、単に生徒を集めるための手段としての位置づけでしかないのではと思えるところもありますが、本来の単位制の理念に極めて忠実に取り組んでいる高校もあります。その一つが、2007年12月9日付け朝日新聞「がっこう探検隊」で紹介されていた福岡県立博多青松(せいしょう)高校。「未来描く「MY時間割り」」というのが記事のタイトル。生徒一人一人がオリジナルの時間割りを作成するというのは、単位制高校の基本ですね。
博多青松高校は、定時制通信制の単位制高校で、生徒が432講座の中から自分で授業を選び、時間割りをつくるシステムをとっています。Ⅰ部(午前)、Ⅱ部(午後)、Ⅲ部(夜間)の3部制で、志願倍率は7倍以上だとか。生徒はいずれかに所属するわけですが、所属部以外の授業もとることも可能なのだそうです。定時制として、他の高校中退者や不登校経験者を受け入れながら、進学実績も着々と成果を上げているらしい。
高校入学直後から、いったいどうやって「MY時間割り」を作成させているのかと思いますが、そこには教員の並々ならぬ努力と手間がありました。定時制は、実に多様な就学目的を持つ生徒の集まりです。資格取得、大学進学、就職…。それら一人一人と向き合い、個々の目的に合った時間割りを組むお手伝いをする。先生は、アドバイスはしますが、決して「押しつけ」はしないのだと言います。あくまでも生徒たちに考えさせ、選ばせる。「進路指導」と言いますが、実は生徒の進路に限っては、先生は「指導」はできないのだと思います。寄り添って見守ることは必要ですが、必要以上に口出しをしないことが大切だよなーと改めて思いました。
もちろん、生徒の自主性に任せるといっても、自主性を引き出し、自ら考えさせるような仕掛けは青松高校もいろいろやっています。その一つが「近未来ガイダンス」。なんていい響きの言葉でしょうか。自分自身の「近未来」をイメージすること。遠い将来のことは誰にもわからないけれど、5年後とかせいぜい10年後ぐらいの近未来なら、今の自分と照らし合わせて十分考えることはできそうです。
「今の自分と照らし合わせて」という点が大事なのでしょう、きっと。高校なんてわずか3年間しかない。3年後には黙っていても新しい道を歩いているのです。そのことをどうやってイメージさせるか。「近未来ガイダンス」では、大学教授や企業人など、近未来に自分たちが関わっていかざるを得ない「大人」による公開講座です。これまで、社会の第一線で働く大人約300人を招いて「生の情報」を生徒たちに伝えてもらったのだとか。生徒の志望に対して、多くの「情報」を与えることが教師の役割と考え、教師は「進路情報のプロ」を目指しているというあたりも、普通の「進路指導」とは根本から異なるような気がしています。情報をどう与え、それらの情報をどうやって吟味し、選択していくか。それを教えることも教師の大きな使命です。
当然ながら、青松高校には、校則も制服もありません。「生徒は社会常識にのっとって行動すると信じるから」です。実社会における自分の「近未来」を描くことができる生徒には、「学校」だけで通用する規則はいらないということですね。
記事で紹介されていた「キャリア実践演習」の授業、とても興味深い。「高校で学ぶ意義とは?」をテーマにした調べ学習。どうして受験科目に必要のない数学を学ばなければならないのか?美容師を目指しているのに、どうして英語や生物の授業を受けるのか。この問題は、きっと、すべての高校生が高校に入学した段階で考えておかなければならない問題でしょう。ここをきちんとクリアして初めて、自分の進路と「学校の勉強」の関係が見えてくるからです。
博多青松高校のような高校は、今後どんどん増えていくのでしょうね。期待したいと思います。
自由に好きな科目が選択できると言えば、まるで大学みたいで聞こえはいいけど、果たして高校生に科目を選ぶだけの自主性や主体性があるのだろうかという批判も聞かれます。確かに、中学校で「輪切り」的に「入れる」高校を選ばざるを得なかった高校生に、将来を踏まえて適切な科目を選択するように、なんていうのは酷な話しかもしれません。特に「進学型」の単位制高校においては。だから、「進学型」の高校では、「選択」は2年次からというところも多い。
一方、定時制・通信制高校で単位制を取り入れている学校でも、単に生徒を集めるための手段としての位置づけでしかないのではと思えるところもありますが、本来の単位制の理念に極めて忠実に取り組んでいる高校もあります。その一つが、2007年12月9日付け朝日新聞「がっこう探検隊」で紹介されていた福岡県立博多青松(せいしょう)高校。「未来描く「MY時間割り」」というのが記事のタイトル。生徒一人一人がオリジナルの時間割りを作成するというのは、単位制高校の基本ですね。
博多青松高校は、定時制通信制の単位制高校で、生徒が432講座の中から自分で授業を選び、時間割りをつくるシステムをとっています。Ⅰ部(午前)、Ⅱ部(午後)、Ⅲ部(夜間)の3部制で、志願倍率は7倍以上だとか。生徒はいずれかに所属するわけですが、所属部以外の授業もとることも可能なのだそうです。定時制として、他の高校中退者や不登校経験者を受け入れながら、進学実績も着々と成果を上げているらしい。
高校入学直後から、いったいどうやって「MY時間割り」を作成させているのかと思いますが、そこには教員の並々ならぬ努力と手間がありました。定時制は、実に多様な就学目的を持つ生徒の集まりです。資格取得、大学進学、就職…。それら一人一人と向き合い、個々の目的に合った時間割りを組むお手伝いをする。先生は、アドバイスはしますが、決して「押しつけ」はしないのだと言います。あくまでも生徒たちに考えさせ、選ばせる。「進路指導」と言いますが、実は生徒の進路に限っては、先生は「指導」はできないのだと思います。寄り添って見守ることは必要ですが、必要以上に口出しをしないことが大切だよなーと改めて思いました。
もちろん、生徒の自主性に任せるといっても、自主性を引き出し、自ら考えさせるような仕掛けは青松高校もいろいろやっています。その一つが「近未来ガイダンス」。なんていい響きの言葉でしょうか。自分自身の「近未来」をイメージすること。遠い将来のことは誰にもわからないけれど、5年後とかせいぜい10年後ぐらいの近未来なら、今の自分と照らし合わせて十分考えることはできそうです。
「今の自分と照らし合わせて」という点が大事なのでしょう、きっと。高校なんてわずか3年間しかない。3年後には黙っていても新しい道を歩いているのです。そのことをどうやってイメージさせるか。「近未来ガイダンス」では、大学教授や企業人など、近未来に自分たちが関わっていかざるを得ない「大人」による公開講座です。これまで、社会の第一線で働く大人約300人を招いて「生の情報」を生徒たちに伝えてもらったのだとか。生徒の志望に対して、多くの「情報」を与えることが教師の役割と考え、教師は「進路情報のプロ」を目指しているというあたりも、普通の「進路指導」とは根本から異なるような気がしています。情報をどう与え、それらの情報をどうやって吟味し、選択していくか。それを教えることも教師の大きな使命です。
当然ながら、青松高校には、校則も制服もありません。「生徒は社会常識にのっとって行動すると信じるから」です。実社会における自分の「近未来」を描くことができる生徒には、「学校」だけで通用する規則はいらないということですね。
記事で紹介されていた「キャリア実践演習」の授業、とても興味深い。「高校で学ぶ意義とは?」をテーマにした調べ学習。どうして受験科目に必要のない数学を学ばなければならないのか?美容師を目指しているのに、どうして英語や生物の授業を受けるのか。この問題は、きっと、すべての高校生が高校に入学した段階で考えておかなければならない問題でしょう。ここをきちんとクリアして初めて、自分の進路と「学校の勉強」の関係が見えてくるからです。
博多青松高校のような高校は、今後どんどん増えていくのでしょうね。期待したいと思います。
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