カクレマショウ

やっぴBLOG

ディスレクシアと「文明の利器」

2014-12-10 | ■教育

テレビで、「ディスレクシア」(読み書き困難=知的に問題はないものの読み書きの能力に著しい困難を持つ症状)のことを取り上げていました。会話でのコミュニケーションや通常の社会生活には問題はないのに、文字を読んだり書いたりすることが不得意という症状で、学習障害の一種と捉えられています。ディスレクシアを抱える人は、目から入る情報を正確にすばやく処理できない。人によっては、文字がかすんで見えたり、重なって見えたりする人もいるのだとか。なので、自分で文字を書こうと思っても、正確に書けないということになります。

テレビでは、実際にディスレクシアに苦しんできた人を紹介していました。私と同じ世代の方です。「ディスレクシア」という言葉もなかった頃のこと、「読み書きが不得意」というだけで、学校ではずいぶん辛い目にあってきたようです。学校というところは、なにしろ「読み書きが基本」と教える場所ですから。高校を中退して働くようになってからも、「読み書き」ができないことをひた隠しにする日々。なにしろ、世界一識字率の高い国ですから。大人のくせに、読めない、書けないは「ありえない」社会ですから。

だから、彼が40代になってから「ディスレクシア」のことを知った時の悔しさは、いかばかりだったでしょう。「俺の時間を返せ」という思いも分かるような気がします。それでも、自分がディスレクシアだということを打ち明けるには勇気がいったと思いますが、彼は、融資の相談に行ったある銀行で、「字が書けない」ことを初めて明かしたのだそうです。その時の銀行員が、「それはつらかったでしょうね」と言ってくれたのは、本当にうれしかったことでしょう。たまたまそういう知識があった方だったのかもしれませんが、「周囲の理解」というのは本当に本当に大切なことですよね。

ところで、彼もそうですが、今、パソコンやスマホ、そしてipadなど、ITの進化で、ディスレクシアの方々の学習環境は格段に整ってきているようです。読み書きの困難さを、そういったツールが少しでもやわらげてくれるなら、使わない手はありませんね。私も、先日視覚・視聴覚障害者向けのipad講習会に参加させていただいて、ipadのすごさを改めて知りました。ディスレクシアもそうですが、ほかにも様々な場面で使えるのではないかと思いました。こういうツールこそ、まさに「文明の利器」と呼びたいところです!

それにしても、著名人にもディスレクシアの人がけっこういることに驚きます。もしかしたら、「読み書き困難」であることが、別の才能を開花させているのかもしれませんね。


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