今の日本では、選挙権って、20歳になれば「誰でも」「自動的にもらえる」ものなので、大人なら選挙権あって当たり前のように感じますが、昔はそうじゃなかった。選挙権は、「誰でも」持っているわけじゃなかったのです。いえ、昔と言っても、そう古い話ではありません。
議会制民主主義発祥の地、イギリスでさえ、「普通選挙」が実現したのは、1918年ですから、今からたった100年ほど前のこと。普通選挙というのは、ある一定の年齢に達しさえすれば、「誰でも」選挙権が与えられるということです。それまでは、所得や身分によって選挙権がもらえなかったりするのが当たり前でした。しかも、基本的には選挙権を与えられるのは「男子」のみでした。つまり、一定の地位にある男性しか政治に参加することは許されなかったのです。
イギリスでは、1918年の選挙法改正で、初めて女性にも選挙権が与えられましたが、この時には男性が21歳以上、女性は30歳以上と、妙な差が付けられていました。完全な男女平等普通選挙になるのはそれから10年後の1928年まで待たなければなりませんでした。
日本はというと、男子普通選挙が実現したのは、1925年(大正14年)。女性参政権が認められたのは、ようやく戦後になってからのことです(1945年)。
イギリスは、19世紀から何度も選挙法を改正し、参政権の拡大を図ってきましたが、「普通選挙」はなかなか実現できませんでした。それだけ、一般の市民にとって政治は遠い世界のことだったということかもしれません。今では当たり前の普通選挙ですが、選挙権は、市民が時間をかけて「勝ち取ってきた権利」であるということを忘れてはいけないと思っています。民主主義の成熟によって、みんなが少なくとも「法の下では平等」で、「権利を与えられている」ことをあたかも当然のように感じてしまっていますが(それはそれで幸せなことですが)、全部、歴史の中で少しずつ先人たちが戦って、勝ち取って、私たちに残してくれたものなのです。だからこそ、権利を行使すること、つまり投票に行くことを、大切にしなければと思うのです。
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