137億歳の宇宙の意志

宇宙は、137億年前にビッグバンで始まった。

じゃ、その前はいったい何があったの？とか宇宙の「外側」には何があるの？とか、そんなことを考えてみても、私の頭の中では絶対に答えが見つからないので、考えないようにしています。「無」とか時間のない世界、とか言われても、実感がないからよく分からない。

先日、日本の研究チームが「宇宙最初の星」の光を初観測したというニュースに驚いたばかりだったのですが、今度は、京都大学や東京大学の研究チームがコンピューターの中で最初の星の誕生と成長を、10万年というスパンでシミュレーションしてみたという記事。

それにしても、ビッグバンから、しばらくの間、宇宙には星が一つもなかったということを初めて知りました。しかも！　「しばらくの間」といっても、何日間とか数年という話ではなく、「数億年」！

………数億年。宇宙規模のカレンダーでいえば、それも「しばらくの間」になるんですね。気が遠くなるような年月。たとえば、「１億年」って、どのくらい気が遠くなるかというと、人類が農耕を始めて「文明」の端緒が見え始めてから現在までが約1万年ですが、それが1万回繰り返されてようやく1億年です。まったく、いやになるくらい果てしない時間。

「数億年」の暗黒を経て、最初の星が生まれた。宇宙の「中身」を分析してみると、暗黒エネルギーが74%、暗黒物質が22%で、元素はたった4%しかないのだとか。初期宇宙には、水素とヘリウムの軽元素しかなくて、それらが集まって、重さが太陽の1%くらいの小さな「赤ちゃん星」が生まれた。その星にガスが降り積もって、1万年後には、太陽の20倍程度まで大きくなった。

その後、積もったガスが中心に落ち込んでいって、強烈な光を放つようになり、周囲を過熱してガスを降り積もらせないようにしていった。（上の写真は、誕生から3万年後となる計算結果を表す図、だそうです。中心に星があり、上下方向にガスを吹き飛ばしている。）もうこれ以上大きくなりたくない、大人になんかなりたくない、ってとこでしょうか？　そんな思春期の反抗期を経て、10万年後には、太陽の43倍くらいで成長が止まり、自分で核融合反応を起こして輝く一人前の星になった。最初の星は、それほど大きくないものだったということが、このシミュレーションで明らかになったのだそうです。

最初の星は、その進化の最後に重元素（炭素、酸素、ケイ素など）をばらまいて、それらが新しい星をつくっていきました。うまくできてるよなあ…。これが自然の摂理というものなのか。まるで誰かの意志が働いているような。

筒井康隆は、「七瀬シリーズ」でそれを「宇宙意志」と呼んでいました。手塚治虫は「火の鳥」にその役割を託しました。人間の意志が及びもつかないようなスケールの出来事を、しかし、私たちはいろいろな形で自由に描いたりシミュレーションできたりするわけで（「赤ちゃん星」と呼んだりもできる）、人間ってすごいなと思う。

そういえば、最近、こんなニュースもありました。長さ200km以上もある超大型のUFOが地球に近づいていて、この12月にも姿を現すのだとか！　それをマヤ暦と結び付けて、つまり、マヤ暦が2012年12月21日で終わっていることから、いよいよ地球滅亡の日が…というシナリオのようで。

やれやれ。こういう話は今までもいくらでもあったし、もちろん眉ツバで聞かなくてはならないのですが、それも「宇宙意志」の力なら、まあ甘んじて受け入れるしかないですよね！