学校支援ボランティアの「大義」と「個々の思い」

「学校支援ボランティア」とは、「学校支援」（学校の教育活動や学校環境整備を支援する）活動を行う「ボランティア」（の方々）という意味です。学習アシスタントとして教師の指導の手助けをする、ゲストティーチャーとして直接子どもたちを指導する、あるいは、図書室の整理や花壇の手入れ、簡単な校舎の補修などの環境整備を行うなど、様々な形の学校支援ボランティアの活動が行われています。

ボランティア活動とは、「自発性」と「公共性」を原則とするものですから、学校という「公共」のために何か活動したい、役に立ちたいという「熱い思い」が学校支援ボランティアの活動の大前提となります。

青森県教育委員会生涯学習課が作成した『はじめよう学校支援ボランティア～先生と地域のみなさんのためのハンドブック～』という冊子があります。そこでは、「学校」と「地域」（＝地域住民）の「共通の願い」である「未来を担う子どもたちを育てること」を両者の「協働」により目指すというイメージを描き、学校支援ボランティアは、学校と地域双方にメリットをもたらすものと位置づけています。さらに、学校の先生方及び地域住民それぞれに向け、学校支援ボランティアの活動を行う際の心構えやノウハウも簡潔に紹介しています。

実際に学校で様々な形で活動をされているボランティアの方々の思いは、ひとえに「子どもたちのため」であることに間違いないでしょう。自分の子どもだけではなく、地域の子どもたちみんながすくすくと育ってほしいという「共通の願い」があるのです。

ただ、「子どもたちのため」という言葉は、時に水戸黄門の印籠みたいな効果を発揮します。そんな「大義」の前に、たとえば半強制的に学校支援ボランティアを「やらされている」ということになっては、それこそ本末転倒です。

「未来を担う子どもたちを育てる」という「公共性」はもちろん大切ですが、ボランティアの持つもう一つの特徴である「自発性」を踏まえた時、「子どもたちのため」だけではなく、「自分たち」のためという点がもっと強調されてもいいのではないかと思うのです。自分の学んできた成果を生かしたいとか、子どもたちの学びに関わることで新鮮な発想を取り戻したいとか、活動を通して地域のいろんな人ともっと知り合いたいとか、そんな具体的な個々の思いが学校支援ボランティアにはもっと前面に出されていい。

「大義」の前では、そんな思いは単なる「わがまま」と言われるかもしれません。でも、自己犠牲の精神ばかりではせっかくの活動が長続きするとは到底思えないのです。ここはお互いの「わがまま」をある程度認め合う気持ちも大切ではないでしょうか。「大義」は「大義」として、個人的な思いも大切にし合うことが、学校支援ボランティアを長く支えていく秘訣となるのではと考えています。