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カクレマショウ

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「リケジョ」を増やせ。

2010-10-09 | ■教育
「リケジョ」とは、理系の学部で学ぶ女子学生。全国の大学で、「リケジョ」を増やそうとする試みが盛んに行われているのだそうです(2010年10月4日付け朝日新聞)。

女子高校生限定のオープンキャンパスや宿泊型の体験入学を開催したり、あるいはトイレの改装、女性専用のロッカー室の新設など施設・設備面でアピールしたりと、理系の学部になんとか女子を引き入れたいというわけです。「リケジョ」もそうですが、「サイエンス・エンジェル」だの「科学のマドンナ」だの「ハッピー・テクノロジー」だの、イメージアップ作戦も忘れてません。

確かに、工学部、理学部、農学部といった理系の学部って、「むさい男の園」というイメージはある。いったい、女子の比率はどのくらいなのか。記事によれば、ある工業大学では、7~8%だとか。東大の理科Ⅰ類(工学部など)でも8%。全国の理系学部全体では、女子の占める割合はせいぜい1割というところでしょうか。

「リケジョ」獲得作戦の背景には、少子化に伴う18歳人口の減少もあるようです。理系学部にとっては、これまでみたいに男子だけでは定員を満たすことができないので、そのぶん、女子にターゲットを絞れということですね。そう公言してはばからない大学関係者もいるみたいですが、入学志望者が少なくなったからといって、俄然「女子集め」に躍起となるのもなんだかみっともない。少子化などに関係なく、これまでも、理系に興味のある優秀な女子学生を募集する努力をしてきたのでしょうか?

ただ、「リケジョ」が少ないのは大学に限った話ではありません。高校でも、文系と理系に分けた場合、理系の方が圧倒的に女子が少ないのはごく普通です。あるいは、工業高校でも、科にもよりますが、女子の比率はごくわずかです。そういう現状で、大学がリケジョのパイを増やそうというのはかなり厳しいと思います。「進学校」と呼ばれる学校のほとんどは、2年生の段階で文系・理系にクラスを分けます。つまり、生徒たちは高校1年で文・理の選択を迫られるわけです。それはもちろん大学入試に対応するため、なのですが、実際、その時点で、文系の学部に行きたいから文系にする、とか、○○大学の工学部に行きたいから理系を選ぶなど、明確に「進路」を意識した選択ができる生徒は少ない。ましてや、その先、つまり大学を出たあとの「職業」まで考えている生徒はもっと少ない。多くの生徒は、数学は分からないら文系でいいや、国語や社会はずっと苦手だったから理系に、とか、「今」とか「過去」の自分の状況だけで文系・理系を選ぶ。それでも、女子の場合、理系を選ぶ子はわりと積極的な理由(理科が好きだから、とか将来看護師になりたいから、など)を持っている子も多い。女子「なのに」、「あえて」理系を選ぶというのには、それなりのきちんとした理由が必要なのです。

高校の段階で、”女子「なのに」、「あえて」理系を選択する”、というイメージが消えない限り、大学での「リケジョ急増」はまずあり得ないと思う。

では、いったいどうすれば高校で女子の理系志望者を増やすことができるのか?

それは「女子の生き方」とも深くつながってくる話だと思います。この記事では、理系に進んだ女子の進路として「研究者」を主として想定しているようです。「理系学部に入った女子が研究や仕事を続ける場合、出産や子育てがハードルになる」として、ある女性研究者の言葉を紹介しています。「理系は男、という固定観念が変わり、出産や子育てのある女性研究者を理解してくれる人が増えれば、理系をめざす女性は増えると思う」。

理系学部に進んだ女性のすべてが研究者になるわけではないと思うので、上記の言葉も鵜呑みにはできないとは思いますが、結局は、理系学部出身であろうがなかろうが、社会全体が女性の働き方・生き方を支援するようにならなければ、というところに行き着く。

女子高校生に理系学部の楽しさや将来の展望を示すことは確かに必要だと思いますが、トイレにパウダーコーナーを設けるくらいじゃ、リケジョは増えそうもない、ってとこですかね。


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