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カクレマショウ

やっぴBLOG

日本のものづくりは「総合力」だった。

2008-01-24 | └キャリア教育
昨年11月に静岡で開催された第39回技能五輪国際大会で、日本は全47職種のうち、16職種で金メダルを獲得しました。国別で言えば、もちろんダントツ。日本が金メダルを取った職種は、次の通りです。

ポリメカニクス/情報ネットワーク施工/CNC旋盤/CNCフライス盤/溶接/自動車板金/電子機器組立て/電工/洋菓子製造/造園/移動式ロボット/抜き型/機械組立て/構造物鉄工/木型/曲げ板金

私にはどんな仕事なのか見当もつかない職種もありますが、なにしろ、その道において「世界で一番」なのですから、たいしたものです。

先日、テレビでこの中の何人かが紹介されていましたが、たとえばデンソーという会社では、技能五輪向けの特訓をする専門の部署があるというのには驚きました。スポーツの世界で、社会人選手が会社の中で特別待遇されているのと同じですね。技能五輪で上位に食い込むためとはいえ、ここまで徹底しなければならないのか…と思いますが、スポーツとちょっと違うのは、特別訓練を受けて磨いた個々の技能は、会社のために役立つという点でしょうか。「プロの技」というのは、もちろん、日常の仕事の中で磨かれていくのが理想なのでしょうけど、日常的には会社の生産活動に寄与できなくても、ある技能だけを専門に究めることによって、間接的に会社の利益に貢献できるのでしょうね。

もう一つ驚いたのは、日々の訓練メニューの中に、ランニングとか腕立て伏せとか、体力をつけるための時間が組みこまれていること。そうか、やっぱりここでも「心技体」かと納得。「心」については、そこまでして技能を究めようと努力する若者ですから、全く問題なし、でしょ! 彼らの考え方、生き方、働き方は本当に頭が下がります。

ところで先頃、日経ビジネスオンラインの連載、川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」で、この技能五輪を取り上げ、「クールジャパンと職人気質の合体」としてまとめていました。日本の「ものづくり総合力」は、技能五輪に象徴される「生産」部分の高い技術だけではなく、設計、開発、研究、理論、企画といった各領域のバランスから成り立つのではないかということで、それぞれの領域に「指標」をあてはめ、国際的に比較してみた。たとえば、「生産」はもちろん「技能五輪の金メダル数」という指標。以下、次のような指標を定め、国別に算出してランクをつけています。括弧の中は日本の順位です。

生産:技能五輪の金メダル数(2位)
設計:国際特許の出願件数(2位)
開発:技術論文の提出件数(2位)
研究:ノーベル賞(物理学、化学、医学)の受賞総数(5位)
理論:フィールズ賞など数学の世界的に知られる8つの賞の受賞総数(5位)
企画:イグ・ノーベル賞の受賞総数(3位)

日本は、1位はないものの、すべての領域で5位以内。こんな国は他にはない。たとえば、米国は、技能五輪以外はすべて1位ですが、技能五輪の金メダル数だけは20位に落ち込む。逆に韓国は、技能五輪で1位ですが、ノーベル賞や数学の各賞はまだ一人も獲れていない。要するに、日本は、ものづくりに関わる各分野でもっとも「バランスのいい」国なのです。それは、「総合力」とも言えます。

このランキングを見て少し意外だったのは、先日のPISA(OECD生徒の学習到達度調査)で、各分野でトップの成績を収めたフィンランドの影が薄いことです。技能五輪で11位、特許数で13位、数学8賞で15位、それ以外は20位以下。子どもの「学力」はあんなに高いのに、大人になってどうして振るわないのか、ちょっと不思議です。ま、ものづくりとなると、人口やGNPも関係してくるということでしょうか。そのへん、誰か解明してくれないものでしょうか。

それはともかく、日本のものづくりは、高い総合力に裏打ちされていることがよくわかりました。そういう確かな仕事をしている大人たちの姿を、子どもたちにもじっくり見せていきたいものです。まずは、技能五輪の若き金メダリストたちのスゴイ技術から…。


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