カクレマショウ

やっぴBLOG

「アレロパシー」と「生きる力」

2007-08-05 | ■環境/科学
生き物の持つ「生きる力」にはしばしば驚嘆させられます。

たとえば、「擬態」(カモフラージュ)。天敵から身を守るため、あるいは獲物に気づかれないようにして捕獲するため、周囲の環境に合わせて自分の体の色や姿を変える。ウチのアマガエルのアマじろうも、茶色から鮮やかな緑色まで、忍者のように体色を変えることができます。本人(?)の意識(?)とは関係なく生体が反応する不思議。何かのきっかけでそういうワザを身につけたものではなく、長い年月にわたる世代交代の中で少しずつ少しずつDNAに埋め込まれていったものなのでしょうが、ごく割り切って言えば、天の配剤、神の仕業としか思えません。

昆虫や動物ならそんな「生きる力」もまだわかる。しかし、植物にも実は相当な「生きる力」があるようです。

私の学生時代の思い出の地、小笠原諸島の父島で、外来種のマメ科の「ギンネム」やトウダイグサ科の「アカギ」が、島の固有種を駆逐しているのだそうです。小笠原といえば、絶海の孤島という環境のために、他では見られない固有の植物が多いことで知られています。それが、外から持ち込まれた外来種の増加、繁殖によって一部では絶滅の危機も叫ばれているのだとか。

で、ある研究所が調べてみたら、この2つの植物には、他の種の植物を駆逐する力が異常に強かったという。つまり、周囲の植物の生育を抑えてしまう力。これを専門用語で「アレロパシー」(他感作用)というのだそうです。その元になる化学物質(アレロケミカル)の強さが、この2つの植物の場合、タダモノではないということらしい。

もっとも、アレロパシーは、他の植物にも見られる作用で、たとえば、クルミやマツの木の根元には雑草が生えにくいとか、、ソバ、ヨモギ、セイタカアワダチソウなどもアレロパシーの強い生物として知られています。アレロパシーは、他の植物の生育抑制だけでなく、微生物や昆虫、動物を寄せつけないという効果もあるのだそうで、除草や防虫に役立てる研究も進んでいるのだとか。生物本来の持つ力で農薬代わりにさせようってわけです。

そのへんに生えている植物も、ただ漫然と生えているだけじゃないんですね! みんなちゃんと「生きる力」を備えている。地球上の生物の中で、「生きる力」をはぐくもう、なんて言ってるのは人間だけですね。もともと人間だって、本能的には生きる力を持っているはずで、いま、殊更に「はぐくもう」と叫ばれているのは、「社会」の中での生きる力。だとすれば、その「社会」の方が少し真っ当じゃないのかもしれません。本能的に持っている「生きる力」で生きていけない社会、だなんて! そういう社会を担っているのは、我々大人たちなんですよね…。


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