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カクレマショウ

やっぴBLOG

上野の桜の下で阿修羅展

2009-03-30 | ■美術/博物
東京・上野から桜の便りがとどきました。

上野公園の桜は、広々とした公園の中で見るせいか、本当に迫力があります。上野で過ごした3年間、毎年いろんな思いで桜を見ていたことを思い出します。

その上野公園にある東京国立博物館で、明日から「国宝 阿修羅展」が開催されます。

いつもは奈良の興福寺におられる阿修羅の像が、半世紀ぶりに東海道を東上。今回は、阿弥陀三尊像、八部衆像、十大弟子像、薬王菩薩・薬上菩薩像など、同じ興福寺にある国宝級の仏像たちも同行しています。

「アシュラ」とは、古代インドの神話に登場する戦いの神。通常は、怒り狂う姿で表現されることが多いのですが、興福寺の「阿修羅像」は、いたって穏やかな表情を浮かべています。これは、自分の犯してきた罪を悔い、仏に帰依したあとのアシュラなのです。

手塚治虫の『ブッダ』にはアシュラは登場しませんが、光瀬龍・萩尾望都の名作『百億の昼と千億の夜』では、阿修羅が登場します。シッダールタが、修行の過程で、「4億年戦っている」という阿修羅に会いに行く場面。なぜ戦う?というシッダールタの問いに対して、ふだんは少年のような顔をした阿修羅は、「弥勒に会いに行け!」と一喝する。56億7千万年後にやってくる末法の世に現れて、人々を救ってくれる救世主、弥勒菩薩。世界の破滅がどんなものであるか、弥勒なら知っているはずだと阿修羅は言う。そして、弥勒が本当の救いの神ならば、破滅の到来をこそ防ぐべきだと…。

高校生の頃、この部分を読んで、なるほどなと思ったものです。欺瞞が許せず、ゆえに戦い続けるしかない阿修羅ってすげえなあと思いました。この物語に出てくる阿修羅の顔は、まさに「美少年」で、もちろん、興福寺の阿修羅像をイメージして描かれたものと思います。

「阿修羅像」の最大の特徴である、「3つの顔、6本の腕」。今回の展示では、その3つの表情をそれぞれ真正面から見られるようになっているのだとか。つまり、阿修羅像を中心に、観客がぐるりと像の周りを巡るようになっています。興福寺では、真正面の顔した見られませんので、これだけでも見に行く価値はあるかもしれません。3つの表情の微妙な違いを見分けることができるでしょうか? どっちにしても、もうちょっと予習してから見に行った方がいいですね。

今回、会場のみでの公式グッズとして、あの海洋堂が阿修羅像の精巧なミニチュアを提供するのだそうです。高さ約12cm。うーん、これも欲しいぞ~!

桜の満開の中、花見客の残像が残る会場で静かに阿修羅像と向き合う。その瞬間から何かが動き出しそうな予感がします。


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