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カクレマショウ

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読書へのアニマシオン

2004-10-20 | ■つながり・コミュニケーション
昨日の続きになりますが、社会文化アニマシオンに注目したのはフランスだけではありません。スペインでも1975年にフランコ独裁政権が幕を降ろし、社会労働党が政権を握ると、急速にアニマシオンが普及していきました(スペイン語では、アニマトゥールをアニマドールと呼びます)。

スペインのアニマシオンの中で特に注目されたのが、「読書へのアニマシオン」の取組みです。青少年雑誌の編集長、モンセラット・サルトは、1984年、「読書で遊ぼうアニマシオン」という本を出版しました。そこには、子どもたちへの読書指導法として25の「作戦」が紹介されています。遊びやゲームを通して1冊の本が持つ魅力に気づき、他の本への興味を引き出すためのしかけを「作戦」と呼び、そのしかけを演じる指導者がアニマドールということになります。

例えば、「ダウトをさがせ」という「作戦」があります。1冊の本をみんなで読んだ上で、アニマドールが何ヶ所か「ダウト」を入れて読む。つまり、人の名前とか文章をわざと間違えて読むわけです。間違いに気がついた人は「ダウト」と言います。

このゲーム、もちろん当たりはずれだけを楽しむのではなく、「なぜ間違いなのか」(「だって本にそう書いてあるじゃん!」という理由だけではなく)を考えることが大切なのでしょう。子どもたちが1冊の本の登場人物や物語の背景について考えることによって何かに気づく。それを導き出すのがアニマドールの役割なのだと思います。

日本でも、同書が1997年に翻訳(佐藤美智代・青柳啓子訳、柏書房)されて以来、「読書へのアニマシオン」が少しずつ広がりつつあります。
現在、全国的に子どもの読書活動の推進が叫ばれ、朝の10分間読書や司書教諭の設置など、学校における読書教育が見直されるようになってきていますが、「読書へのアニマシオン」もまた、子どもたちの読書への興味を喚起するという意味で、大変有効な手段だと思います。しかし、いかんせん、本場スペインと違って「アニマドール」にあたる専門職が日本にはほとんどいないことがネックとなりそうです。

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