カクレマショウ

やっぴBLOG

こんな形で「世界史」がニュースになるなんて。

2006-10-26 | ■世界史
富山県の高校で必修の「世界史」を履修していなかったことから、3年生全員が卒業できないかもしれないという事態。こういうのって、同じような事例が芋づる的に出てくるものですが、すでに今日までに、全国各地の多くの高校で同じようなことをしていたことがわかりました。

そういう「ウラ」の手を使える、ということを高校で堂々とやって見せていいものでしょうか。「実績」とか「生徒のことを考えて」とか、私には大人の欺瞞にしか見えません。どんな手を使っても世間は渡っていける、いや、ウラの手を使わなければ世間は渡っていけないなんて、高校生が知っておくことはない。

ニュースを見て、30代40代の人たちは、私が高校の頃は世界史も日本史もやった、とか世界史と地理だった、とか口々に言いますが、そもそも、ここ10年ほどで学習指導要領が大きく変わっているのですから、「あの頃」と同じ尺度で語ってもしょうがない。だいたい、今「社会科」という教科が高校では存在しないことさえ知らない人も多い。平成元年告示、同5年実施の学習指導要領で「社会科」は、「地理歴史科」と「公民科」の2教科に分かれています。

さらに、同学習指導要領では、「世界史」という科目は「世界史A」と「世界史B」に分けられました。「世界史A」とは、標準単位数2単位で、近現代史(19世紀以降)中心の内容。「世界史B」が古代から現代までの通史で標準単位4単位です。このどちらか1つが「必修」とされたのです。「世界史A」なら週2時間で済むのです。今回、問題となっている高校では、それさえ履修させなかったということになります。世界史も軽く見られたもんだなーと思います。

世界史が「必修」となった時、世界史の教員だった私は正直とまどいました。私自身、自分の高校時代からずっと、世界史か日本史かどちらかを選択するもの、という固定観念があったからです。しばしば聞かれる、世界史はカタカナばかり、日本史は漢字ばっかりという「食わず嫌い」の理由はとてもイヤでしたが、考えてみれば、世界史か日本史かという選択自体、おかしいのかもしれません。勤務していた学校では「世界史A」を必修としており、実際に担当してみると、、「近現代史」を全員に教えることの大切さに気づきました。その時は「日本史A」も同時に教えていたのですが、近現代史になると、歴史は、世界史でもあり、日本史でもあるのです。言い換えれば、世界史でも日本史でもなく、「近現代史」としか言いようがない。

問題は、世界史が必修でありながら「受験科目」でもあるということに尽きると思います。「必修」のまま、受験科目から世界史や日本史を外したらどうでしょうか。そうすれば、暗記科目だからと敬遠されることなく、純粋に知っておくべき「歴史」を学ぶことができるのではないでしょうか…。

…というのは夢物語で、実際には、受験科目から外されれば、進学校からますます「やらなくてもいい科目」とみなされて、今の「総合的な学習の時間」と同じように、「ウラ英語」、「ウラ数学」の時間にされてしまうことでしょうね。

まっすぐ、ちゃんとやるべきことを堂々とやりましょうよ!

 

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