カクレマショウ

やっぴBLOG

それぞれの、「今日までそして明日から」。

2006-10-24 | ■私の好きな歌
昨日、NHKのプレミアム10で放映された「今日までそして明日から~吉田拓郎・35000人の同窓会」。あの熱狂の夜から1ヶ月。NHKハイビジョンによる生中継では、大相撲による中断に加えて、第1部も見られなかった私にとっては、コンサートの全貌を見る機会がようやくやってきたという感じですが、「総集編」は、来週4時間にわたって放送されるとのことで、そちらを楽しみにすることにします。

今回の番組は、コンサートの進行を基軸に、吉田拓郎の人生をたどりつつ、ファインダーを通して彼を見つめてきた写真家・田村仁やつま恋コンサートを支えてきたスタッフの思い、そして、つま恋に集結したおじさんおばさんたちの思いを積み上げてくれました。ひいき目じゃなく、いい番組だったと思います。

当日の生中継の時はただただステージ上の拓郎しか目に入りませんでしたが、今回のドキュメントで、私が興味を引かれたのは観客席でした。平均年齢49歳。カメラに映し出される観客は、ほんとにおっさんおばさんばっかりでした。合間のインタビューでは、31年前、家出してつま恋に来たというおじさんがいました。「拓郎は人生そのものです」と言い切るおじさんもいました。拓郎の歌には自分の人生が重なり、歌詞を見るだけで涙が出るというおばさんがいました。あの頃は大人が大嫌いだったけど、今は大人って大変だと思う、としみじみ語るおじさんがいました。

みんなあの頃若かった。とんがってた。人間なんてと思っていた。恋だ愛だのくだらないと言いながら恋をして破れた。酒を飲んでクダを巻けばすべてを忘れられると思っていた。そんな気持ちを代弁してくれるのが拓郎の歌だった。「吉田拓郎」という大きな大きな共通項があった。しかし、そんな若者たちも、社会に出て大人になって、「拓郎」だけじゃ生きられないと悟るようになった。丸くなって上司に仕えた。結婚もした。子どももきちんと育てた。

だけど。

やっぱり拓郎からは逃れられない。とんがってないからもう叫びはしないけど、恥ずかしいからみんなで一緒に大声で歌うことはないけど、分別ついたから無茶はしないけど、拓郎の歌を聴いて、しばし、あの頃の自分を思い出したい…。

ラストの曲は「今日までそして明日から」。

- 私は今日まで生きてみました
- そして今 私は思っています
- 明日からも こうして生きて行くのだろうと

何度も何度も噛みしめるようにリフレインする吉田拓郎60歳。

カメラはしつこいくらいに観客席を追う。手拍子取って口ずさむ人、手を振り上げて大声で歌う人、そして、じっとたたずんで静かに耳を傾けている人。いろんな聴き方がありました。それぞれに人生を振り返り、明日からの自分を見つめているようでした。
 
 

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2 コメント

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Unknown (吉川雅朗)
2007-01-04 12:22:18
 高校一年の折『戦争を知らない子供たち』で盛り上がりました。ギターも始めました。中津川のコンサートが高校2年生でした。
 先日のコンサートは残念ながら行く事が出来ませんでしたが、ビデオを何回も何回も観て涙を流しています。
 何故か解りませんが、拓郎・かぐや姫には小生の人生の中で存在感の有る人達(事柄)なんですね!
 他にも『岡林信康・フォーククルセダース・高田渡・赤い風船・赤い鳥・・・・・』数え上げたら切がありません。
 『私は今日まで生きてみました
 そして今 私は思っています
 明日からも こうして生きて行くのだろうと』
 52歳ですが、65歳迄仕事を楽しみ人生を満喫します。
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私は今日まで… (やっぴ)
2007-01-07 01:47:14
吉川さん
コメントありがとうございます。

私などは「ちょっと遅れてきた」フォーク世代なので、そのあたりの人たちはすべてリアルタイムではなく、後追いで聴いてきました。拓郎だけでなく、高校の時に買ったフォーク系のレコードは今も大切に持っています。

「私は今日まで生きてみました」なんて、どうして23、4の若者が歌えたのかとつくづく思います。それこそ40代50代60代になっても歌い継がれることを拓郎は予感していたのか。決してそうではないと思いますが、その辺にも彼の巧まざる偉大さを感じますね。
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